数学2 コーシー・シュワルツの不等式 問題 8 解説

方針・初手
不等式の証明の基本である「(左辺) - (右辺) $\geqq 0$」を示す方針をとる。展開して整理すると2次式の和の形になるため、組み合わせを工夫して $(\text{実数})^2 \geqq 0$ の形を作り出す。また、ベクトルを用いたコーシー・シュワルツの不等式を利用すると簡潔に証明できる。
解法1
(1)
不等式の左辺から右辺を引いた式を計算する。
$$\begin{aligned} & 3(a^2 + b^2 + c^2) - (a+b+c)^2 \\ &= 3a^2 + 3b^2 + 3c^2 - (a^2 + b^2 + c^2 + 2ab + 2bc + 2ca) \\ &= 2a^2 + 2b^2 + 2c^2 - 2ab - 2bc - 2ca \\ &= (a^2 - 2ab + b^2) + (b^2 - 2bc + c^2) + (c^2 - 2ca + a^2) \\ &= (a-b)^2 + (b-c)^2 + (c-a)^2 \end{aligned}$$
$a, b, c$ は実数であるから、$(a-b)^2 \geqq 0$、$(b-c)^2 \geqq 0$、$(c-a)^2 \geqq 0$ が成り立つ。 したがって、
$$(a-b)^2 + (b-c)^2 + (c-a)^2 \geqq 0$$
となるため、
$$3(a^2 + b^2 + c^2) - (a+b+c)^2 \geqq 0$$
すなわち、
$$3(a^2 + b^2 + c^2) \geqq (a+b+c)^2$$
が成り立つ。
(2)
(1) の不等式において等号が成立するのは、
$$(a-b)^2 + (b-c)^2 + (c-a)^2 = 0$$
のときである。各項は $0$ 以上であるため、これを満たすのは、
$$a-b = 0 \quad \text{かつ} \quad b-c = 0 \quad \text{かつ} \quad c-a = 0$$
のときである。したがって、求める必要十分条件は
$$a = b = c$$
である。
解法2
(1)
空間ベクトル $\vec{x} = (a, b, c)$ と $\vec{y} = (1, 1, 1)$ について、内積と大きさの関係を表すコーシー・シュワルツの不等式 $|\vec{x}|^2 |\vec{y}|^2 \geqq (\vec{x} \cdot \vec{y})^2$ を用いる。
それぞれのベクトルの大きさの2乗と内積は以下のようになる。
$$\begin{aligned} |\vec{x}|^2 &= a^2 + b^2 + c^2 \\ |\vec{y}|^2 &= 1^2 + 1^2 + 1^2 = 3 \\ \vec{x} \cdot \vec{y} &= a \cdot 1 + b \cdot 1 + c \cdot 1 = a + b + c \end{aligned}$$
これらを不等式に代入すると、
$$(a^2 + b^2 + c^2) \cdot 3 \geqq (a + b + c)^2$$
すなわち、
$$3(a^2 + b^2 + c^2) \geqq (a+b+c)^2$$
が成り立つ。
(2)
コーシー・シュワルツの不等式 $|\vec{x}|^2 |\vec{y}|^2 \geqq (\vec{x} \cdot \vec{y})^2$ において等号が成立するための必要十分条件は、$\vec{x}$ と $\vec{y}$ が平行であること、または少なくとも一方が零ベクトルであることである。
$\vec{y} \neq \vec{0}$ であるから、等号が成立するのは $\vec{x} = k\vec{y}$ となる実数 $k$ が存在するときである。
$$(a, b, c) = k(1, 1, 1) = (k, k, k)$$
よって、$a = b = c = k$ となるため、求める必要十分条件は
$$a = b = c$$
である。
解説
2次式からなる対称な不等式の証明における典型問題である。式を展開して整理し、$(x-y)^2$ の平方の和の形を複数作り出すことで $0$ 以上であることを示す手法は頻出であるため、確実に押さえておきたい。
また、解法2のようにコーシー・シュワルツの不等式を利用すると、計算量を大幅に減らすことができる。等号成立条件もベクトルの平行条件から直ちに導けるため、見通しが良い。
答え
(1) 題意の不等式が成り立つことを示した。
(2) $a = b = c$
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