数学2 複素数 問題 16 解説

方針・初手
与えられた方程式の係数に虚数 $i$ が含まれているため、実数係数の2次方程式のように判別式 $D$ を用いて実数解の条件を議論することはできない。
方程式が実数解をもつという条件が与えられているので、その実数解を $x = \alpha$ ($\alpha$ は実数)とおいて方程式に代入する。その後、式を $A + Bi = 0$ ($A, B$ は実数)の形に整理し、複素数の相等条件($A = 0$ かつ $B = 0$)を利用して連立方程式を立てるのが基本方針である。
解法1
方程式がもつ実数解の1つを $x = \alpha$ ($\alpha$ は実数)とおく。
これを方程式に代入すると、
$$(a+i)\alpha^2 + 2(1+i)\alpha + 1+ai = 0$$
左辺を実部と虚部に分けて整理すると、
$$(a\alpha^2 + 2\alpha + 1) + (\alpha^2 + 2\alpha + a)i = 0$$
$a, \alpha$ は実数であるから、$a\alpha^2 + 2\alpha + 1$ と $\alpha^2 + 2\alpha + a$ も実数である。複素数の相等より、
$$\begin{cases} a\alpha^2 + 2\alpha + 1 = 0 \quad \cdots ① \\ \alpha^2 + 2\alpha + a = 0 \quad \cdots ② \end{cases}$$
① $-$ ② を計算して $\alpha$ の1次以上の項をまとめると、
$$(a-1)\alpha^2 + 1 - a = 0$$
$$(a-1)(\alpha^2 - 1) = 0$$
これより、$a = 1$ または $\alpha^2 = 1$ すなわち $\alpha = \pm 1$ を得る。それぞれの場合について調べる。
(i) $a = 1$ のとき
①、②はともに $\alpha^2 + 2\alpha + 1 = 0$ となる。
$$(\alpha + 1)^2 = 0$$
これを解くと $\alpha = -1$ となり、実数解をもつため適する。 このとき、もとの方程式に $a = 1$ を代入すると、
$$(1+i)x^2 + 2(1+i)x + 1+i = 0$$
$1+i \neq 0$ であるから両辺を $1+i$ で割ると、
$$x^2 + 2x + 1 = 0$$
$$(x+1)^2 = 0$$
よって、このときの解は $x = -1$ である。
(ii) $\alpha = 1$ のとき
②に代入すると、
$$1^2 + 2\cdot 1 + a = 0$$
$$a = -3$$
このとき①に $a = -3, \alpha = 1$ を代入すると、$-3\cdot 1^2 + 2\cdot 1 + 1 = 0$ となり成立する。したがって、$a = -3$ は適する。 このとき、もとの方程式に $a = -3$ を代入すると、
$$(-3+i)x^2 + 2(1+i)x + 1-3i = 0$$
$x = 1$ を解にもつことから、左辺は $x - 1$ を因数にもつ。因数分解すると、
$$(x - 1)\{(-3+i)x - (1-3i)\} = 0$$
$x = 1$ 以外のもう一つの解は、
$$x = \frac{1-3i}{-3+i} = \frac{(1-3i)(-3-i)}{(-3+i)(-3-i)} = \frac{-3 - i + 9i - 3}{(-3)^2 - i^2} = \frac{-6 + 8i}{10} = -\frac{3}{5} + \frac{4}{5}i$$
よって、このときの解は $x = 1, -\frac{3}{5} + \frac{4}{5}i$ である。
(iii) $\alpha = -1$ のとき
②に代入すると、
$$(-1)^2 + 2\cdot (-1) + a = 0$$
$$1 - 2 + a = 0$$
$$a = 1$$
これは (i) の場合と同じであるため、同様に解は $x = -1$ となる。
以上より、求める実数 $a$ の値と、そのときの方程式の解は決定される。
解説
方程式の係数に虚数単位 $i$ が含まれる場合は、原則として判別式を使うことができない。判別式は二次方程式 $ax^2+bx+c=0$ において、$a, b, c$ がすべて実数であるときにのみ、実数解の個数の判定に用いることができるからである。
本問のような「虚数係数の方程式が実数解をもつ」という問題では、求める実数解を文字でおいて代入し、実部と虚部に整理して複素数の相等($A+Bi=0 \iff A=0, B=0$)に持ち込むのが最も確実で典型的な解法である。
連立方程式を解く過程で、最高次の項である $\alpha^2$ を消去するように辺々を引くことがポイントである。その後、導かれた条件について場合分けを丁寧に行うことで、過不足なく答えを求めることができる。
答え
$a = 1$ のとき、解は $x = -1$
$a = -3$ のとき、解は $x = 1, -\frac{3}{5} + \frac{4}{5}i$
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