数学2 二項定理 問題 3 解説

方針・初手
恒等式 $(1+x)^{m}(1+x)^{n} = (1+x)^{m+n}$ における特定の次数の項の係数を比較する、あるいは組合せの考え方(異なる2つの集団から一部を取り出す方法)を用いて和を計算する。
解法1
二項定理より、次の等式が成り立つ。
$$(1+x)^{60} = \sum_{i=0}^{60} {}_{60}\text{C}_i x^i$$
$$(1+x)^{40} = \sum_{j=0}^{40} {}_{40}\text{C}_j x^j$$
この2つの式の辺々を掛け合わせると、次式を得る。
$$(1+x)^{60}(1+x)^{40} = \left( \sum_{i=0}^{60} {}_{60}\text{C}_i x^i \right) \left( \sum_{j=0}^{40} {}_{40}\text{C}_j x^j \right)$$
左辺は $(1+x)^{100}$ である。この展開式における $x^{50}$ の係数は ${}_{100}\text{C}_{50}$ である。
一方、右辺を展開したときの $x^{50}$ の項は、$(1+x)^{60}$ の展開式における $x^k$ の項と、$(1+x)^{40}$ の展開式における $x^{50-k}$ の項を掛け合わせることで得られる。
ここで、$k$ は $0 \le k \le 60$ かつ $0 \le 50-k \le 40$ を満たす整数である。
$0 \le 50-k \le 40$ を解くと、$10 \le k \le 50$ となる。この範囲は $0 \le k \le 60$ も満たしている。
したがって、右辺における $x^{50}$ の係数は、次のように表される。
$$\sum_{k=10}^{50} {}_{60}\text{C}_k \cdot {}_{40}\text{C}_{50-k}$$
左辺と右辺は恒等的に等しいので、それぞれの $x^{50}$ の係数も等しい。よって、求める和は ${}_{100}\text{C}_{50}$ である。
解法2
「グループAに属する60人と、グループBに属する40人の合計100人の中から、50人の委員を選ぶ」という操作を考える。
この選び方の総数は、100人から50人を選ぶので、${}_{100}\text{C}_{50}$ 通りである。
一方、選ばれた50人の中に含まれるグループAの人数を $k$ 人とする。
このとき、グループAから $k$ 人、グループBから $50-k$ 人が選ばれることになる。
グループBは全員で40人しかいないため、$50-k \le 40$ すなわち $k \ge 10$ でなければならない。
また、選ぶ人数は50人なので、$k \le 50$ である(これはグループAの総数60人以下の条件も満たしている)。
したがって、$k$ のとり得る値の範囲は $10 \le k \le 50$ の整数である。
グループAから $k$ 人選び、グループBから $50-k$ 人選ぶ方法は ${}_{60}\text{C}_k \cdot {}_{40}\text{C}_{50-k}$ 通りである。
これをすべての可能な $k$ ($k=10, 11, \dots, 50$)について足し合わせたものは、全体の100人から50人を選ぶ総数と等しくなる。
すなわち、次が成り立つ。
$$\sum_{k=10}^{50} {}_{60}\text{C}_k \cdot {}_{40}\text{C}_{50-k} = {}_{100}\text{C}_{50}$$
よって、求める値は ${}_{100}\text{C}_{50}$ である。
解説
二項係数の積の和が別の単一の二項係数で表される性質は、「ヴァンデルモンドの畳み込み (Vandermonde's identity)」として知られている。
$(1+x)^m (1+x)^n = (1+x)^{m+n}$ という多項式の恒等式を用いて、両辺の係数を比較する解法が最も標準的であり、汎用性が高い。
また、解法2のように組合せの論理を用いて「異なる2つのグループから合計 $r$ 個を選ぶ方法」として意味づけをすると、複雑な計算なしに等式を導くことができる。
本問ではシグマの計算範囲が $k=10$ から $50$ となっているが、これはグループBの要素数(40)の制限により自然に定まる範囲と一致しており、途中の項が欠けているわけではない点に注意したい。
答え
${}_{100}\text{C}_{50}$
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