数学2 三角関数 問題 1 解説

方針・初手
棒の長さを文字でおき、与えられた仰角の条件から方程式を立てる。 水平面に垂直な棒と、観測点A、Bからなる2つの直角三角形に注目し、三角比を用いて各線分の長さを表す。 立式して得られる $\tan 44^\circ$ を、加法定理を用いて $\tan 1^\circ$ の式に変形し、与えられた不等式の条件を用いて棒の長さを評価する。
解法1
棒の長さを $h$ (メートル) とする。 棒は水平面 V に垂直に立っているため、$\triangle \text{XOA}$ および $\triangle \text{XOB}$ はそれぞれ $\angle \text{XOA} = 90^\circ$、$\angle \text{XOB} = 90^\circ$ の直角三角形である。 また、点 A は線分 OB 上にあるので、O, A, B はこの順に同一直線上に並んでいる。したがって、線分の長さについて以下が成り立つ。
$$OB = OA + AB$$
$AB = 1$ であるから、$OB = OA + 1$ である。
点 A から先端 X を見た仰角が $45^\circ$ であるから、$\triangle \text{XOA}$ において以下の関係が成り立つ。
$$\tan 45^\circ = \frac{XO}{OA}$$
$XO = h$、$ \tan 45^\circ = 1$ より、$1 = \frac{h}{OA}$ となり、$OA = h$ が得られる。
次に、点 B から先端 X を見た仰角が $44^\circ$ であるから、$\triangle \text{XOB}$ において以下の関係が成り立つ。
$$\tan 44^\circ = \frac{XO}{OB}$$
$XO = h$、$ OB = h + 1$ を代入する。
$$\tan 44^\circ = \frac{h}{h + 1}$$
この式を $h$ について解く。
$$h = (h + 1)\tan 44^\circ$$
$$h - h\tan 44^\circ = \tan 44^\circ$$
$$h(1 - \tan 44^\circ) = \tan 44^\circ$$
$$h = \frac{\tan 44^\circ}{1 - \tan 44^\circ}$$
ここで、正接の加法定理を用いて $\tan 44^\circ$ を変形する。
$$\tan 44^\circ = \tan (45^\circ - 1^\circ) = \frac{\tan 45^\circ - \tan 1^\circ}{1 + \tan 45^\circ \tan 1^\circ} = \frac{1 - \tan 1^\circ}{1 + \tan 1^\circ}$$
これを先ほどの $h$ の式に代入する。
$$h = \frac{\frac{1 - \tan 1^\circ}{1 + \tan 1^\circ}}{1 - \frac{1 - \tan 1^\circ}{1 + \tan 1^\circ}}$$
分母・分子に $1 + \tan 1^\circ$ を掛けて整理する。
$$h = \frac{1 - \tan 1^\circ}{(1 + \tan 1^\circ) - (1 - \tan 1^\circ)}$$
$$h = \frac{1 - \tan 1^\circ}{2\tan 1^\circ}$$
$$h = \frac{1}{2\tan 1^\circ} - \frac{1}{2}$$
与えられた条件 $0.01745 < \tan 1^\circ < 0.01746$ を用いて、$h$ の値の範囲を絞り込む。 各辺を2倍する。
$$0.03490 < 2\tan 1^\circ < 0.03492$$
各辺は正であるから、逆数をとると大小関係が反転する。
$$\frac{1}{0.03492} < \frac{1}{2\tan 1^\circ} < \frac{1}{0.03490}$$
ここで、左辺と右辺の値をそれぞれ計算する。
$$\frac{1}{0.03492} = \frac{100000}{3492} = 28.636 \dots$$
$$\frac{1}{0.03490} = \frac{100000}{3490} = 28.653 \dots$$
したがって、$\frac{1}{2\tan 1^\circ}$ の範囲は以下のようになる。
$$28.636 \dots < \frac{1}{2\tan 1^\circ} < 28.653 \dots$$
辺々から $\frac{1}{2} = 0.5$ を引く。
$$28.136 \dots < \frac{1}{2\tan 1^\circ} - \frac{1}{2} < 28.153 \dots$$
すなわち、$h$ の範囲は以下の通りである。
$$28.136 \dots < h < 28.153 \dots$$
求める棒の長さは $h$ の小数点以下を四捨五入した値である。 $h$ の小数第一位は $1$ であるため、切り捨てられる。よって、棒の長さは $28$ メートルである。
解説
立体の状況設定であるが、点 O, A, B が一直線上にあることから、本質的には1つの平面上にある2つの直角三角形を扱う基本問題に帰着される。 最大の難所は $\tan 44^\circ$ の処理である。問題文に $\tan 1^\circ$ の近似値が与えられていることから、$44^\circ = 45^\circ - 1^\circ$ とみなして加法定理を用いる発想が求められる。 また、最終的な近似計算においては、不等式の逆数をとる際の向きの変化や、評価の精度が十分であるかどうかの確認を怠らないようにしたい。
答え
28
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