数学2 三角関数 問題 38 解説

方針・初手
- 問題の条件より、$A=30^\circ$ および $\triangle\text{ABC}$ が $\text{AB}=\text{AC}$ の二等辺三角形であることから、底角 $B=75^\circ$ が直ちに定まることに着目する。
- (1) は、頂角から底辺に下ろした垂線が底辺を2等分するという二等辺三角形の性質を利用し、直角三角形の三角比の問題に帰着させるか、正弦定理を利用して線分の比を求める。
- (3) は、求めた角度を代入し、三角関数の加法定理、半角の公式、または積和の公式等を適切に用いて計算を行う。
解法1
(1)
$\triangle\text{ABC}$ は $\text{AB}=\text{AC}$ の二等辺三角形であるから、$\angle\text{C} = \angle\text{B} = B$ である。 三角形の内角の和は $180^\circ$ であるから、
$$A + 2B = 180^\circ$$
$A = 30^\circ$ より、
$$2B = 150^\circ \iff B = 75^\circ$$
となる。 $\triangle\text{ABC}$ において、頂点 A から底辺 BC に下ろした垂線 AH は、底辺 BC を垂直に2等分する。 よって、直角三角形 $\text{ABH}$ において $\angle\text{ABH} = 75^\circ$、$\text{BC} = 2\text{BH}$ が成り立つ。
直角三角形 $\text{ABH}$ における三角比の定義より、$\text{AH} = \text{BH} \tan 75^\circ$ であるから、
$$\frac{\text{AH}}{\text{BC}} = \frac{\text{BH} \tan 75^\circ}{2\text{BH}} = \frac{\tan 75^\circ}{2}$$
ここで、正接の加法定理より、
$$\tan 75^\circ = \tan(45^\circ + 30^\circ) = \frac{\tan 45^\circ + \tan 30^\circ}{1 - \tan 45^\circ \tan 30^\circ}$$
$$= \frac{1 + \frac{1}{\sqrt{3}}}{1 - 1 \cdot \frac{1}{\sqrt{3}}} = \frac{\sqrt{3} + 1}{\sqrt{3} - 1} = \frac{(\sqrt{3} + 1)^2}{3 - 1} = 2 + \sqrt{3}$$
ゆえに、
$$\frac{\text{AH}}{\text{BC}} = \frac{2 + \sqrt{3}}{2}$$
(3)
$A=30^\circ$、$B=75^\circ$ であるから、求める式の値は、
$$\sin\left(\frac{A}{2}\right)\cos B = \sin 15^\circ \cos 75^\circ$$
ここで、余角の公式 $\cos(90^\circ - \theta) = \sin \theta$ を用いると、$\cos 75^\circ = \cos(90^\circ - 15^\circ) = \sin 15^\circ$ であるから、
$$\sin 15^\circ \cos 75^\circ = \sin^2 15^\circ$$
半角の公式より、
$$\sin^2 15^\circ = \frac{1 - \cos 30^\circ}{2} = \frac{1 - \frac{\sqrt{3}}{2}}{2} = \frac{2 - \sqrt{3}}{4}$$
よって、
$$\sin\left(\frac{A}{2}\right)\cos B = \frac{2 - \sqrt{3}}{4}$$
解法2
(1)
正弦定理を用いた解法を示す。 $\triangle\text{ABC}$ において、$\text{AB}=\text{AC}=b$、$\text{BC}=a$ とおく。 正弦定理より、
$$\frac{a}{\sin A} = \frac{b}{\sin B} \iff a = \frac{b \sin A}{\sin B}$$
また、直角三角形 $\text{ABH}$ において、$\text{AH} = b \sin B$ である。 したがって、求める比は、
$$\frac{\text{AH}}{\text{BC}} = \frac{b \sin B}{a} = \frac{b \sin B}{\frac{b \sin A}{\sin B}} = \frac{\sin^2 B}{\sin A}$$
解法1と同様に $A=30^\circ$、$B=75^\circ$ であるから、
$$\sin A = \sin 30^\circ = \frac{1}{2}$$
半角の公式より、
$$\sin^2 B = \sin^2 75^\circ = \frac{1 - \cos 150^\circ}{2} = \frac{1 - \left(-\frac{\sqrt{3}}{2}\right)}{2} = \frac{2 + \sqrt{3}}{4}$$
ゆえに、
$$\frac{\text{AH}}{\text{BC}} = \frac{\frac{2 + \sqrt{3}}{4}}{\frac{1}{2}} = \frac{2 + \sqrt{3}}{2}$$
(3)
積和の公式を用いた解法を示す。 $A=30^\circ$、$B=75^\circ$ より、計算すべき式は $\sin 15^\circ \cos 75^\circ$ である。 積和の公式 $\sin x \cos y = \frac{1}{2}\{\sin(x+y) + \sin(x-y)\}$ を用いると、
$$\sin 15^\circ \cos 75^\circ = \frac{1}{2} \{\sin(15^\circ + 75^\circ) + \sin(15^\circ - 75^\circ)\}$$
$$= \frac{1}{2} \{\sin 90^\circ + \sin(-60^\circ)\} = \frac{1}{2} \left(1 - \frac{\sqrt{3}}{2}\right) = \frac{2 - \sqrt{3}}{4}$$
解説
本問は、二等辺三角形の図形的性質と、三角関数の各種公式(加法定理、半角の公式、積和の公式など)の運用能力を問う標準的な問題である。 (1) は、二等辺三角形の頂角の二等分線が底辺を垂直に二等分するという性質を見抜くことが出発点となる。解法1のように直角三角形の比に持ち込むのが直感的であるが、解法2のように正弦定理を用いて一般化された式から計算を進める手法も汎用性が高い。 (3) は、加法定理で $\sin 15^\circ$ と $\cos 75^\circ$ の値をそれぞれ求めてから掛け合わせることも可能であるが、計算量が膨らみミスの原因となる。解法1のように余角の公式を用いて次数を下げる、あるいは解法2のように積和の公式を用いて有名角の和に分解することで、計算を大幅に簡略化できる。 なお、提供された問題画像においては小問(2)が省略されているが、(1)と(3)の解答に影響はない。
答え
(1) $\displaystyle \frac{2 + \sqrt{3}}{2}$
(3) $\displaystyle \frac{2 - \sqrt{3}}{4}$
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