数学2 接線・不等式 問題 28 解説

方針・初手
(1) は微分を用いて接線 $\ell_2$ の方程式または傾きを求め、直線 $\ell_1$ とのなす角を方向ベクトルまたは傾き角の関係から導く。 (2) は対称移動した直線の傾きを、加法定理(または2倍角の公式)を用いて計算する。 (3) は $t$ についての恒等式として処理し、定点の座標を求める。 (4) は直線と放物線の交点間の距離を求める典型問題である。交点の $x$ 座標を文字でおき、解と係数の関係を用いて距離の2乗を立式した後、相加平均と相乗平均の大小関係を用いて最小値を求める。
解法1
(1)
$C: y = \frac{x^2}{4}$ を微分すると $y' = \frac{x}{2}$ である。 $x=t$ における接線 $\ell_2$ の傾きは $\frac{t}{2}$ であるため、$\ell_2$ の方向ベクトルの1つとして $\vec{u} = (2, t)$ がとれる。 また、直線 $\ell_1: x=t$ は $y$ 軸に平行な直線であるから、その方向ベクトルの1つとして $\vec{v} = (0, 1)$ がとれる。 $\ell_1$ と $\ell_2$ のなす角 $\theta$ $\left(0 \leqq \theta \leqq \frac{\pi}{2}\right)$ の余弦は、これら2つの方向ベクトルのなす角の余弦の絶対値として求められる。
$$\cos\theta = \frac{|\vec{u} \cdot \vec{v}|}{|\vec{u}| |\vec{v}|} = \frac{|2 \cdot 0 + t \cdot 1|}{\sqrt{2^2 + t^2} \sqrt{0^2 + 1^2}} = \frac{|t|}{\sqrt{t^2 + 4}}$$
$t > 0$ であるから、$|t| = t$ となり、以下のようになる。
$$\cos\theta = \frac{t}{\sqrt{t^2 + 4}}$$
(2)
$\ell_2$ は点 $\left(t, \frac{t^2}{4}\right)$ を通る傾き $\frac{t}{2}$ の直線である。 $\ell_2$ が $x$ 軸の正の向きとなす角を $\alpha$ $\left(0 < \alpha < \frac{\pi}{2}\right)$ とすると、$\tan\alpha = \frac{t}{2}$ である。 一方、直線 $\ell_1$ は $y$ 軸に平行であるため、$x$ 軸の正の向きとなす角は $\frac{\pi}{2}$ である。 直線 $\ell_1$ を $\ell_2$ に関して対称移動させた直線 $\ell_3$ が $x$ 軸の正の向きとなす角を $\beta$ とおく。 $\ell_2$ は $\ell_1$ と $\ell_3$ のなす角の二等分線となるため、図形的な関係から次が成り立つ。
$$\frac{\pi}{2} - \alpha = \alpha - \beta \iff \beta = 2\alpha - \frac{\pi}{2}$$
$\ell_3$ の傾き $m$ は $\tan\beta$ であり、以下のように計算できる。
$$\begin{aligned} m &= \tan\left(2\alpha - \frac{\pi}{2}\right) \\ &= -\frac{1}{\tan(2\alpha)} \\ &= -\frac{1 - \tan^2\alpha}{2\tan\alpha} \\ &= -\frac{1 - \left(\frac{t}{2}\right)^2}{2 \cdot \frac{t}{2}} \\ &= -\frac{1 - \frac{t^2}{4}}{t} \\ &= \frac{t^2 - 4}{4t} \end{aligned}$$
$\ell_3$ は $\ell_1$ と $\ell_2$ の交点 $\left(t, \frac{t^2}{4}\right)$ を通るので、その方程式は次のように求められる。
$$y - \frac{t^2}{4} = \frac{t^2 - 4}{4t}(x - t)$$
$$y = \frac{t^2 - 4}{4t}x - \frac{t^2 - 4}{4} + \frac{t^2}{4}$$
$$y = \frac{t^2 - 4}{4t}x + 1$$
(3)
(2) で求めた $\ell_3$ の方程式の分母を払い、$t$ について整理する。
$$4ty = (t^2 - 4)x + 4t$$
$$x t^2 - 4(y - 1)t - 4x = 0$$
これが任意の $t > 0$ に対して成り立つための条件は、すべての係数が $0$ になることである。
$$\begin{cases} x = 0 \\ -4(y - 1) = 0 \\ -4x = 0 \end{cases}$$
これを解くと、$x = 0, y = 1$ となる。 したがって、$\ell_3$ は $t$ の値によらず定点 $(0, 1)$ を通る。
(4)
$\ell_3$ と $C$ の共有点 P, Q の $x$ 座標を求めるため、2式を連立する。
$$\frac{x^2}{4} = \frac{t^2 - 4}{4t}x + 1$$
両辺を4倍して整理する。
$$x^2 - \frac{t^2 - 4}{t}x - 4 = 0 \cdots \text{①}$$
①の判別式を $D$ とすると、$D = \left(\frac{t^2 - 4}{t}\right)^2 - 4 \cdot 1 \cdot (-4) = \left(\frac{t^2 - 4}{t}\right)^2 + 16 > 0$ となり、①は異なる2つの実数解をもつ。 これらの解を $x_1, x_2$ とすると、解と係数の関係より次が成り立つ。
$$\begin{cases} x_1 + x_2 = \frac{t^2 - 4}{t} \\ x_1 x_2 = -4 \end{cases}$$
ここで、$(x_2 - x_1)^2$ を計算する。
$$\begin{aligned} (x_2 - x_1)^2 &= (x_1 + x_2)^2 - 4x_1 x_2 \\ &= \left(\frac{t^2 - 4}{t}\right)^2 - 4(-4) \\ &= \frac{t^4 - 8t^2 + 16}{t^2} + 16 \\ &= \frac{t^4 + 8t^2 + 16}{t^2} \\ &= \frac{(t^2 + 4)^2}{t^2} \end{aligned}$$
$\ell_3$ の傾きを $m = \frac{t^2 - 4}{4t}$ とおくと、線分 PQ の長さ $L$ の2乗は次のように表される。
$$\begin{aligned} L^2 &= (x_2 - x_1)^2 + (mx_2 - mx_1)^2 \\ &= (1 + m^2)(x_2 - x_1)^2 \end{aligned}$$
$1 + m^2$ を計算する。
$$\begin{aligned} 1 + m^2 &= 1 + \left(\frac{t^2 - 4}{4t}\right)^2 \\ &= 1 + \frac{t^4 - 8t^2 + 16}{16t^2} \\ &= \frac{16t^2 + t^4 - 8t^2 + 16}{16t^2} \\ &= \frac{t^4 + 8t^2 + 16}{16t^2} \\ &= \frac{(t^2 + 4)^2}{16t^2} \end{aligned}$$
これらを代入して $L^2$ を求める。
$$\begin{aligned} L^2 &= \frac{(t^2 + 4)^2}{16t^2} \cdot \frac{(t^2 + 4)^2}{t^2} \\ &= \frac{(t^2 + 4)^4}{16t^4} \end{aligned}$$
$L > 0, t > 0$ であるから、正の平方根をとる。
$$\begin{aligned} L &= \frac{(t^2 + 4)^2}{4t^2} \\ &= \frac{1}{4} \left(\frac{t^2 + 4}{t}\right)^2 \\ &= \frac{1}{4} \left(t + \frac{4}{t}\right)^2 \end{aligned}$$
ここで、$t > 0, \frac{4}{t} > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より次が成り立つ。
$$t + \frac{4}{t} \geqq 2\sqrt{t \cdot \frac{4}{t}} = 2 \cdot 2 = 4$$
等号が成立するのは、$t = \frac{4}{t}$ すなわち $t^2 = 4$ のときである。 $t > 0$ であるから、$t = 2$ のとき等号が成立し、$t + \frac{4}{t}$ は最小値 $4$ をとる。 $L$ は $t + \frac{4}{t}$ が最小のとき最小となるから、線分 PQ の長さが最小になるような $t$ の値は $t = 2$ である。
解説
放物線の光学的性質を背景とした問題である。放物線の軸に平行に入射した光は、放物線上で反射すると必ず焦点を通るという性質がある。(3)で導いた定点 $(0, 1)$ は、放物線 $y = \frac{x^2}{4}$ の焦点に他ならない。 (4)の「直線で切り取られる放物線の弦の長さ」は、解と係数の関係を用いて $L^2 = (1 + m^2)(x_2 - x_1)^2$ から計算するのが定石である。計算量を減らすため、途中の式変形を丁寧に行い、最後に相加相乗平均の関係へ持ち込む流れを確実におさえたい。
答え
(1) $\cos\theta = \frac{t}{\sqrt{t^2 + 4}}$
(2) $y = \frac{t^2 - 4}{4t}x + 1$
(3) 解法1に記載の通り。定点 $(0, 1)$ を通る。
(4) $t = 2$
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