数学2 接線・不等式 問題 3 解説

方針・初手
曲線上の接点の $x$ 座標を $t$ とおき、接線の方程式を立てる。その接線が点 $(0, 1)$ を通るという条件から、$t$ に関する方程式を導く。3次関数の場合、接点が異なれば接線も異なるため、この $t$ の方程式が異なる実数解をちょうど2個持つ条件を考えればよい。
解法1
$f(x) = x^3 - ax^2$ とおくと、$f'(x) = 3x^2 - 2ax$ である。
曲線 $y = f(x)$ 上の点 $(t, t^3 - at^2)$ における接線の方程式は、
$$y - (t^3 - at^2) = (3t^2 - 2at)(x - t)$$
すなわち、
$$y = (3t^2 - 2at)x - 2t^3 + at^2$$
である。この直線が点 $(0, 1)$ を通るので、
$$1 = -2t^3 + at^2$$
$$2t^3 - at^2 + 1 = 0 \quad \cdots (*)$$
が成り立つ。3次関数のグラフにおいて、接点が異なれば接線も異なる。したがって、条件を満たすのは、接点の $x$ 座標 $t$ を求める方程式 $(*)$ がちょうど2つの異なる実数解を持つときである。
$g(t) = 2t^3 - at^2 + 1$ とおく。3次方程式 $g(t) = 0$ がちょうど2つの異なる実数解を持つための条件は、関数 $y = g(t)$ が極値を有し、かつ極大値または極小値の一方が $0$ になることである。
$$g'(t) = 6t^2 - 2at = 2t(3t - a)$$
関数 $g(t)$ が極値を持つためには、$g'(t) = 0$ が異なる2つの実数解を持たなければならないため、$a \neq 0$ である。このとき、$g(t)$ は $t = 0, \frac{a}{3}$ で極値をとる。
極値の積が $0$ になればよいので、
$$g(0)g\left(\frac{a}{3}\right) = 0$$
$$1 \cdot \left( 2\left(\frac{a}{3}\right)^3 - a\left(\frac{a}{3}\right)^2 + 1 \right) = 0$$
$$\frac{2a^3}{27} - \frac{a^3}{9} + 1 = 0$$
$$-\frac{a^3}{27} + 1 = 0$$
$$a^3 = 27$$
$a$ は実数であるから、$a = 3$ となる。これは $a \neq 0$ を満たす。
$a = 3$ のとき、方程式 $(*)$ は、
$$2t^3 - 3t^2 + 1 = 0$$
$$(t - 1)^2(2t + 1) = 0$$
となるから、接点の $x$ 座標は $t = 1, -\frac{1}{2}$ である。これらを接線の式 $y = (3t^2 - 2at)x - 2t^3 + at^2$ (切片は $1$ と分かっているので $y = (3t^2 - 6t)x + 1$)に代入する。
$t = 1$ のとき、傾きは $3 \cdot 1^2 - 6 \cdot 1 = -3$ より、
$$y = -3x + 1$$
$t = -\frac{1}{2}$ のとき、傾きは $3 \cdot \left(-\frac{1}{2}\right)^2 - 6 \cdot \left(-\frac{1}{2}\right) = \frac{3}{4} + 3 = \frac{15}{4}$ より、
$$y = \frac{15}{4}x + 1$$
となる。
解法2
接点に関する方程式 $(*)$ を導くところまでは解法1と同様である。
$$2t^3 - at^2 + 1 = 0 \quad \cdots (*)$$
$t = 0$ はこの方程式を満たさないため、$t \neq 0$ である。両辺を $t^2$ で割り、$a$ について解くと、
$$a = 2t + \frac{1}{t^2}$$
となる。この方程式が異なる実数解をちょうど2個持つ条件は、関数 $h(t) = 2t + \frac{1}{t^2} \ (t \neq 0)$ のグラフと直線 $y = a$ の共有点がちょうど2個になることである。
$$h'(t) = 2 - \frac{2}{t^3} = \frac{2(t^3 - 1)}{t^3} = \frac{2(t - 1)(t^2 + t + 1)}{t^3}$$
すべての実数 $t$ において $t^2 + t + 1 = \left(t + \frac{1}{2}\right)^2 + \frac{3}{4} > 0$ であるから、$h'(t) = 0$ となるのは $t = 1$ のときのみである。
増減を調べると以下のようになる。
- $t < 0$ のとき、$h'(t) > 0$ であり単調増加。$\lim_{t \to -\infty} h(t) = -\infty$、$\lim_{t \to -0} h(t) = \infty$。
- $0 < t < 1$ のとき、$h'(t) < 0$ であり単調減少。$\lim_{t \to +0} h(t) = \infty$。
- $t > 1$ のとき、$h'(t) > 0$ であり単調増加。$\lim_{t \to \infty} h(t) = \infty$。
$t = 1$ のとき極小となり、極小値は $h(1) = 3$ である。
関数 $y = h(t)$ のグラフの概形より、直線 $y = a$ との共有点がちょうど2個となるのは、直線が極小値を通るときである。よって、
$$a = 3$$
である。このとき、共有点の $t$ 座標は $t = 1$ であり、もう1つの解は $2t + \frac{1}{t^2} = 3$ を解いて、
$$2t^3 - 3t^2 + 1 = 0$$
$$(t - 1)^2(2t + 1) = 0$$
より、$t = -\frac{1}{2}$ と求まる。これ以降は解法1と同様に各 $t$ に対する接線の方程式を求める。
解説
「曲線外の点から引いた接線の本数」に関する典型問題である。3次関数の場合、「接線の本数」と「接点の個数」が1対1に対応することを利用して、接点の $x$ 座標に関する3次方程式の実数解の個数の問題に帰着させるのが基本方針となる。
方程式の実数解の個数を調べる手段としては、解法1のような「(極大値)×(極小値)= 0」を利用する図形的な条件を用いる方法と、解法2のような「定数分離」を行い、グラフの交点の個数として視覚的に捉える方法がある。どちらも頻出の手法であるため、確実に定着させておきたい。
答え
$a = 3$
$y = -3x + 1$
$y = \frac{15}{4}x + 1$
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