数学2 相加相乗平均の関係 問題 3 解説

方針・初手
不等式の証明であり、式の形や「$x > -a$」「$b > 0$」「$x > -1$」「$y > 0$」といった条件から、相加平均と相乗平均の大小関係の利用が予想される。 (1) では、分母にある $x+a$ と同じ形を分子側(分数の外)にも作り出すことが第一歩である。 (2) では、与えられた式を因数分解して整理し、(1) の結果を誘導として利用する、あるいは個別に相加平均と相乗平均の大小関係を適用する方針が有効である。
解法1
(1)
$x > -a$ より $x+a > 0$ である。 また、$b > 0$ より $b^2 > 0$ である。 与えられた不等式の左辺を変形すると、以下のようになる。
$$x + \frac{b^2}{x+a} = (x+a) + \frac{b^2}{x+a} - a$$
$x+a > 0$ かつ $\frac{b^2}{x+a} > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より、
$$(x+a) + \frac{b^2}{x+a} \geqq 2\sqrt{(x+a) \cdot \frac{b^2}{x+a}} = 2\sqrt{b^2}$$
$b > 0$ より $\sqrt{b^2} = b$ であるため、
$$(x+a) + \frac{b^2}{x+a} \geqq 2b$$
両辺から $a$ を引くことで、
$$(x+a) + \frac{b^2}{x+a} - a \geqq 2b - a$$
すなわち、
$$x + \frac{b^2}{x+a} \geqq 2b - a$$
が成り立つ。 等号が成り立つのは、相加平均と相乗平均の大小関係の等号成立条件より、
$$x+a = \frac{b^2}{x+a}$$
のときである。両辺に $(x+a)$ を掛けて、
$$(x+a)^2 = b^2$$
$x+a > 0$ かつ $b > 0$ であるから、
$$x+a = b$$
よって、$x = b-a$ のときに等号が成立する。
(2)
与えられた不等式の左辺を整理する。
$$xy + \frac{4y}{x+1} + \frac{x}{y} + \frac{4}{(x+1)y} = y\left(x + \frac{4}{x+1}\right) + \frac{1}{y}\left(x + \frac{4}{x+1}\right)$$
$$= \left(y + \frac{1}{y}\right)\left(x + \frac{4}{x+1}\right)$$
$y > 0$ より $\frac{1}{y} > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より、
$$y + \frac{1}{y} \geqq 2\sqrt{y \cdot \frac{1}{y}} = 2$$
等号が成り立つのは $y = \frac{1}{y}$、すなわち $y^2 = 1$ のときであり、$y > 0$ より $y = 1$ のときである。
一方、$x + \frac{4}{x+1}$ については、(1) で示した不等式において、$a = 1$、$b = 2$ としたものに等しい。 $a = 1$、$b = 2 > 0$ であり、$x > -1$ ($x > -a$) を満たしているため、(1) の結果を適用して、
$$x + \frac{2^2}{x+1} \geqq 2 \cdot 2 - 1 = 3$$
等号が成り立つのは (1) より $x = 2 - 1 = 1$ のときである。
ここで、$y + \frac{1}{y} \geqq 2 > 0$ かつ $x + \frac{4}{x+1} \geqq 3 > 0$ であるため、両辺を掛け合わせても不等号の向きは変わらず、以下の不等式が成り立つ。
$$\left(y + \frac{1}{y}\right)\left(x + \frac{4}{x+1}\right) \geqq 2 \cdot 3 = 6$$
すなわち、
$$xy + \frac{4y}{x+1} + \frac{x}{y} + \frac{4}{(x+1)y} \geqq 6$$
が成り立つ。 等号が成り立つのは、$y + \frac{1}{y} = 2$ かつ $x + \frac{4}{x+1} = 3$ が同時に成り立つときであり、それは $x = 1$ かつ $y = 1$ のときである。
解法2
(2) について独立して解く場合
(2) の不等式の左辺の変形までは解法1と同じである。
$$\text{左辺} = \left(y + \frac{1}{y}\right)\left(x + \frac{4}{x+1}\right)$$
後半の括弧内において、$x+1$ の形を作り出す。
$$\left(y + \frac{1}{y}\right)\left(x + 1 + \frac{4}{x+1} - 1\right)$$
$y > 0$ より、相加平均と相乗平均の大小関係から、
$$y + \frac{1}{y} \geqq 2\sqrt{y \cdot \frac{1}{y}} = 2$$
等号成立は $y = \frac{1}{y}$ より $y = 1$ のとき($y > 0$ より)。
$x > -1$ より $x+1 > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係から、
$$x+1 + \frac{4}{x+1} \geqq 2\sqrt{(x+1) \cdot \frac{4}{x+1}} = 4$$
両辺から $1$ を引いて、
$$x+1 + \frac{4}{x+1} - 1 \geqq 3$$
等号成立は $x+1 = \frac{4}{x+1}$ より $(x+1)^2 = 4$ であり、$x+1 > 0$ より $x+1 = 2$ すなわち $x = 1$ のとき。
各々の最小値がいずれも正であるため、
$$\left(y + \frac{1}{y}\right)\left(x + 1 + \frac{4}{x+1} - 1\right) \geqq 2 \cdot 3 = 6$$
等号成立は $y=1$ かつ $x=1$ のときである。
解説
相加平均と相乗平均の大小関係を用いる典型問題である。 変数を含む分母が存在し、その変数の範囲が与えられている場合、分母と同じ形を無理やり作り出し、相殺させて定数にする手法は非常に強力である。この定石を確実に身につけておきたい。 また、(2) のような複数の変数が混在する複雑な式では、共通因数でくくるなどして式を整理することで、見通しが良くなる。本問は (1) が (2) の誘導となっていることに気づけると、よりスムーズに解答できる。解法2のように (1) を用いずに直接解くことも可能であり、実戦では思いついた方針で進めればよい。 不等式の証明で等号成立条件を求める際は、各部分で等号が同時に成立するかどうかを必ず確認する必要がある。
答え
(1) 題意の不等式が成り立つことは解答中の通り。等号成立は $x = b - a$ のとき。
(2) 題意の不等式が成り立つことは解答中の通り。等号成立は $x = 1, y = 1$ のとき。
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