トップ 基礎問題 数学2 式と証明 コーシー・シュワルツの不等式 問題 3

数学2 コーシー・シュワルツの不等式 問題 3 解説

数学2 コーシー・シュワルツの不等式 問題 3 解説

方針・初手

与えられた条件式が文字の2乗の和であり、最大値を求める式が文字の1次式であることに着目する。この形から、コーシー・シュワルツの不等式の利用が第一に考えられる。また、$a+b+c=k$ とおき、空間座標における球面と平面が共有点をもつ条件に帰着させる幾何学的なアプローチや、1文字消去して実数存在条件(判別式)を利用する代数的なアプローチも有効である。

解法1

コーシー・シュワルツの不等式を用いる。

実数 $a, b, c$ および $1, 1, 1$ に対して、次の不等式が成り立つ。

$$(1^2 + 1^2 + 1^2)(a^2 + b^2 + c^2) \geqq (1 \cdot a + 1 \cdot b + 1 \cdot c)^2$$

これを整理すると、次のようになる。

$$3(a^2 + b^2 + c^2) \geqq (a + b + c)^2$$

条件より $a^2 + b^2 + c^2 = 1$ であるから、代入して計算する。

$$3 \cdot 1 \geqq (a + b + c)^2$$

$$(a + b + c)^2 \leqq 3$$

これを解くと、以下の範囲を得る。

$$-\sqrt{3} \leqq a + b + c \leqq \sqrt{3}$$

したがって、$a+b+c$ の最大値は $\sqrt{3}$ となる。

このとき、コーシー・シュワルツの不等式の等号成立条件は以下の通りである。

$$\frac{a}{1} = \frac{b}{1} = \frac{c}{1}$$

すなわち、$a = b = c$ のとき等号が成立する。

これを $a^2 + b^2 + c^2 = 1$ に代入すると、$3a^2 = 1$ となり、$a = \pm\frac{\sqrt{3}}{3}$ である。

$a = b = c = \frac{\sqrt{3}}{3}$ のとき、確かに $a+b+c = \sqrt{3}$ となり、最大値をとる実数 $a, b, c$ が存在する。

解法2

$a, b, c$ を空間内の座標 $(a, b, c)$ とみなして図形的に考える。

方程式 $a^2 + b^2 + c^2 = 1$ は、原点 $\text{O}(0, 0, 0)$ を中心とする半径 $1$ の球面を表す。

また、$a + b + c = k$ とおくと、これは法線ベクトルが $(1, 1, 1)$ である平面を表す。

条件を満たす実数 $a, b, c$ が存在するためには、この球面と平面が少なくとも1つの共有点をもてばよい。

原点と平面 $a + b + c - k = 0$ の距離 $d$ は、点と平面の距離の公式より次のように表される。

$$d = \frac{|0 + 0 + 0 - k|}{\sqrt{1^2 + 1^2 + 1^2}} = \frac{|-k|}{\sqrt{3}} = \frac{|k|}{\sqrt{3}}$$

球面と平面が共有点をもつための条件は、$d$ が球面の半径 $1$ 以下であることである。

$$\frac{|k|}{\sqrt{3}} \leqq 1$$

$$|k| \leqq \sqrt{3}$$

これを解くと、以下のようになる。

$$-\sqrt{3} \leqq k \leqq \sqrt{3}$$

$k = a + b + c$ であるから、$a+b+c$ の最大値は $\sqrt{3}$ である。

解法3

$a + b + c = k$ とおき、$c = k - a - b$ として条件式に代入し、実数条件を利用する。

$$a^2 + b^2 + (k - a - b)^2 = 1$$

展開して $a$ について整理する。

$$a^2 + b^2 + k^2 + a^2 + b^2 - 2ak - 2bk + 2ab = 1$$

$$2a^2 + 2(b - k)a + 2b^2 - 2bk + k^2 - 1 = 0$$

$a$ は実数であるから、この $a$ についての2次方程式は実数解をもつ。よって、判別式を $D_1$ とすると $D_1 \geqq 0$ である。

$$\frac{D_1}{4} = (b - k)^2 - 2(2b^2 - 2bk + k^2 - 1) \geqq 0$$

展開して整理する。

$$b^2 - 2bk + k^2 - 4b^2 + 4bk - 2k^2 + 2 \geqq 0$$

$$-3b^2 + 2kb - k^2 + 2 \geqq 0$$

$$3b^2 - 2kb + k^2 - 2 \leqq 0$$

さらに $b$ も実数であるから、この $b$ についての2次不等式を満たす実数 $b$ が存在しなければならない。したがって、左辺を $=0$ としたときの判別式を $D_2$ とすると $D_2 \geqq 0$ である。

$$\frac{D_2}{4} = (-k)^2 - 3(k^2 - 2) \geqq 0$$

$$k^2 - 3k^2 + 6 \geqq 0$$

$$-2k^2 + 6 \geqq 0$$

$$k^2 \leqq 3$$

これを解くと、以下の範囲を得る。

$$-\sqrt{3} \leqq k \leqq \sqrt{3}$$

よって、$a+b+c$ の最大値は $\sqrt{3}$ である。

解説

2乗の和と1次式の和が与えられたときの最大・最小問題であり、大学入試における典型的なテーマである。解法1のコーシー・シュワルツの不等式を用いるのが最も簡明かつ計算ミスが少ない。解法2のように図形的な意味に翻訳して点と平面の距離の公式を利用する手法も、見通しが良く強力である。解法3の実数存在条件(判別式)を2回用いる手法は、特別なひらめきを必要としない汎用的な方法であるが、計算量が多くなるため計算ミスに注意が必要である。どの解法を選択しても等号成立条件(最大値をとる実数 $a, b, c$ の存在)に言及または確認できるとより論理的な解答となる。

答え

$\sqrt{3}$

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