東京大学 1993年 文系 第1問 解説

方針・初手
$3$次関数が極大値と極小値をもつ条件は、導関数 $f'(x)=0$ が異なる$2$つの実数解をもつことである。本問ではさらに、それらの極値をとる $x$ の値が区間 $-1 \leqq x \leqq 1$ 内にあることが求められている。したがって、$2$次方程式 $f'(x)=0$ が $-1 \leqq x \leqq 1$ の範囲に異なる$2$つの実数解をもつための条件を立式し、それを満たす $(a, b)$ の領域を図示する。
解法1
$f(x) = x^3 + ax^2 + bx$ を $x$ について微分すると、
$$ f'(x) = 3x^2 + 2ax + b $$
となる。$3$次関数 $f(x)$ が極大値と極小値をもち、それらを区間 $-1 \leqq x \leqq 1$ 内でとるための条件は、$2$次方程式 $f'(x) = 0$ が $-1 \leqq x \leqq 1$ の範囲に異なる$2$つの実数解をもつことである。
$g(x) = 3x^2 + 2ax + b$ とおく。$y = g(x)$ のグラフは下に凸の放物線であり、その軸は直線 $x = -\frac{a}{3}$ である。 方程式 $g(x) = 0$ が $-1 \leqq x \leqq 1$ に異なる$2$つの実数解をもつためには、以下の$3$つの条件がすべて成り立つ必要がある。
(1)
$g(x) = 0$ の判別式を $D$ とすると、$D > 0$ である。
(2) 放物線の軸が $-1 < x < 1$ の範囲にある。
(3) 区間の端点における値について、$g(-1) \geqq 0$ かつ $g(1) \geqq 0$ である。
それぞれの条件を $a, b$ について解く。
(1) 判別式の条件 $\frac{D}{4} = a^2 - 3b > 0$ より、
$$ b < \frac{1}{3}a^2 $$
(2) 軸の位置の条件 $-1 < -\frac{a}{3} < 1$ より、
$$ -3 < a < 3 $$
(3) 端点の条件 $g(-1) = 3 - 2a + b \geqq 0$ より、
$$ b \geqq 2a - 3 $$
$g(1) = 3 + 2a + b \geqq 0$ より、
$$ b \geqq -2a - 3 $$
以上より、求める実数の組 $(a, b)$ の満たすべき条件は、
$$ \begin{cases} b < \frac{1}{3}a^2 \\ -3 < a < 3 \\ b \geqq 2a - 3 \\ b \geqq -2a - 3 \end{cases} $$
である。 ここで、境界線の交点や接点を調べる。 放物線 $b = \frac{1}{3}a^2$ と直線 $b = 2a - 3$ から $b$ を消去すると、 $\frac{1}{3}a^2 = 2a - 3$ すなわち $a^2 - 6a + 9 = 0$ となり、$(a - 3)^2 = 0$ を得る。 よって、これらは点 $(3, 3)$ で接する。
同様に、放物線 $b = \frac{1}{3}a^2$ と直線 $b = -2a - 3$ から $b$ を消去すると、 $\frac{1}{3}a^2 = -2a - 3$ すなわち $a^2 + 6a + 9 = 0$ となり、$(a + 3)^2 = 0$ を得る。 よって、これらは点 $(-3, 3)$ で接する。
また、$2$直線 $b = 2a - 3$ と $b = -2a - 3$ の交点は $(0, -3)$ である。
解説
「$3$次関数が極値をもつ」ための条件と、「$2$次方程式の解の配置問題」を組み合わせた典型的な問題である。 解の配置問題では、「判別式」「軸の位置」「端点での関数の符号」の$3$つの観点から条件を立式することが基本となる。 境界線を図示する際は、曲線と直線の位置関係(交わるのか、接するのか)を方程式を連立して正確に調べる必要がある。本問では放物線と$2$直線がちょうど接しており、その接点の $a$ 座標が軸の条件 $-3 < a < 3$ の境界と一致することがポイントである。
答え
求める $(a, b)$ の範囲は、以下の連立不等式が表す領域である。
$$ \begin{cases} b < \frac{1}{3}a^2 \\ b \geqq 2a - 3 \\ b \geqq -2a - 3 \end{cases} $$
これを $ab$ 平面上に図示すると、放物線 $b = \frac{1}{3}a^2$ の下側、かつ直線 $b = 2a - 3$ の上側、かつ直線 $b = -2a - 3$ の上側で囲まれた領域となる。 境界線については、直線の部分は含み、放物線の部分は含まない。また、放物線と直線の接点 $(3, 3)$ および $(-3, 3)$ は領域に含まれない。
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