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数学2 三角関数 問題 117 解説

数学2 三角関数 問題 117 解説

方針・初手

光線の反射問題を扱う定石として、光線が辺で反射するごとに三角形のほうを線対称に折り返して平面に敷き詰め、光線自体は直進し続けるとみなすモデル(鏡像展開)を用いる。 正三角形の各辺による折り返しを繰り返すと、平面全体が正三角格子で敷き詰められる。このとき、頂点 $\text{A}$ を原点とし、$\vec{\text{AB}}$ と $\vec{\text{AC}}$ を基底とする斜交座標系を導入することで、正三角形の各辺が乗る直線や頂点の座標を非常に簡潔に数式化できる。どの頂点に到達するかは、格子点座標の規則性から判定し、反射回数は光線が交わる直線の本数を数えることで導き出す。

解法1

光線が辺に当たって反射する代わりに、光線は直進し続け、正三角形が各辺を軸として鏡映反転しながら平面に敷き詰められると考える。 頂点 $\text{A}$ を原点とし、$\vec{u} = \vec{\text{AB}}$ と $\vec{v} = \vec{\text{AC}}$ を基底ベクトルとする斜交座標系 $(x, y)$ を導入する。 点 $\text{P}$ の位置ベクトルが $\vec{\text{OP}} = x\vec{u} + y\vec{v}$ で表されるとき、その座標を $(x, y)$ と記す。

正三角形の 1 辺の長さを 1 とし、辺 $\text{AB}$ が直交座標 $(X, Y)$ の $X$ 軸に乗るように配置すると、斜交座標 $(x, y)$ と直交座標 $(X, Y)$ の関係は以下のようになる。

$$X = x + \frac{1}{2}y$$

$$Y = \frac{\sqrt{3}}{2}y$$

平面を敷き詰める正三角形の各辺が乗る直線群は、直交座標において水平な直線、傾き $\sqrt{3}$ の直線、傾き $-\sqrt{3}$ の直線の 3 種類である。これらを斜交座標に変換すると、整数 $m, n, l$ を用いてそれぞれ次のように極めてシンプルに表される。

$$y = n$$

$$x = m$$

$$x + y = l$$

これらの直線群によって形成される正三角格子の頂点は、$(x, y)$ がともに整数となる格子点 $(m, n)$ に対応する。 光線は原点 $(0, 0)$ から出発し、直交座標において直線 $Y = X \tan\theta$ 上を進む。これを斜交座標で表すと、以下の直線の方程式となる。

$$\frac{\sqrt{3}}{2}y = \left( x + \frac{1}{2}y \right) \tan\theta$$

次に、各格子点 $(m, n)$ が敷き詰められた正三角形の頂点 $\text{A}, \text{B}, \text{C}$ のいずれの鏡像であるかを調べる。 正三角形を敷き詰めたとき、隣り合う格子点 $(m, n), (m+1, n), (m, n+1)$ は 1 つの正三角形をなし、それぞれが $\text{A}, \text{B}, \text{C}$ のいずれかに対応する。 直線 $y = n$($n$ は一定)上の格子点に注目すると、距離 1 で並ぶ頂点は 2 種類が交互に現れるため、$m$ の偶奇によって頂点が決まる。 各辺での対称移動を考慮すると、頂点の配置は $n$ を 3 で割った余りに応じて、以下のような周期的な規則を持つことがわかる。

(1)

$\tan\theta = \frac{\sqrt{3}}{4}$ のとき、光線を表す直線の方程式は以下のようになる。

$$\frac{\sqrt{3}}{2}y = \left( x + \frac{1}{2}y \right) \frac{\sqrt{3}}{4}$$

両辺を整理する。

$$2y = x + \frac{1}{2}y$$

$$2x = 3y$$

光線が「初めて」頂点に到達するのは、線分 $2x = 3y$ 上で $x > 0, y > 0$ となる最初の格子点を通るときである。 これを満たす最小の正の整数解は $(x, y) = (3, 2)$ である。 ($\gcd(3, 2) = 1$ より、原点とこの点との間の線分上に他の格子点は存在せず、途中で頂点を通ることはない) 到達する格子点は $m = 3, n = 2$ であり、$n \equiv 2 \pmod 3$ かつ $m$ は奇数である。 前述の規則に照らし合わせると、この頂点は $\text{C}$ である。

(2)

$\tan\theta = \frac{\sqrt{3}}{6k+2}$ のとき、光線を表す直線の方程式は以下のようになる。

$$\frac{\sqrt{3}}{2}y = \left( x + \frac{1}{2}y \right) \frac{\sqrt{3}}{6k+2}$$

両辺を整理する。

$$(3k+1)y = x + \frac{1}{2}y$$

$$(6k+1)y = 2x$$

光線が初めて頂点に到達するのは、これを満たす最小の正の整数解のときであり、$(x, y) = (6k+1, 2)$ である。 (正の整数 $k$ に対して $\gcd(6k+1, 2) = 1$ であるため、線分上に他の格子点は存在しない) 到達する格子点は $m = 6k+1, n = 2$ であり、$n \equiv 2 \pmod 3$ かつ $m$ は奇数である。 したがって、到達する頂点は (1) と同様に $\text{C}$ である。

次に、頂点に到達するまでの反射の回数を求める。 反射回数は、斜交座標における線分 $(0,0)$ から $(6k+1, 2)$ までの間で、光線が正三角形の辺をまたぐ回数、すなわち直線群 $x = m', y = n', x+y = l'$($m', n', l'$ は整数)と交わる回数の総和に等しい。 ただし、出発点と到達点での交わりは数えない。 媒介変数 $t \ (0 < t < 1)$ を用いて、光線上の点を $(x, y) = ((6k+1)t, 2t)$ と表す。

$\gcd(6k+1, 2) = 1$ より、これら 3 つの条件が同時に成立して格子点(頂点)を通過することはない。 したがって、各直線との交点はすべて個別の反射としてカウントできるため、求める反射の回数はこれらの和となる。

$$6k + 1 + (6k+2) = 12k + 3$$

解説

「ビリヤード問題」や「光線の反射問題」と呼ばれる有名なテーマである。反射をそのままたどると軌跡が複雑に折れ曲がって扱いにくいため、「図形を鏡映反転させてつなげ、光線を直進させる」という発想が定石となる。 直交座標系でゴリ押しすることも可能だが、本問のように正三角形の敷き詰めを扱う場合は、斜交座標系を採用することで辺の直線群や格子点条件が驚くほどシンプルに記述でき、計算量とミスのリスクを大幅に減らすことができる。途中で頂点に到達しない条件が「座標が互いに素であること」に帰着する点も、斜交座標ならではの見通しの良さである。

答え

(1) 頂点 C

(2) 到達する頂点は C、反射の回数は $12k+3$ 回

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