数学2 最大最小・解の個数 問題 21 解説

方針・初手
(1) は関数 $f(x)$ のグラフの概形を捉えることが第一歩です。$f(x) = |(x-\alpha)(x-\beta)|$ のグラフは、区間 $\alpha < x < \beta$ において放物線を $x$ 軸で折り返した形になります。定義域 $0 \leqq x \leqq 2$ において $f(x)$ が最大値 $M$ をとる $x$ がちょうど3つ存在するための条件は、グラフの両端点と極大点における $y$ 座標がすべて等しくなることです。
(2) は方程式 $f(x) - mx = 0$ を $f(x) = mx$ と変形し、曲線 $y=f(x)$ と直線 $y=mx$ の共有点の個数として視覚的に捉える方法と、両辺を $x$ で割って $m = \frac{f(x)}{x}$ とし、定数分離を用いて曲線のグラフと横一直線の共有点の個数に帰着させる方法があります。ここでは計算の見通しが良い定数分離を解法1として示します。
解法1
(1)
$y = (x-\alpha)(x-\beta)$ のグラフは下に凸の放物線であり、$x$ 軸との交点は $x = \alpha, \beta$ である。 $0 < \alpha < \beta < 2$ の条件より、関数 $f(x) = |(x-\alpha)(x-\beta)|$ のグラフは、区間 $\alpha \leqq x \leqq \beta$ の部分を $x$ 軸に関して対称に折り返した形状となる。 この区間における $f(x)$ は上に凸の放物線の一部であり、$x = \frac{\alpha+\beta}{2}$ で極大となる。
定義域 $0 \leqq x \leqq 2$ における $f(x)$ の最大値 $M$ を与える $x$ がちょうど3つ存在するためには、グラフの形状から、区間の両端点 $x = 0, 2$ および極大点 $x = \frac{\alpha+\beta}{2}$ の3箇所で最大値をとる必要がある。 すなわち、次が成り立つ。
$$f(0) = f(2) = f\left(\frac{\alpha+\beta}{2}\right) = M$$
まず $f(0) = f(2)$ より、
$$\begin{aligned} |(-\alpha)(-\beta)| &= |(2-\alpha)(2-\beta)| \\ \alpha\beta &= 4 - 2(\alpha+\beta) + \alpha\beta \end{aligned}$$
これを解いて $\alpha+\beta = 2$ を得る。 このとき、極大点を与える $x$ は $\frac{\alpha+\beta}{2} = 1$ であるから、$f(0) = f(1)$ となる。
$$f(1) = |(1-\alpha)(1-\beta)| = |1 - (\alpha+\beta) + \alpha\beta| = |\alpha\beta - 1|$$
ここで、相加平均と相乗平均の大小関係より、
$$\alpha\beta < \left( \frac{\alpha+\beta}{2} \right)^2 = 1^2 = 1$$
等号は $\alpha = \beta$ のとき成立するが、$\alpha < \beta$ より等号は成立しない。したがって $\alpha\beta < 1$ であるから、
$$f(1) = 1 - \alpha\beta$$
$f(0) = \alpha\beta$ であるから、$f(0) = f(1)$ より、
$$\alpha\beta = 1 - \alpha\beta \iff 2\alpha\beta = 1 \iff \alpha\beta = \frac{1}{2}$$
よって、$M = f(0) = \frac{1}{2}$ である。 $\alpha, \beta$ は和が $2$、積が $\frac{1}{2}$ であるから、2次方程式 $t^2 - 2t + \frac{1}{2} = 0$ の2解である。これを解くと、
$$t = \frac{2 \pm \sqrt{4-2}}{2} = 1 \pm \frac{\sqrt{2}}{2}$$
$\alpha < \beta$ であるから、
$$\alpha = 1 - \frac{\sqrt{2}}{2}, \quad \beta = 1 + \frac{\sqrt{2}}{2}$$
これらは条件 $0 < \alpha < \beta < 2$ を満たす。
(2)
(1) の結果より、
$$f(x) = \left| x^2 - 2x + \frac{1}{2} \right|$$
方程式 $f(x) - mx = 0$ すなわち $f(x) = mx$ について、$x = 0$ を代入すると $f(0) = \frac{1}{2}$ となり等式は成り立たない。よって $x = 0$ は解ではないので、両辺を $x$ で割って定数 $m$ を分離すると、
$$m = \frac{f(x)}{x}$$
関数 $g(x) = \frac{f(x)}{x}$ $(0 < x \leqq 2)$ を定義し、曲線 $y = g(x)$ と直線 $y = m$ の共有点の個数が3つとなる $m$ の条件を求める。
$$g(x) = \frac{\left| x^2 - 2x + \frac{1}{2} \right|}{x} = \left| x - 2 + \frac{1}{2x} \right|$$
ここで、$h(x) = x - 2 + \frac{1}{2x}$ とおく。 $h(x) = 0$ となる $x$ は $x = \alpha, \beta$ である。 $h(x)$ を微分すると、
$$h'(x) = 1 - \frac{1}{2x^2} = \frac{2x^2 - 1}{2x^2}$$
$h'(x) = 0$ とすると $x > 0$ より $x = \frac{1}{\sqrt{2}} = \frac{\sqrt{2}}{2}$ である。 $\alpha = 1 - \frac{\sqrt{2}}{2}$、$\beta = 1 + \frac{\sqrt{2}}{2}$ と大小関係を比較すると、$0 < \alpha < \frac{\sqrt{2}}{2} < \beta < 2$ が成り立つ。 $g(x) = |h(x)|$ の増減表は次のようになる。
$$\begin{array}{c|c|c|c|c|c|c|c|c} x & (0) & \cdots & \alpha & \cdots & \frac{\sqrt{2}}{2} & \cdots & \beta & \cdots & 2 \\ \hline h'(x) & & - & & - & 0 & + & & + & \\ \hline h(x) & +\infty & \searrow & 0 & \searrow & 2-\sqrt{2} & \nearrow & 0 & \nearrow & \frac{1}{4} \\ \hline g(x) & +\infty & \searrow & 0 & \nearrow & 2-\sqrt{2} & \searrow & 0 & \nearrow & \frac{1}{4} \end{array}$$
極大値は $g\left(\frac{\sqrt{2}}{2}\right) = \left| \frac{\sqrt{2}}{2} - 2 + \frac{\sqrt{2}}{2} \right| = | \sqrt{2} - 2 | = 2 - \sqrt{2}$ である。 端点における値は $g(2) = | 2 - 2 + \frac{1}{4} | = \frac{1}{4}$ である。 ここで、極大値と端点の値を比較すると、
$$2 - \sqrt{2} \approx 2 - 1.414 = 0.586, \quad \frac{1}{4} = 0.25$$
より、$\frac{1}{4} < 2 - \sqrt{2}$ である。 $y = g(x)$ のグラフと直線 $y = m$ が異なる3つの共有点を持つのは、直線が $y = \frac{1}{4}$ と極大値 $y = 2 - \sqrt{2}$ の間にあるときである。 したがって、求める $m$ の値の範囲は、
$$\frac{1}{4} < m < 2 - \sqrt{2}$$
解法2
(2) の別解
方程式 $f(x) = mx$ の異なる実数解の個数は、$xy$ 平面上の曲線 $y = f(x)$ $(0 \leqq x \leqq 2)$ と直線 $y = mx$ の共有点の個数に等しい。 曲線 $y = f(x)$ の概形は、放物線 $y = x^2 - 2x + \frac{1}{2}$ の区間 $\alpha < x < \beta$ の部分を $x$ 軸に関して対称に折り返したものである。 直線 $y = mx$ は原点を通る。 $m \leqq 0$ のとき、共有点は最大でも $x$ 軸上の点 $(\alpha, 0), (\beta, 0)$ の2つであり、条件を満たさないため $m > 0$ である。 $m > 0$ のとき、直線は $f(0) = \frac{1}{2} > 0$ かつ $f(\alpha) = 0$ であることから、区間 $0 \leqq x < \alpha$ の曲線と必ず1点で交わる。 したがって、求める条件は、直線 $y = mx$ が区間 $\alpha \leqq x \leqq 2$ の曲線と異なる2つの共有点を持つことである。
(i) 直線が区間 $\alpha < x < \beta$ の曲線(上に凸の放物線)と接するとき 方程式は $-x^2 + 2x - \frac{1}{2} = mx$ となり、整理すると
$$x^2 + (m-2)x + \frac{1}{2} = 0$$
判別式を $D$ とすると、$D = (m-2)^2 - 2 = 0$ より $m = 2 \pm \sqrt{2}$ を得る。 接点の $x$ 座標は $x = \frac{2-m}{2}$ である。 $m = 2 - \sqrt{2}$ のとき $x = \frac{\sqrt{2}}{2}$ となり、$\alpha < \frac{\sqrt{2}}{2} < \beta$ を満たすので適する。 $m = 2 + \sqrt{2}$ のとき $x = -\frac{\sqrt{2}}{2} < 0$ となり不適。 よって、接するときの傾きは $m = 2 - \sqrt{2}$ である。
(ii) 直線が点 $(2, f(2))$ を通るとき 点 $\left(2, \frac{1}{4}\right)$ を $y = mx$ に代入して、
$$2m = \frac{1}{2} \iff m = \frac{1}{4}$$
$y = mx$ の傾き $m$ を大きくしながら共有点の個数を調べると、以下のようになる。
- $0 < m \leqq \frac{1}{4}$ のとき、区間 $\alpha \leqq x \leqq \beta$ で2個、区間 $\beta < x \leqq 2$ で1個交わるため、全体で4個。
- $\frac{1}{4} < m < 2 - \sqrt{2}$ のとき、区間 $\alpha \leqq x \leqq \beta$ で2個交わり、区間 $\beta < x \leqq 2$ では交わらないため、全体で3個。
- $m = 2 - \sqrt{2}$ のとき、区間 $\alpha \leqq x \leqq \beta$ で接する1点のみとなるため、全体で2個。
- $m > 2 - \sqrt{2}$ のとき、区間 $\alpha \leqq x \leqq 2$ で交わらないため、全体で1個。
以上より、共有点がちょうど3つとなる $m$ の範囲は、
$$\frac{1}{4} < m < 2 - \sqrt{2}$$
解説
絶対値を含む2次関数のグラフの性質と、方程式の実数解の個数を図形的に処理する典型的な良問です。 (1) では、最大値を与える点が3つ存在するという条件から、両端点と極大点で値が等しくなることをグラフの形状から見抜くことが鍵となります。まともに場合分けをして最大値を求めようとすると計算が膨大になります。 (2) は直線と放物線群の共有点を数える問題です。解法2のように接する条件や境界点を通る条件を求めて視覚的に処理するのも良いですが、解法1のように定数を分離して $y=m$ と固定し、曲線のグラフを描いて横に切る手法(定数分離)を用いると、視覚的な錯覚や場合分けの漏れを防ぎやすく、厳密な解答を作りやすくなります。
答え
(1) $\alpha = 1 - \frac{\sqrt{2}}{2}, \beta = 1 + \frac{\sqrt{2}}{2}, M = \frac{1}{2}$
(2) $\frac{1}{4} < m < 2 - \sqrt{2}$
自分の記録
誤りを報告
問題文の写しミス、解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。





