トップ 基礎問題 数学2 微分法 最大最小・解の個数 問題 54

数学2 最大最小・解の個数 問題 54 解説

数学2 最大最小・解の個数 問題 54 解説

方針・初手

空間図形の問題は、適切な平面で切断し、平面図形の問題に帰着させて考えるのが定石である。 本問の場合、直円錐の回転軸を含む平面で切断したときの断面を考えると、底辺の長さが $2r$ の二等辺三角形と、それに内接する半径 $1$ の円が現れる。 この断面図において、直円錐の高さや母線の長さを $r$ を用いて表すことを目指す。

解法1

(1)

直円錐の回転軸を含む平面で切断した断面を考える。 断面は、底辺の長さが $2r$ の二等辺三角形であり、この三角形には半径 $1$ の円が内接している。 直円錐の高さを $h$、母線の長さを $l$ とする。 幾何学的な条件から、内接円の半径が $1$ であるため、底辺の半分 $r$ は $1$ より大きく、$r > 1$ である。

この二等辺三角形の面積 $T$ を2通りの方法で表す。 まず、底辺と高さを用いると、

$$T = \frac{1}{2} \cdot 2r \cdot h = rh$$

次に、3辺の長さと内接円の半径を用いると、

$$T = \frac{1}{2} (2r + l + l) \cdot 1 = r + l$$

これらが等しいことから、

$$rh = r + l$$

$$l = r(h - 1)$$

また、この二等辺三角形を高さで半分に割った直角三角形について、三平方の定理より、

$$l^2 = r^2 + h^2$$

が成り立つ。ここに $l = r(h - 1)$ を代入して $l$ を消去すると、

$$r^2(h - 1)^2 = r^2 + h^2$$

$$r^2(h^2 - 2h + 1) = r^2 + h^2$$

$$r^2 h^2 - 2r^2 h = h^2$$

$$h(r^2 h - 2r^2 - h) = 0$$

$h > 0$ であるから、両辺を $h$ で割って、

$$r^2 h - 2r^2 - h = 0$$

$$h(r^2 - 1) = 2r^2$$

$r > 1$ より $r^2 - 1 \neq 0$ であるから、

$$h = \frac{2r^2}{r^2 - 1}$$

を得る。 直円錐の表面積 $S$ は、底面積 $\pi r^2$ と側面積 $\pi r l$ の和である。 ここで、先ほど求めた関係式 $r + l = rh$ を用いると、

$$S = \pi r^2 + \pi r l = \pi r (r + l) = \pi r (rh) = \pi r^2 h$$

と表せる。これに $h$ の式を代入して、

$$S = \pi r^2 \cdot \frac{2r^2}{r^2 - 1} = \frac{2\pi r^4}{r^2 - 1}$$

(2)

(1)で求めた $S$ を $r$ で微分して増減を調べる。

$$S'(r) = 2\pi \frac{4r^3(r^2 - 1) - r^4 \cdot 2r}{(r^2 - 1)^2} = 2\pi \frac{4r^5 - 4r^3 - 2r^5}{(r^2 - 1)^2} = \frac{4\pi r^3(r^2 - 2)}{(r^2 - 1)^2}$$

$r > 1$ において $S'(r) = 0$ となるのは、$r^2 - 2 = 0$ より $r = \sqrt{2}$ のときである。 $1 < r < \sqrt{2}$ の範囲では $S'(r) < 0$、$r > \sqrt{2}$ の範囲では $S'(r) > 0$ となるため、$S$ は $r = \sqrt{2}$ のとき極小かつ最小となる。 最小値は、

$$S(\sqrt{2}) = \frac{2\pi (\sqrt{2})^4}{(\sqrt{2})^2 - 1} = \frac{2\pi \cdot 4}{2 - 1} = 8\pi$$

解法2

(1)

直円錐の回転軸を含む平面で切断した断面の二等辺三角形において、底面と側面のなす角(底角)を $\alpha$ とおく。 内接円の中心から底面の接点までの距離は $1$ であり、底面の中心から頂点までの距離(底面の半径)は $r$ である。 底角の二等分線は内接円の中心を通るため、

$$\tan \frac{\alpha}{2} = \frac{1}{r}$$

が成り立つ。 直円錐の高さを $h$、母線を $l$ とすると、直角三角形の辺の比より、

$$h = r \tan \alpha$$

$$l = \frac{r}{\cos \alpha}$$

ここで、半角の公式および2倍角の公式を用いて $\tan \alpha$ と $\cos \alpha$ を $r$ で表す。

$$\tan \alpha = \frac{2 \tan \frac{\alpha}{2}}{1 - \tan^2 \frac{\alpha}{2}} = \frac{\frac{2}{r}}{1 - \frac{1}{r^2}} = \frac{2r}{r^2 - 1}$$

$$\cos \alpha = \frac{1 - \tan^2 \frac{\alpha}{2}}{1 + \tan^2 \frac{\alpha}{2}} = \frac{1 - \frac{1}{r^2}}{1 + \frac{1}{r^2}} = \frac{r^2 - 1}{r^2 + 1}$$

これらを代入して、$h$ と $l$ はそれぞれ、

$$h = r \cdot \frac{2r}{r^2 - 1} = \frac{2r^2}{r^2 - 1}$$

$$l = r \cdot \frac{r^2 + 1}{r^2 - 1} = \frac{r(r^2 + 1)}{r^2 - 1}$$

直円錐の表面積 $S$ は底面積と側面積の和であるから、

$$S = \pi r^2 + \pi r l = \pi r^2 + \pi r \cdot \frac{r(r^2 + 1)}{r^2 - 1} = \pi r^2 \left( 1 + \frac{r^2 + 1}{r^2 - 1} \right)$$

かっこの中を通分して整理すると、

$$S = \pi r^2 \left( \frac{r^2 - 1 + r^2 + 1}{r^2 - 1} \right) = \frac{2\pi r^4}{r^2 - 1}$$

(2)

最小値を求めるために、相加平均と相乗平均の大小関係を利用する。 $r > 1$ より $r^2 - 1 > 0$ であるから、$r^2 - 1 = t$ とおくと、$t > 0$ かつ $r^2 = t + 1$ である。 これを $S$ の式に代入すると、

$$S = \frac{2\pi (t + 1)^2}{t} = 2\pi \frac{t^2 + 2t + 1}{t} = 2\pi \left( t + \frac{1}{t} + 2 \right)$$

$t > 0$ より $\frac{1}{t} > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係により、

$$t + \frac{1}{t} \geqq 2\sqrt{t \cdot \frac{1}{t}} = 2$$

が成り立つ。等号が成立するのは $t = \frac{1}{t}$ すなわち $t^2 = 1$ のときであり、$t > 0$ より $t = 1$ のときである。 このとき $r^2 = 2$ であり、$r > 1$ より $r = \sqrt{2}$ となるため条件を満たす。 したがって、式の値が最小となるとき、$S$ の最小値は、

$$S = 2\pi (2 + 2) = 8\pi$$

解説

空間図形を扱う際、中心軸を通る平面で切断して平面図形に帰着させる手法は基本中の基本である。 本問では、(1)における表面積 $S$ の計算において、側面積と底面積を別々に計算するのではなく、断面の二等辺三角形の面積を2通りに表すことで得られる $r+l = rh$ という関係を用いると、計算量を大幅に減らすことができる。 また、(2)の最小値を求める場面では、微分して増減表を書くのが標準的な解法であるが、次数を下げて相加平均と相乗平均の大小関係に持ち込む手法(解法2)も難関大学の入試では頻出かつ強力である。文字の置き換えによって式の構造を見やすくする工夫を身につけたい。

答え

(1) $S = \frac{2\pi r^4}{r^2 - 1}$

(2) $8\pi$

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