トップ 基礎問題 数学2 式と証明 相加相乗平均の関係 問題 14

数学2 相加相乗平均の関係 問題 14 解説

数学2 相加相乗平均の関係 問題 14 解説

方針・初手

不等式の証明では、左辺と右辺の差をとりそれが $0$ 以上であることを示すか、式の形に注目して既知の不等式を適用することを考える。

本問では、右辺の分母に $a+b+c$ がある。$a, b, c$ は正の整数であるため、両辺に正の数 $a+b+c$ を掛けて展開すると、相加平均と相乗平均の大小関係が利用しやすい形が現れる。また、式の対称性に着目し、コーシー・シュワルツの不等式を用いることも有効である。

解法1

証明すべき不等式の両辺に、正の数である $a+b+c$ を掛けると、次の不等式と同値になる。

$$(a+b+c)\left(\frac{1}{a}+\frac{1}{b}+\frac{1}{c}\right) \geqq 9$$

この不等式を示す。左辺を展開して整理する。

$$\begin{aligned} (a+b+c)\left(\frac{1}{a}+\frac{1}{b}+\frac{1}{c}\right) &= 1+\frac{a}{b}+\frac{a}{c}+\frac{b}{a}+1+\frac{b}{c}+\frac{c}{a}+\frac{c}{b}+1 \\ &= 3+\left(\frac{b}{a}+\frac{a}{b}\right)+\left(\frac{c}{b}+\frac{b}{c}\right)+\left(\frac{a}{c}+\frac{c}{a}\right) \end{aligned}$$

$a, b, c$ は正の整数であるから、$\frac{b}{a}>0, \frac{a}{b}>0$ などはすべて正の数である。よって、相加平均と相乗平均の大小関係より、以下の3つの不等式が成り立つ。

$$\begin{aligned} \frac{b}{a}+\frac{a}{b} &\geqq 2\sqrt{\frac{b}{a} \cdot \frac{a}{b}} = 2 \\ \frac{c}{b}+\frac{b}{c} &\geqq 2\sqrt{\frac{c}{b} \cdot \frac{b}{c}} = 2 \\ \frac{a}{c}+\frac{c}{a} &\geqq 2\sqrt{\frac{a}{c} \cdot \frac{c}{a}} = 2 \end{aligned}$$

これら辺々を足し合わせると、次のようになる。

$$\left(\frac{b}{a}+\frac{a}{b}\right)+\left(\frac{c}{b}+\frac{b}{c}\right)+\left(\frac{a}{c}+\frac{c}{a}\right) \geqq 2+2+2=6$$

両辺に $3$ を加えると、

$$3+\left(\frac{b}{a}+\frac{a}{b}\right)+\left(\frac{c}{b}+\frac{b}{c}\right)+\left(\frac{a}{c}+\frac{c}{a}\right) \geqq 9$$

すなわち、

$$(a+b+c)\left(\frac{1}{a}+\frac{1}{b}+\frac{1}{c}\right) \geqq 9$$

が成り立つ。ここで、$a, b, c$ は正の整数より $a+b+c>0$ であるから、両辺を $a+b+c$ で割ると、与えられた不等式を得る。

$$\frac{1}{a}+\frac{1}{b}+\frac{1}{c} \geqq \frac{9}{a+b+c}$$

等号が成立するのは、相加平均と相乗平均の大小関係の等号がすべて同時に成立するときである。すなわち、

$$\frac{b}{a}=\frac{a}{b} \text{ かつ } \frac{c}{b}=\frac{b}{c} \text{ かつ } \frac{a}{c}=\frac{c}{a}$$

が成り立つときである。これを整理すると、

$$a^2=b^2 \text{ かつ } b^2=c^2 \text{ かつ } c^2=a^2$$

となる。$a, b, c$ は正の整数であるから、$a=b=c$ のときに等号が成り立つ。

解法2

コーシー・シュワルツの不等式を用いる。

一般に、実数 $x_1, x_2, x_3, y_1, y_2, y_3$ について次の不等式が成り立つ。

$$(x_1^2+x_2^2+x_3^2)(y_1^2+y_2^2+y_3^2) \geqq (x_1 y_1+x_2 y_2+x_3 y_3)^2$$

ここで、$a, b, c$ は正の整数であるから、以下のように実数をおくことができる。

$$x_1=\sqrt{a}, \quad x_2=\sqrt{b}, \quad x_3=\sqrt{c}$$

$$y_1=\frac{1}{\sqrt{a}}, \quad y_2=\frac{1}{\sqrt{b}}, \quad y_3=\frac{1}{\sqrt{c}}$$

これらを不等式に代入すると、次の不等式が得られる。

$$\left\{(\sqrt{a})^2+(\sqrt{b})^2+(\sqrt{c})^2\right\} \left\{\left(\frac{1}{\sqrt{a}}\right)^2+\left(\frac{1}{\sqrt{b}}\right)^2+\left(\frac{1}{\sqrt{c}}\right)^2\right\} \geqq \left(\sqrt{a} \cdot \frac{1}{\sqrt{a}} + \sqrt{b} \cdot \frac{1}{\sqrt{b}} + \sqrt{c} \cdot \frac{1}{\sqrt{c}}\right)^2$$

整理すると、

$$(a+b+c)\left(\frac{1}{a}+\frac{1}{b}+\frac{1}{c}\right) \geqq (1+1+1)^2 = 9$$

$a, b, c$ は正の整数であるから $a+b+c>0$ となり、両辺を $a+b+c$ で割ることで、与えられた不等式を得る。

$$\frac{1}{a}+\frac{1}{b}+\frac{1}{c} \geqq \frac{9}{a+b+c}$$

等号が成立するのは、コーシー・シュワルツの不等式において、

$$x_1 : x_2 : x_3 = y_1 : y_2 : y_3$$

となるときである。すなわち、

$$\sqrt{a} : \sqrt{b} : \sqrt{c} = \frac{1}{\sqrt{a}} : \frac{1}{\sqrt{b}} : \frac{1}{\sqrt{c}}$$

が成り立つときである。これは、ある実数 $k$ を用いて

$$\sqrt{a} = k \frac{1}{\sqrt{a}}, \quad \sqrt{b} = k \frac{1}{\sqrt{b}}, \quad \sqrt{c} = k \frac{1}{\sqrt{c}}$$

と表せることを意味する。両辺にそれぞれ $\sqrt{a}, \sqrt{b}, \sqrt{c}$ を掛けて整理すると、$a = k, b = k, c = k$ となる。したがって、$a=b=c$ のときに等号が成り立つ。

解説

分母に和の形が含まれる分数不等式の証明では、分母を払って展開し、相加平均と相乗平均の大小関係に帰着させるのが定石である。展開した後に現れる項の組み合わせに注目し、互いに逆数の関係になるものをペアにすることがポイントとなる。

また、解法2のようにコーシー・シュワルツの不等式を利用すると、展開の手間を省いてより簡潔に証明できる。式の形からコーシー・シュワルツの不等式が使えることに気付けると、計算量を減らすことができるため、どちらの方針でも解けるようにしておくとよい。

答え

証明は各解法に示した通り。

等号成立条件:

$a=b=c$ のとき

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