数学2 数2解の個数・三角関数 問題 8 解説

方針・初手
与えられた方程式に含まれる三角関数を $\sin x$ に統一するため、$\cos^2 x = 1 - \sin^2 x$ を用いて変形する。$\sin x = t$ とおくことで、$t$ についての2次方程式に帰着できる。$0 \leqq x < 2\pi$ における $x$ と $t$ の対応関係に注意しながら、実数解の個数を調べる。定数を分離してグラフの共有点を調べる方法(解法1)と、2次方程式の解の配置を利用する方法(解法2)がある。
解法1
方程式 $\cos^2 x + 2a \sin x - a - 1 = 0$ において、$\cos^2 x = 1 - \sin^2 x$ より
$$1 - \sin^2 x + 2a \sin x - a - 1 = 0$$
$$\sin^2 x - 2a \sin x + a = 0$$
ここで、$\sin x = t$ とおくと、$0 \leqq x < 2\pi$ より $-1 \leqq t \leqq 1$ である。 方程式は $t$ についての2次方程式となる。
$$t^2 - 2at + a = 0$$
$a$ を分離するために式を変形すると
$$t^2 = a(2t - 1)$$
$t = \frac{1}{2}$ のとき、左辺は $\frac{1}{4}$、右辺は $0$ となり等式は成り立たない。よって $t \neq \frac{1}{2}$ としてよく、両辺を $2t-1$ で割ると
$$a = \frac{t^2}{2t - 1}$$
となる。したがって、求める $x$ の実数解の個数は、$t$ の関数 $f(t) = \frac{t^2}{2t - 1}$ $\left(-1 \leqq t \leqq 1, t \neq \frac{1}{2}\right)$ のグラフと、直線 $y = a$ の共有点を調べ、各共有点の $t$ 座標に対応する $x$ の個数を足し合わせたものになる。
$t = \sin x$ ($0 \leqq x < 2\pi$) より、$t$ の値1つに対して存在する $x$ の個数は以下のようになる。
- $t = \pm 1$ のとき、1個 $\left(x = \frac{\pi}{2}, \frac{3}{2}\pi\right)$
- $-1 < t < 1$ $\left(t \neq \pm 1\right)$ のとき、2個
関数 $f(t)$ の増減を調べるために微分する。
$$f'(t) = \frac{2t(2t - 1) - t^2 \cdot 2}{(2t - 1)^2} = \frac{2t(t - 1)}{(2t - 1)^2}$$
$f'(t) = 0$ となるのは $t = 0, 1$ のときである。 $-1 \leqq t \leqq 1$ における $f(t)$ の増減表は次のようになる。
$$\begin{array}{c|c|c|c|c|c|c|c} \hline t & -1 & \cdots & 0 & \cdots & \frac{1}{2} & \cdots & 1 \\ \hline f'(t) & & + & 0 & - & / & - & 0 \\ \hline f(t) & -\frac{1}{3} & \nearrow & 0 & \searrow & / & \searrow & 1 \\ \hline \end{array}$$
また、$t \to \frac{1}{2}$ の極限は以下のようになる。
$$\lim_{t \to \frac{1}{2}-0} f(t) = -\infty, \quad \lim_{t \to \frac{1}{2}+0} f(t) = \infty$$
これをもとに $y = f(t)$ のグラフの概形を考え、直線 $y = a$ を上下に動かして共有点の $t$ 座標の範囲を確認する。
(i) $a < -\frac{1}{3}$ のとき 共有点は $0 < t < \frac{1}{2}$ の範囲に1つ。対応する $x$ は2個。
(ii) $a = -\frac{1}{3}$ のとき 共有点は $t = -1$ と $0 < t < \frac{1}{2}$ の範囲にそれぞれ1つ。$t = -1$ から $x$ は1個、もう一方から $x$ は2個であり、合計3個。
(iii) $-\frac{1}{3} < a < 0$ のとき 共有点は $-1 < t < 0$ と $0 < t < \frac{1}{2}$ の範囲にそれぞれ1つ。どちらも対応する $x$ は2個であり、合計4個。
(iv) $a = 0$ のとき 共有点は $t = 0$ のみ。対応する $x$ は2個。
(v) $0 < a < 1$ のとき 共有点は存在しない。対応する $x$ は0個。
(vi) $a = 1$ のとき 共有点は $t = 1$ のみ。対応する $x$ は1個。
(vii) $a > 1$ のとき 共有点は $\frac{1}{2} < t < 1$ の範囲に1つ。対応する $x$ は2個。
解法2
$\sin x = t$ とおき、$g(t) = t^2 - 2at + a$ とすると、$t$ の方程式 $g(t) = 0$ が $-1 \leqq t \leqq 1$ の範囲にどのような解を持つかを考える。 $g(t) = (t - a)^2 - a^2 + a$ であり、放物線 $y = g(t)$ の軸は $t = a$ である。 また、端点の値は $g(-1) = 3a + 1$、$g(1) = 1 - a$ である。 $g(t) = 0$ の判別式を $D$ とすると、$\frac{D}{4} = a^2 - a = a(a - 1)$ である。
$t$ と $x$ の対応は、解法1と同様に $t = \pm 1$ のとき $x$ は1個、$-1 < t < 1$ のとき $x$ は2個である。
(i) $-1 < t < 1$ に異なる2つの実数解を持つ場合 以下の3つの条件をすべて満たす必要がある。 ・$\frac{D}{4} > 0 \iff a(a - 1) > 0 \iff a < 0, 1 < a$ ・軸の位置:$-1 < a < 1$ ・端点の条件:$g(-1) > 0$ かつ $g(1) > 0 \iff 3a + 1 > 0$ かつ $1 - a > 0 \iff a > -\frac{1}{3}$ かつ $a < 1$ これらを共通して満たす範囲は $-\frac{1}{3} < a < 0$ である。 このとき、それぞれの $t$ に対して $x$ が2個ずつ存在するため、$x$ の個数は合計4個。
(ii) $-1 < t < 1$ に重解を持つ場合 $\frac{D}{4} = 0 \iff a = 0, 1$ $a = 0$ のとき、接点の $t$ 座標は $t = 0$ となり、$-1 < t < 1$ を満たす。$x$ の個数は2個。 $a = 1$ のとき、接点の $t$ 座標は $t = 1$ となり、$-1 < t < 1$ を満たさない。この場合は後述の (v) に該当する。
(iii) $-1 < t < 1$ に解を1つだけ持ち、もう1つの解が $t < -1$ または $t > 1$ にある場合 $g(-1)g(1) < 0$ が条件となる。 $(3a + 1)(1 - a) < 0 \iff (3a + 1)(a - 1) > 0 \iff a < -\frac{1}{3}, 1 < a$ このとき、$-1 < t < 1$ にある解からは $x$ が2個存在し、範囲外の解からは $x$ は存在しない。よって合計2個。
(iv) $t = -1$ を解に持つ場合 $g(-1) = 0 \iff a = -\frac{1}{3}$ このとき、方程式は $t^2 + \frac{2}{3}t - \frac{1}{3} = 0 \iff (t + 1)\left(t - \frac{1}{3}\right) = 0$ となり、解は $t = -1, \frac{1}{3}$ である。 $t = -1$ から $x$ は1個、$t = \frac{1}{3}$ から $x$ は2個存在し、合計3個。
(v) $t = 1$ を解に持つ場合 $g(1) = 0 \iff a = 1$ このとき、方程式は $t^2 - 2t + 1 = 0 \iff (t - 1)^2 = 0$ となり、解は $t = 1$ の重解である。 $t = 1$ から $x$ は1個存在し、合計1個。
(vi) 上記以外(実数解を持たない、または $-1 \leqq t \leqq 1$ の範囲に解を持たない)場合 これまでの範囲に含まれない $0 < a < 1$ のときである。(この範囲では $D < 0$ となる) このとき $x$ の個数は0個。
解説
三角関数の含まれる方程式の実数解の個数を問う典型問題である。$\sin x = t$ と置換し、$t$ の方程式の実数解を調べるアプローチをとるが、その際に「$t$ の値の範囲」と「$t$ と $x$ の対応関係(個数)」に細心の注意を払う必要がある。
この問題を解く方針としては、解説に示した「定数分離」と「解の配置」の2つが有力である。 定数分離(解法1)は、定数 $a$ を完全に分離できる場合に有効で、グラフの視覚的な情報から直感的に交点の個数と位置を把握しやすいメリットがある。ただし、分母に $t$ を含む関数のグラフを描くため、漸近線の扱いや極限の計算を正確に行う必要がある。 解の配置(解法2)は、2次関数のグラフの軸・端点・判別式の条件を定式化して解く方法である。場合分けが多くなるが、計算自体は基本的な不等式の処理で済むため、方針として見えやすい。
どちらの方針でも、最終的に得られた $t$ の解が区間 $-1 \leqq t \leqq 1$ のどこにあるかによって $x$ の個数が変わるため、丁寧に数え上げる論理力が問われる。
答え
$$\begin{cases} a < -\frac{1}{3}, 1 < a \text{ のとき} & 2\text{個} \\ a = -\frac{1}{3} \text{ のとき} & 3\text{個} \\ -\frac{1}{3} < a < 0 \text{ のとき} & 4\text{個} \\ a = 0 \text{ のとき} & 2\text{個} \\ 0 < a < 1 \text{ のとき} & 0\text{個} \\ a = 1 \text{ のとき} & 1\text{個} \end{cases}$$
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