数学2 最大最小・解の個数 問題 10 解説

方針・初手
与えられた3次方程式の3つの解がすべて整数であることを利用して、条件を絞り込みます。
解法として主に2つのアプローチが考えられます。1つ目は、解と係数の関係を用いて方程式の解に関する連立方程式を立て、それを満たす整数の組を求める方法です。2つ目は、方程式を $k = -x^3 + 13x$ のように定数分離の形に変形し、関数 $y = -x^3 + 13x$ のグラフ上の格子点に注目する方法です。
解法1
3次方程式 $x^3 - 13x + k = 0$ の3つの異なる整数解を $\alpha, \beta, \gamma$ とする。
解と係数の関係より、以下の3つの式が成り立つ。
$$\begin{cases} \alpha + \beta + \gamma = 0 \\ \alpha\beta + \beta\gamma + \gamma\alpha = -13 \\ \alpha\beta\gamma = -k \end{cases}$$
第1式より $\gamma = -(\alpha + \beta)$ となる。これを第2式に代入する。
$$\alpha\beta + (\alpha + \beta)\{-(\alpha + \beta)\} = -13$$
展開して整理すると、以下の式を得る。
$$\alpha^2 + \alpha\beta + \beta^2 = 13$$
これを $\alpha$ についての2次方程式とみなす。
$$\alpha^2 + \beta\alpha + (\beta^2 - 13) = 0$$
$\alpha$ は整数であり、実数として存在するため、この2次方程式の判別式を $D$ とすると、$D \ge 0$ を満たさなければならない。
$$D = \beta^2 - 4 \cdot 1 \cdot (\beta^2 - 13) = 52 - 3\beta^2 \ge 0$$
これを解くと、以下のようになる。
$$\beta^2 \le \frac{52}{3} = 17.3\dots$$
$\beta$ は整数であるから、$\beta$ がとり得る値は $\beta = 0, \pm 1, \pm 2, \pm 3, \pm 4$ である。それぞれの場合について、$\alpha$ が整数となるかを調べる。
(i) $\beta = 0$ のとき
$$\alpha^2 - 13 = 0$$
これを満たす整数 $\alpha$ は存在しない。
(ii) $\beta = 1$ または $\beta = -1$ のとき
$\beta = 1$ のとき、$\alpha^2 + \alpha - 12 = 0$ より $(\alpha + 4)(\alpha - 3) = 0$ となり、$\alpha = -4, 3$ である。
$\beta = -1$ のとき、$\alpha^2 - \alpha - 12 = 0$ より $(\alpha - 4)(\alpha + 3) = 0$ となり、$\alpha = -3, 4$ である。
(iii) $\beta = 2$ または $\beta = -2$ のとき
$\beta = 2$ のとき、$\alpha^2 + 2\alpha - 9 = 0$ となり、これを満たす整数 $\alpha$ は存在しない。
$\beta = -2$ のとき、$\alpha^2 - 2\alpha - 9 = 0$ となり、これも満たす整数 $\alpha$ は存在しない。
(iv) $\beta = 3$ または $\beta = -3$ のとき
$\beta = 3$ のとき、$\alpha^2 + 3\alpha - 4 = 0$ より $(\alpha + 4)(\alpha - 1) = 0$ となり、$\alpha = -4, 1$ である。
$\beta = -3$ のとき、$\alpha^2 - 3\alpha - 4 = 0$ より $(\alpha - 4)(\alpha + 1) = 0$ となり、$\alpha = -1, 4$ である。
(v) $\beta = 4$ または $\beta = -4$ のとき
$\beta = 4$ のとき、$\alpha^2 + 4\alpha + 3 = 0$ より $(\alpha + 3)(\alpha + 1) = 0$ となり、$\alpha = -3, -1$ である。
$\beta = -4$ のとき、$\alpha^2 - 4\alpha + 3 = 0$ より $(\alpha - 3)(\alpha - 1) = 0$ となり、$\alpha = 1, 3$ である。
以上より、整数解の組 $(\alpha, \beta)$ に対応する $\gamma$ を $\gamma = -(\alpha + \beta)$ によって求め、解の集合 $\{\alpha, \beta, \gamma\}$ を書き出すと以下の2パターンに集約される。
集合1:$\{-4, 1, 3\}$ 集合2:$\{-3, -1, 4\}$
どちらの集合も3つの解がすべて異なる整数であるという条件を満たしている。それぞれについて、$k = -\alpha\beta\gamma$ を用いて $k$ の値を求める。
集合が $\{-4, 1, 3\}$ のとき、
$$k = -(-4) \cdot 1 \cdot 3 = 12$$
集合が $\{-3, -1, 4\}$ のとき、
$$k = -(-3) \cdot (-1) \cdot 4 = -12$$
解法2
与えられた方程式 $x^3 - 13x + k = 0$ を $k$ について解き、定数分離の形にする。
$$k = -x^3 + 13x$$
ここで、関数 $f(x) = -x^3 + 13x$ を考える。$y = f(x)$ のグラフと直線 $y = k$ が、異なる3つの整数 $x$ で交わればよい。
$f(x)$ の増減を調べるため、導関数 $f'(x)$ を求める。
$$f'(x) = -3x^2 + 13$$
$f'(x) = 0$ となる $x$ は $x = \pm\sqrt{\frac{13}{3}}$ である。$4 < \frac{13}{3} < 9$ より $2 < \sqrt{\frac{13}{3}} < 3$ であるから、$f(x)$ は $x = -2$ と $x = -3$ の間、および $x = 2$ と $x = 3$ の間で極値をとる。
極値の外側では、$x \le -3$ の範囲で $f(x)$ は単調減少、$x \ge 3$ の範囲で $f(x)$ は単調減少する。
$x$ は整数であるから、$x$ に具体的な整数値を代入して $f(x)$ の値を調べる。
$$f(-4) = -(-64) + 13 \cdot (-4) = 64 - 52 = 12$$
$$f(-3) = -(-27) + 13 \cdot (-3) = 27 - 39 = -12$$
$$f(-2) = -(-8) + 13 \cdot (-2) = 8 - 26 = -18$$
$$f(-1) = -(-1) + 13 \cdot (-1) = 1 - 13 = -12$$
$$f(0) = 0$$
$$f(1) = -1 + 13 \cdot 1 = 12$$
$$f(2) = -8 + 13 \cdot 2 = 18$$
$$f(3) = -27 + 13 \cdot 3 = 12$$
$$f(4) = -64 + 13 \cdot 4 = -12$$
$x \le -4$ の範囲では $f(x)$ は単調減少し $f(-4) = 12$ なので、これより左で $f(x) \le 12$ となる整数 $x$ は存在しない。同様に、$x \ge 4$ の範囲でも $f(x)$ は単調減少し $f(4) = -12$ なので、これより右で $f(x) \ge -12$ となる整数 $x$ は存在しない。
計算結果から、$f(x)$ が同じ値をとる3つの異なる整数 $x$ の組を探すと、以下のようになる。
$f(x) = 12$ となるのは $x = -4, 1, 3$ のときである。
$f(x) = -12$ となるのは $x = -3, -1, 4$ のときである。
したがって、$y = f(x)$ と $y = k$ が異なる3つの整数の交点をもつための $k$ の値は $k = 12$ または $k = -12$ である。
解説
整数解をもつ高次方程式の問題としては非常に典型的な良問です。解と係数の関係を利用して不定方程式に帰着させる「解法1」が正攻法ですが、式変形により定数 $k$ を分離してグラフを用いて視覚的に解く「解法2」の方が計算量が少なく、見通しよく解くことができます。
解法1では、変数が3つある状態から1つを消去して2変数の2次不定方程式に持ち込み、判別式を用いて変数の範囲を絞り込む技術が問われます。
解法2では、極値をとる $x$ 座標が無理数になるため正確なグラフを描くのは手間ですが、「$x$ が整数である」という条件を最大限に活用し、関数に整数を代入して値を調べるだけで答えに辿り着けることに気づけるかがポイントです。
答え
$k = 12$ のとき、整数解は $x = -4, 1, 3$
$k = -12$ のとき、整数解は $x = -3, -1, 4$
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