数学2 相加相乗平均の関係 問題 12 解説

方針・初手
[ク]および[ケ]は、正の変数を含み、積が定数となるような項の和の最小値を求める問題であるから、相加平均と相乗平均の大小関係の利用を考える。[ケ]は、そのまま適用するのではなく、一度展開してから大小関係を用いる。
[コ]は、分子が1次式、分母が2次式である分数関数の最大値を求める問題である。分子を1つの文字に置き換えて相加平均と相乗平均の大小関係を利用する方針、与式を定数 $k$ とおき、$x$ についての方程式が実数解をもつ条件(判別式)から $k$ のとりうる値の範囲を求める方針、あるいは微分を用いて増減を調べる方針が考えられる。
解法1
[ク]について
$x > 0$ より $\frac{1}{x} > 0$ である。相加平均と相乗平均の大小関係より
$$x + \frac{1}{x} \geqq 2\sqrt{x \cdot \frac{1}{x}} = 2$$
等号が成立するのは、$x = \frac{1}{x}$ すなわち $x^2 = 1$ のときであり、$x > 0$ より $x = 1$ のときである。 したがって、求める最小値は $2$ である。
[ケ]について
与式を展開して整理する。
$$\begin{aligned} \left(x + \frac{1}{y}\right)\left(y + \frac{4}{x}\right) &= xy + \frac{4x}{x} + \frac{y}{y} + \frac{4}{xy} \\ &= xy + \frac{4}{xy} + 5 \end{aligned}$$
$x > 0$、$y > 0$ より $xy > 0$ であり、$\frac{4}{xy} > 0$ である。相加平均と相乗平均の大小関係より
$$xy + \frac{4}{xy} \geqq 2\sqrt{xy \cdot \frac{4}{xy}} = 2 \cdot 2 = 4$$
両辺に $5$ を加えて
$$xy + \frac{4}{xy} + 5 \geqq 4 + 5 = 9$$
等号が成立するのは、$xy = \frac{4}{xy}$ すなわち $(xy)^2 = 4$ のときであり、$xy > 0$ より $xy = 2$ のときである。 したがって、求める最小値は $9$ である。
[コ]について
$x+2 = t$ とおく。$x$ が任意の実数値をとるとき、$t$ も任意の実数値をとる。また、$x = t-2$ である。 与式の分母を $t$ で表すと
$$\begin{aligned} x^2 + 2x + 16 &= (t-2)^2 + 2(t-2) + 16 \\ &= t^2 - 4t + 4 + 2t - 4 + 16 \\ &= t^2 - 2t + 16 \end{aligned}$$
よって、与式は $\frac{t}{t^2 - 2t + 16}$ となる。
(i) $t = 0$ のとき
式の値は $0$ となる。
(ii) $t > 0$ のとき
分母分子を $t$ で割ると
$$\frac{t}{t^2 - 2t + 16} = \frac{1}{t + \frac{16}{t} - 2}$$
$t > 0$ より $\frac{16}{t} > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より
$$t + \frac{16}{t} \geqq 2\sqrt{t \cdot \frac{16}{t}} = 8$$
等号は $t = \frac{16}{t}$ かつ $t > 0$、すなわち $t = 4$ のとき成立する。 このとき、分母 $t + \frac{16}{t} - 2$ は最小値 $8 - 2 = 6$ をとるため、分数全体は最大値をとる。 したがって、最大値は $\frac{1}{6}$ である。
(iii) $t < 0$ のとき
$t^2 - 2t + 16 = (t-1)^2 + 15 > 0$ であるから、分母は正、分子は負となる。 したがって、分数全体は負の値となり、最大値の候補にはならない。
以上より、求める最大値は $\frac{1}{6}$ である。
解法2
[コ]の別解を示す。
$$\frac{x+2}{x^2+2x+16} = k$$
とおく。分母について $x^2+2x+16 = (x+1)^2+15 > 0$ であるから、分母が $0$ になることはない。
(i) $k = 0$ のとき
$x+2 = 0$ より $x = -2$ となる。
(ii) $k \neq 0$ のとき
両辺に $x^2+2x+16$ を掛けて整理する。
$$k(x^2+2x+16) = x+2$$
$$kx^2 + (2k-1)x + 16k-2 = 0$$
$x$ は実数であるから、この $x$ についての2次方程式は実数解をもつ。したがって、その判別式を $D$ とすると、$D \geqq 0$ である。
$$\begin{aligned} D &= (2k-1)^2 - 4k(16k-2) \\ &= 4k^2 - 4k + 1 - 64k^2 + 8k \\ &= -60k^2 + 4k + 1 \end{aligned}$$
$D \geqq 0$ より
$$-60k^2 + 4k + 1 \geqq 0$$
$$60k^2 - 4k - 1 \leqq 0$$
$$(10k + 1)(6k - 1) \leqq 0$$
これより、$k$ のとりうる値の範囲は
$$-\frac{1}{10} \leqq k \leqq \frac{1}{6}$$
これは、(i) の $k = 0$ の場合も含んでいる。 したがって、$k$ の最大値は $\frac{1}{6}$ である。
解法3
[コ]について、数学IIIの微分の知識を用いた別解を示す。
$$f(x) = \frac{x+2}{x^2+2x+16}$$
とおく。商の微分公式を用いて導関数を計算する。
$$\begin{aligned} f'(x) &= \frac{1 \cdot (x^2+2x+16) - (x+2)(2x+2)}{(x^2+2x+16)^2} \\ &= \frac{x^2 + 2x + 16 - (2x^2 + 6x + 4)}{(x^2+2x+16)^2} \\ &= \frac{-x^2 - 4x + 12}{(x^2+2x+16)^2} \\ &= \frac{-(x-2)(x+6)}{(x^2+2x+16)^2} \end{aligned}$$
$f'(x) = 0$ となる $x$ の値は $x = 2, -6$ である。 $f(x)$ の増減表は以下のようになる。
$x < -6$ のとき $f'(x) < 0$ であり減少 $x = -6$ のとき $f'(x) = 0$ であり極小 $-6 < x < 2$ のとき $f'(x) > 0$ であり増加 $x = 2$ のとき $f'(x) = 0$ であり極大 $x > 2$ のとき $f'(x) < 0$ であり減少
また、$\lim_{x \to \infty} f(x) = 0$、$\lim_{x \to -\infty} f(x) = 0$ であるから、極大値がそのまま最大値となる。 最大値は $f(2)$ を計算して
$$f(2) = \frac{2+2}{2^2 + 2 \cdot 2 + 16} = \frac{4}{24} = \frac{1}{6}$$
したがって、求める最大値は $\frac{1}{6}$ である。
解説
相加平均と相乗平均の大小関係を用いる典型問題である。和が一定、あるいは積が一定という形を見出した場合に強力な解法となる。[ケ]のように展開してから用いる手法は頻出であるため、括弧の中身だけで無理に大小関係を適用しようとしないことが重要である。
[コ]のような分数関数の最大・最小については、理系であれば微分をすぐに思いつくかもしれないが、解法1や解法2のように数I・A・II・Bの範囲内で鮮やかに解くことができる。特に解法2の「$= k$ とおいて実数解をもつ条件に帰着させる」考え方は、様々な問題に応用が利く重要な手法である。
答え
ク:$2$
ケ:$9$
コ:$\frac{1}{6}$
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