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京都大学 2012年 文系 第5問 解説

数学2/三角関数数学2/図形と式テーマ/軌跡・領域テーマ/存在証明
京都大学 2012年 文系 第5問 解説

方針・初手

方程式 $\cos a\theta = \cos b\theta$ を解き、$\theta > 0$ における解を列挙する。「$0 < \theta \leqq \pi$ に解がちょうど1つある」という条件は、「正の解の中で最小のものが $\pi$ 以下であり、かつ、2番目に小さい解(候補となるすべての解)が $\pi$ より大きくなること」と同値である。この条件を不等式で立式し、$ab$ 平面上の領域として図示する。途中で $a=b$ の場合が不適になることにも注意する。

解法1

$a, b$ は正の実数である。$a=b$ のとき、方程式 $\cos a\theta = \cos a\theta$ はすべての $\theta$ で成り立つ(恒等式となる)ため、「解がちょうど1つ」という条件を満たさない。したがって、$a \neq b$ である。

方程式 $\cos a\theta = \cos b\theta$ より、

$$ a\theta = \pm b\theta + 2n\pi \quad (n \text{ は整数}) $$

$$ (a \mp b)\theta = 2n\pi $$

$$ \theta = \frac{2n\pi}{a-b} \quad \text{または} \quad \theta = \frac{2n\pi}{a+b} $$

$a>0, b>0$ より $a+b > 0$ である。また $a \neq b$ より $a-b \neq 0$ である。

$\theta > 0$ における解は、$k, l$ を自然数($1, 2, 3, \dots$)として、

$$ \theta = \frac{2k\pi}{|a-b|} \quad \text{または} \quad \theta = \frac{2l\pi}{a+b} $$

と表される。ここで、$a>0, b>0$ かつ $a \neq b$ であるから、

$$ a+b > |a-b| > 0 $$

が常に成り立つ。これより、分母が大きい方が値は小さくなるため、

$$ \frac{2\pi}{a+b} < \frac{2\pi}{|a-b|} $$

が成り立つ。したがって、すべての正の解の中で最小のものは、常に $\theta = \dfrac{2\pi}{a+b}$ である。

$0 < \theta \leqq \pi$ の範囲に解がちょうど1つ存在するための条件は、この最小の解が区間 $(0, \pi]$ に属し、かつ、これ以外のすべての正の解が $\pi$ より大きくなることである。

これ以外の正の解のうち、最も小さくなりうる候補は $\dfrac{4\pi}{a+b}$ または $\dfrac{2\pi}{|a-b|}$ である。これらがともに $\pi$ より大きければ、それ以上のすべての解も $\pi$ より大きくなる。

よって、求める条件は以下の連立不等式となる。

$$ \begin{cases} \dfrac{2\pi}{a+b} \leqq \pi \quad \cdots① \\ [6pt] \dfrac{4\pi}{a+b} > \pi \quad \cdots② \\ [6pt] \dfrac{2\pi}{|a-b|} > \pi \quad \cdots③ \end{cases} $$

各不等式を整理する。

① より、$a+b \geqq 2$

② より、$a+b < 4$

③ より、$|a-b| < 2 \iff -2 < a-b < 2 \iff a-2 < b < a+2$

以上の条件と、$a>0, b>0, a \neq b$ をまとめたものが求める組 $(a, b)$ の範囲である。

$$ \begin{cases} 2 \leqq a+b < 4 \\ a-2 < b < a+2 \\ a > 0,\ b > 0 \\ a \neq b \end{cases} $$

この領域を $ab$ 平面上に図示する。領域の境界線となる4つの直線の交点を求める。

領域はこれら4点を頂点とする正方形の内部である。境界線のうち、$a+b=2$(端点を除く)のみ等号を含む。また、$a \neq b$ の条件から、領域内の直線 $a=b$ 上の点は除外される。

解説

三角方程式の一般解から領域を求める、論理の丁寧な積み上げが要求される良問である。解の系列が2つ(和と差)出てくるが、$a, b$ が正であることから常に $a+b > |a-b|$ が成り立つという大小関係に気づくことが最大のポイントである。これにより「一番小さい解」が特定でき、「2番目の解が区間から押し出される条件」を立てることができる。

図示においては、境界線の等号の有無や、$a \neq b$(対角線の除外)といった細かい条件の処理で差がつく。

答え

組 $(a, b)$ の範囲は、以下の連立不等式を満たす領域である。

$$ \begin{cases} 2 \leqq a+b < 4 \\ -2 < a-b < 2 \\ a \neq b \end{cases} $$

これを座標平面上に図示すると、4点 $(2,0),\ (3,1),\ (1,3),\ (0,2)$ を頂点とする四角形(正方形)の内部となる。ただし、境界線は線分 $(2,0)$ と $(0,2)$ を結ぶ部分(両端の点は含まない)のみ含み、他の境界線は含まない。また、直線 $b=a$ 上の線分 $(1,1)$ と $(2,2)$ を結ぶ部分は除く。

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