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東京大学 1990年 文系 第3問 解説

数学2/微分法数学A/整数問題テーマ/最大・最小テーマ/存在証明
東京大学 1990年 文系 第3問 解説

方針・初手

関数 $f(x)$ が極値をとるための条件を調べる。与えられた関数の導関数 $f'(x)$ を計算し、$x=p, q, r$ で極値をとることから $f'(p)=f'(q)=f'(r)=0$ となることを利用する。方程式 $f'(x)=0$ の解の構造と、与えられた $p, q, r$ の大小関係を比較し、条件を満たす実数や整数が存在するかを確認する。

解法1

与えられた関数は $f(x) = x^4 + ax^3 + bx^2 + c$ である。 これを $x$ について微分すると、

$$ f'(x) = 4x^3 + 3ax^2 + 2bx $$

となる。さらに $x$ でくくると、

$$ f'(x) = x(4x^2 + 3ax + 2b) $$

となる。

条件 (ii) より、関数 $f(x)$ は $x=p, q, r$ において極値をとる。極値をとる点において導関数は $0$ になるため、$x=p, q, r$ は3次方程式 $f'(x) = 0$ の相異なる3つの実数解である。 方程式 $f'(x) = 0$ は、

$$ x(4x^2 + 3ax + 2b) = 0 $$

であり、明らかに $x = 0$ を解にもつ。 したがって、$p, q, r$ のいずれか一つは必ず $0$ に等しくならなければならない。

一方で、問題文の条件より $p, q, r$ は

$$ p < 0 < q < 1 < r < 2 $$

をみたす実数である。 この不等式から、$p$ は負の実数であり、$q$ および $r$ は正の実数であることがわかる。 すなわち、$p \neq 0$、$q \neq 0$、$r \neq 0$ であり、$p, q, r$ の中に $0$ と等しいものは存在しない。

これは、方程式 $f'(x) = 0$ の解の一つが $x=0$ であり、$x=p, q, r$ がそのすべての解であるという事実に矛盾する。 したがって、(i) の条件を検討するまでもなく、(ii) および $p < 0 < q < 1 < r < 2$ の条件を同時に満たす $a, b, c, p, q, r$ は存在しない。

解説

本問は、関数の形と極値の条件から明らかな矛盾を導き出すことができるため、計算を進める前に $f'(x)=0$ の解の構造に着目することが重要である。定数項 $c$ のみで1次の項が存在しない4次関数 $f(x) = x^4 + ax^3 + bx^2 + c$ の導関数は常に $x$ を因数にもち、$x=0$ を停留点として持つ性質がある。

なお、仮に問題文の関数が $f(x) = x^4 + ax^3 + bx^2 + cx$ (1次の項 $cx$ がある)の誤植であったと推測して解を進めた場合、$f'(x) = 4x^3 + 3ax^2 + 2bx + c$ となり $x=0$ は自明な解ではなくなる。しかし、その場合でも与えられた条件だけでは整数 $a, b, c$ の組をただ1つに決定することができず無数の解が存在してしまう。そのため、元の式 $f(x) = x^4 + ax^3 + bx^2 + c$ に基づいて論理的な矛盾を指摘し、「存在しない」と結論づけるのが数学的に妥当である。

答え

条件をみたす $a, b, c, p, q, r$ の組は存在しない。

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