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東京大学 2013年 理系 第2問 解説

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東京大学 2013年 理系 第2問 解説

方針・初手

与えられた方程式 $f(x) = g(x)$ を満たす $x>0$ の解の個数を考える問題である。方程式に変数 $x$ と定数 $a$ が混在しているため、定数 $a$ を分離する形に変形し、$y = a$ の直線と $y = h(x)$ (定数を分離した関数)のグラフの共有点の個数を調べる方針をとる。

解法1

条件より $f(x) = g(x)$ であるから、

$$ \frac{\cos x}{x} = \sin x + ax $$

$x > 0$ であるため、両辺を $x$ で割り、$a$ について解くと、

$$ a = \frac{\cos x - x \sin x}{x^2} $$

ここで、関数 $h(x)$ を次のように定義する。

$$ h(x) = \frac{\cos x - x \sin x}{x^2} \quad (x > 0) $$

求める $a$ の条件は、関数 $y = h(x)$ のグラフと直線 $y = a$ が $x > 0$ においてちょうど3つの共有点をもつことである。

$h(x)$ を $x$ で微分すると、

$$ \begin{aligned} h'(x) &= \frac{(-\sin x - \sin x - x \cos x)x^2 - (\cos x - x \sin x) \cdot 2x}{x^4} \\ &= \frac{(-2\sin x - x \cos x)x^2 - 2x\cos x + 2x^2 \sin x}{x^4} \\ &= \frac{-x^3 \cos x - 2x \cos x}{x^4} \\ &= \frac{-x(x^2+2)\cos x}{x^4} \\ &= -\frac{x^2+2}{x^3} \cos x \end{aligned} $$

$x > 0$ のとき $\frac{x^2+2}{x^3} > 0$ であるから、$h'(x)$ の符号は $-\cos x$ の符号と一致する。 したがって、$h'(x) = 0$ となる $x > 0$ は $\cos x = 0$ を満たす $x$ であり、小さい順に並べると、

$$ x = \frac{\pi}{2}, \frac{3\pi}{2}, \frac{5\pi}{2}, \frac{7\pi}{2}, \dots $$

一般に、自然数 $n$ に対して $x_n = \frac{2n-1}{2}\pi$ とおくと、 $h(x)$ は $x = x_n$ で極値をとる。 極値 $h(x_n)$ の値を求める。$\cos x_n = 0$ であり、$\sin x_n = \sin\left(\frac{2n-1}{2}\pi\right) = (-1)^{n-1}$ であるから、

$$ h(x_n) = \frac{0 - x_n \cdot (-1)^{n-1}}{x_n^2} = \frac{(-1)^n}{x_n} $$

これより、各極値を具体的に計算すると以下のようになる。

極小値: $h(x_1) = h\left(\frac{\pi}{2}\right) = -\frac{2}{\pi}$ $h(x_3) = h\left(\frac{5\pi}{2}\right) = -\frac{2}{5\pi}$ $h(x_5) = h\left(\frac{9\pi}{2}\right) = -\frac{2}{9\pi}$

極大値: $h(x_2) = h\left(\frac{3\pi}{2}\right) = \frac{2}{3\pi}$ $h(x_4) = h\left(\frac{7\pi}{2}\right) = \frac{2}{7\pi}$

ここで、$|h(x_n)| = \frac{1}{x_n}$ であり、数列 $\{x_n\}$ は単調に増加するため、極値の絶対値は単調に減少して $0$ に収束する。 すなわち、大小関係は次のようになる。

$$ h(x_1) < h(x_3) < h(x_5) < \dots < 0 < \dots < h(x_4) < h(x_2) $$

また、区間の端点における極限を調べる。

$$ \lim_{x \to +0} h(x) = \lim_{x \to +0} \frac{\cos x - x \sin x}{x^2} = +\infty $$

(分子は $\cos 0 - 0 = 1$ に収束し、分母は $+0$ に近づくため)

$$ \lim_{x \to \infty} h(x) = \lim_{x \to \infty} \left( \frac{\cos x}{x^2} - \frac{\sin x}{x} \right) = 0 $$

以上の増減と極限より、$y = h(x)$ は $x$ 軸の上下を振動しながら振幅を減衰させ、$y=0$ に漸近するグラフとなる。 直線 $y = a$ との共有点の個数を $a$ の値によって場合分けする。

(i) $a > 0$ の場合

極大値に注目して $y = a$ を上から下へ動かしていくと、共有点の個数は次のように変化する。

よって、ちょうど $3$ 個となるのは $h(x_4) < a < h(x_2)$ のときである。

$$ \frac{2}{7\pi} < a < \frac{2}{3\pi} $$

(ii) $a = 0$ の場合

方程式 $\cos x - x \sin x = 0$ の解であり、これは $y = \tan x$ と $y = \frac{1}{x}$ のグラフの交点に対応する。交点は無限に存在するため不適。

(iii) $a < 0$ の場合

極小値に注目して $y = a$ を下から上へ動かしていくと、共有点の個数は次のように変化する。

よって、ちょうど $3$ 個となるのは $a = h(x_3)$ のときである。

$$ a = -\frac{2}{5\pi} $$

以上より、求める $a$ の値が決定される。

解説

方程式の解の個数を問う問題の定石である「定数分離」を用いる典型問題である。 分離した関数 $h(x)$ の微分の計算がやや複雑であるが、符号を決定する因子(今回は $-\cos x$)だけが残るように整理できるかどうかがポイントである。 減衰振動する関数のグラフになるため、すべての極値を求める必要はないが、「極大値・極小値が $x$ 軸に向かって単調に絶対値を減らしていくこと」と「端点における極限」をしっかり確認し、視覚的に共有点の個数をカウントすることが重要である。

答え

$$ a = -\frac{2}{5\pi} $$

または

$$ \frac{2}{7\pi} < a < \frac{2}{3\pi} $$

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