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数学2 式の値 問題 3 解説

数学2 式の値 問題 3 解説

方針・初手

与えられた条件式から、基本対称式 $a+b+c$、$ab+bc+ca$、$abc$ の値を求めることを第一の目標とする。これらの値が求まれば、任意の対称式はその値を用いて計算できる。(1)は基本対称式の1つを直接求める問題であり、(2)および(3)は式を変形して基本対称式の値を利用する典型的な構成となっている。

解法1

(1)

与えられた条件 $a+b+c=1$、$a^2+b^2+c^2=4$ と、乗法公式

$$(a+b+c)^2 = a^2+b^2+c^2+2(ab+bc+ca)$$

を用いる。数値を代入すると、

$$1^2 = 4+2(ab+bc+ca)$$

整理して、

$$2(ab+bc+ca) = -3$$

よって、

$$ab+bc+ca = -\frac{3}{2}$$

となる。

(2)

まず、条件 $\frac{1}{a}+\frac{1}{b}+\frac{1}{c}=1$ の両辺に $abc$ を掛けると、

$$bc+ca+ab = abc$$

となる。(1)の結果より、

$$abc = -\frac{3}{2}$$

である。

求める式は次のように変形できる。

$$\frac{1}{a^2}+\frac{1}{b^2}+\frac{1}{c^2} = \left(\frac{1}{a}+\frac{1}{b}+\frac{1}{c}\right)^2 - 2\left(\frac{1}{ab}+\frac{1}{bc}+\frac{1}{ca}\right)$$

ここで、第2項の括弧内を通分すると、

$$\frac{1}{ab}+\frac{1}{bc}+\frac{1}{ca} = \frac{c+a+b}{abc} = \frac{1}{-\frac{3}{2}} = -\frac{2}{3}$$

となる。したがって、

$$\frac{1}{a^2}+\frac{1}{b^2}+\frac{1}{c^2} = 1^2 - 2\left(-\frac{2}{3}\right) = 1 + \frac{4}{3} = \frac{7}{3}$$

となる。

(3)

与式を通分すると、

$$\left(\frac{a^2+b^2}{ab}\right)\left(\frac{b^2+c^2}{bc}\right)\left(\frac{c^2+a^2}{ca}\right) = \frac{(a^2+b^2)(b^2+c^2)(c^2+a^2)}{a^2b^2c^2}$$

となる。ここで、分子について恒等式 $(x+y)(y+z)(z+x) = (x+y+z)(xy+yz+zx) - xyz$ を用いると、

$$(a^2+b^2)(b^2+c^2)(c^2+a^2) = (a^2+b^2+c^2)(a^2b^2+b^2c^2+c^2a^2) - a^2b^2c^2$$

となる。計算に必要な値をそれぞれ求める。まず、条件より $a^2+b^2+c^2 = 4$ である。次に、$a^2b^2+b^2c^2+c^2a^2$ の値は、

$$(ab+bc+ca)^2 = a^2b^2+b^2c^2+c^2a^2 + 2abc(a+b+c)$$

より、

$$\left(-\frac{3}{2}\right)^2 = a^2b^2+b^2c^2+c^2a^2 + 2\left(-\frac{3}{2}\right) \cdot 1$$

$$\frac{9}{4} = a^2b^2+b^2c^2+c^2a^2 - 3$$

$$a^2b^2+b^2c^2+c^2a^2 = \frac{21}{4}$$

となる。また、$a^2b^2c^2 = (abc)^2 = \left(-\frac{3}{2}\right)^2 = \frac{9}{4}$ である。これらを代入して分子を計算すると、

$$(a^2+b^2)(b^2+c^2)(c^2+a^2) = 4 \cdot \frac{21}{4} - \frac{9}{4} = 21 - \frac{9}{4} = \frac{75}{4}$$

となる。したがって、求める式の値は、

$$\frac{\frac{75}{4}}{\frac{9}{4}} = \frac{75}{9} = \frac{25}{3}$$

である。

解法2

(3)の別解を示す。

与式を変形して、

$$\frac{(a^2+b^2)(b^2+c^2)(c^2+a^2)}{a^2b^2c^2}$$

とする。条件 $a^2+b^2+c^2=4$ より、$a^2+b^2=4-c^2$ などが成り立つため、分子は次のように書き換えられる。

$$(4-c^2)(4-a^2)(4-b^2)$$

これを $t$ の方程式 $(t-a^2)(t-b^2)(t-c^2) = t^3 - (a^2+b^2+c^2)t^2 + (a^2b^2+b^2c^2+c^2a^2)t - a^2b^2c^2$ の展開公式に $t=4$ を代入したものとみなして展開すると、

$$4^3 - (a^2+b^2+c^2) \cdot 4^2 + (a^2b^2+b^2c^2+c^2a^2) \cdot 4 - a^2b^2c^2$$

となる。ここで、解法1の過程で求めた $a^2+b^2+c^2=4$、$a^2b^2+b^2c^2+c^2a^2=\frac{21}{4}$、$a^2b^2c^2=\frac{9}{4}$ を代入すると、

$$64 - 4 \cdot 16 + \frac{21}{4} \cdot 4 - \frac{9}{4} = 64 - 64 + 21 - \frac{9}{4} = \frac{75}{4}$$

となる。よって、求める式の値は、

$$\frac{\frac{75}{4}}{\frac{9}{4}} = \frac{25}{3}$$

となる。

解説

「すべての対称式は基本対称式で表される」という数学の重要な性質を利用する典型問題である。計算を素早く正確に行うための工夫が問われている。

(3)の展開において、解法1で用いた恒等式 $(x+y)(y+z)(z+x) = (x+y+z)(xy+yz+zx) - xyz$ は頻出であり、知っていると計算量が大幅に減る。また、解法2で示したように「和が一定」という条件を活用して文字を減らし、多項式の展開公式に帰着させる手法も非常に有効である。どちらの手法も難関大学の入試では必須の技術であるため、確実に習得しておきたい。

答え

(1) $-\frac{3}{2}$

(2) $\frac{7}{3}$

(3) $\frac{25}{3}$

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