数学2 接線・不等式 問題 16 解説

方針・初手
- (1) について、曲線 $y=f(x)$ 上の接線の傾きは導関数 $f'(x)$ によって与えられます。傾きが $m$ の接線が2本引けるということは、方程式 $f'(x)=m$ が異なる2つの実数解をもつということと同値です。したがって、2次方程式の判別式の条件に帰着させます。
- (2) について、接点 $\text{P}, \text{Q}$ の $x$ 座標は方程式 $f'(x)=m$ の2つの解です。これらを $\alpha, \beta$ とおき、解と係数の関係を用いて中点 $\text{R}$ の座標を計算するのが基本方針です。
解法1
(1)
関数 $f(x) = x^3 - 3ax^2 + 2x + 1$ を微分すると、導関数は次のようになります。
$$f'(x) = 3x^2 - 6ax + 2$$
曲線 $y=f(x)$ 上の点 $(x, f(x))$ における接線の傾きは $f'(x)$ です。 傾きが $m$ である接線が2本引けるための条件は、方程式 $f'(x) = m$ すなわち
$$3x^2 - 6ax + 2 - m = 0$$
が異なる2つの実数解をもつことです。 この $x$ についての2次方程式の判別式を $D$ とすると、$D > 0$ となることが条件です。
$$\frac{D}{4} = (-3a)^2 - 3(2 - m) = 9a^2 - 6 + 3m$$
したがって、
$$9a^2 - 6 + 3m > 0$$
$$3m > 6 - 9a^2$$
$$m > 2 - 3a^2$$
(2)
接点 $\text{P}, \text{Q}$ の $x$ 座標をそれぞれ $\alpha, \beta$ とおきます。 これらは $x$ についての2次方程式 $3x^2 - 6ax + 2 - m = 0$ の異なる2つの実数解です。 解と係数の関係から、次の等式が成り立ちます。
$$\alpha + \beta = \frac{6a}{3} = 2a$$
$$\alpha\beta = \frac{2 - m}{3}$$
線分 $\text{PQ}$ の中点 $\text{R}$ の $x$ 座標を $x_R$、 $y$ 座標を $y_R$ とします。 まず、$x_R$ は次のように求まります。
$$x_R = \frac{\alpha + \beta}{2} = \frac{2a}{2} = a$$
次に、$y_R$ は $y_R = \frac{f(\alpha) + f(\beta)}{2}$ で計算できます。 ここで、$f(\alpha) + f(\beta)$ を計算します。
$$\begin{aligned} f(\alpha) + f(\beta) &= (\alpha^3 - 3a\alpha^2 + 2\alpha + 1) + (\beta^3 - 3a\beta^2 + 2\beta + 1) \\ &= (\alpha^3 + \beta^3) - 3a(\alpha^2 + \beta^2) + 2(\alpha + \beta) + 2 \end{aligned}$$
各項を $\alpha + \beta$ と $\alpha\beta$ を用いて表します。
$$\begin{aligned} \alpha^2 + \beta^2 &= (\alpha + \beta)^2 - 2\alpha\beta \\ &= (2a)^2 - 2\left(\frac{2 - m}{3}\right) \\ &= 4a^2 - \frac{4 - 2m}{3} \end{aligned}$$
$$\begin{aligned} \alpha^3 + \beta^3 &= (\alpha + \beta)^3 - 3\alpha\beta(\alpha + \beta) \\ &= (2a)^3 - 3\left(\frac{2 - m}{3}\right)(2a) \\ &= 8a^3 - 2a(2 - m) \\ &= 8a^3 - 4a + 2am \end{aligned}$$
これらを代入して計算します。
$$\begin{aligned} f(\alpha) + f(\beta) &= (8a^3 - 4a + 2am) - 3a\left(4a^2 - \frac{4 - 2m}{3}\right) + 2(2a) + 2 \\ &= 8a^3 - 4a + 2am - 12a^3 + a(4 - 2m) + 4a + 2 \\ &= -4a^3 + 2am - 4a + 2am + 4a + 2 \\ &= -4a^3 + 4a + 2 \end{aligned}$$
したがって、$y_R$ は次のようになります。
$$y_R = \frac{-4a^3 + 4a + 2}{2} = -2a^3 + 2a + 1$$
解法2
(2) の別解
3次関数のグラフの対称性を利用します。 曲線 $y = f(x)$ を $x$ 軸方向に $-a$ だけ平行移動した曲線の式を調べます。 $x$ を $X + a$ に置き換えると、
$$\begin{aligned} f(X + a) &= (X + a)^3 - 3a(X + a)^2 + 2(X + a) + 1 \\ &= (X^3 + 3aX^2 + 3a^2X + a^3) - 3a(X^2 + 2aX + a^2) + 2X + 2a + 1 \\ &= X^3 + (2 - 3a^2)X - 2a^3 + 2a + 1 \end{aligned}$$
ここで、$Y = y - (-2a^3 + 2a + 1)$ とおくと、
$$Y = X^3 + (2 - 3a^2)X$$
となります。右辺は $X$ の奇関数であるため、この曲線は原点 $(X, Y) = (0, 0)$ に関して点対称です。 すなわち、元の曲線 $y = f(x)$ は点 $(a, -2a^3 + 2a + 1)$ に関して点対称であることが分かります。
曲線上の点で接線の傾きが等しい2点 $\text{P}, \text{Q}$ は、この対称の中心に関して対称な位置に存在します。 したがって、線分 $\text{PQ}$ の中点 $\text{R}$ は、対称の中心に一致します。
これより、中点 $\text{R}$ の座標は $(a, -2a^3 + 2a + 1)$ と求められます。
解説
- (2) の解答において、解法1は「解と係数の関係」と「対称式」を用いた代数的な計算アプローチです。計算量はやや多くなりますが、最も標準的で確実な方法です。
- 解法2は「3次関数のグラフは変曲点に関して点対称である」という性質を利用したものです。一般に3次関数 $y = p x^3 + q x^2 + r x + s$ は、変曲点 $\left(-\frac{q}{3p}, f\left(-\frac{q}{3p}\right)\right)$ に関して点対称となります。この性質を知っていれば、大幅に計算を省略することが可能です。記述式解答で用いる場合は、解法2のように平行移動を用いて原点対称になることを式で示すと減点される心配がありません。
答え
(1)
$$m > 2 - 3a^2$$
(2)
$$x \text{座標: } a, \quad y \text{座標: } -2a^3 + 2a + 1$$
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