数学2 恒等式 問題 2 解説

方針・初手
与えられた等式が $x$ についての恒等式であることから、両辺の多項式が完全に一致するような定数を求める問題である。
右辺の $[\text{ア}], [\text{イ}], [\text{ウ}]$ をそれぞれ定数 $a, b, c$ とおき、等式
$$x^3 - x^2 - 16x + 37 = (x-3)^3 + a(x-3)^2 + b(x-3) + c$$
がすべての $x$ で成り立つような $a, b, c$ の値を求める。
アプローチとしては、以下の3つが考えられる。
- $x-3=t$ とおき、左辺を $t$ の式に書き換える方法。
- 右辺を展開して、両辺の各次数の係数を比較する方法。
- 左辺の多項式を $x-3$ で次々と割っていく方法(連続して組立除法を用いる方法)。
ここでは、計算の見通しが良い変数変換を用いる解法と、係数比較による解法、そして組立除法による解法を示す。
解法1
$x-3 = t$ とおくと、$x = t+3$ である。これを恒等式の両辺に代入する。
右辺は次のように簡潔な形になる。
$$t^3 + at^2 + bt + c$$
左辺の $x$ に $t+3$ を代入して展開し、整理する。
$$(t+3)^3 - (t+3)^2 - 16(t+3) + 37$$
これを展開すると、
$$(t^3 + 9t^2 + 27t + 27) - (t^2 + 6t + 9) - (16t + 48) + 37$$
同類項をまとめる。
$$t^3 + (9 - 1)t^2 + (27 - 6 - 16)t + (27 - 9 - 48 + 37)$$
計算して整理すると、
$$t^3 + 8t^2 + 5t + 7$$
これが右辺の $t^3 + at^2 + bt + c$ とすべての $t$ について等しいので、係数を比較して以下の値を得る。
$a = 8, b = 5, c = 7$
解法2
右辺をそのまま展開して、左辺と係数比較を行う。
右辺の展開は以下のようになる。
$$(x^3 - 9x^2 + 27x - 27) + a(x^2 - 6x + 9) + b(x - 3) + c$$
$x$ の次数について整理する。
$$x^3 + (a - 9)x^2 + (-6a + b + 27)x + (9a - 3b + c - 27)$$
これが左辺 $x^3 - x^2 - 16x + 37$ と恒等的に等しいため、各次数の係数を比較して以下の連立方程式を立てる。
$$\begin{cases} a - 9 = -1 \\ -6a + b + 27 = -16 \\ 9a - 3b + c - 27 = 37 \end{cases}$$
これを順番に解く。
第1式より、
$$a = 8$$
これを第2式に代入する。
$$-6 \cdot 8 + b + 27 = -16$$
$$-48 + 27 + b = -16$$
$$-21 + b = -16$$
$$b = 5$$
$a = 8, b = 5$ を第3式に代入する。
$$9 \cdot 8 - 3 \cdot 5 + c - 27 = 37$$
$$72 - 15 - 27 + c = 37$$
$$30 + c = 37$$
$$c = 7$$
よって、$a = 8, b = 5, c = 7$ と求まる。
解法3
多項式 $P(x) = x^3 - x^2 - 16x + 37$ を $x-3$ で割ることを考える。
恒等式 $P(x) = (x-3)^3 + a(x-3)^2 + b(x-3) + c$ の右辺を $x-3$ でくくると、
$$P(x) = (x-3)\{(x-3)^2 + a(x-3) + b\} + c$$
となり、$P(x)$ を $x-3$ で割ったときの余りが $c$ となることがわかる。 さらに、そのときの商 $(x-3)^2 + a(x-3) + b$ を再び $x-3$ で割った余りが $b$ であり、さらにその商 $(x-3) + a$ を $x-3$ で割った余りが $a$ となる。
この計算は組立除法を繰り返し用いることで効率よく実行できる。
$x-3=0$ となる $x=3$ を用いて組立除法を行う。
1回目(余りが $c$ に対応)
$$\begin{array}{r|rrrr} 3 & 1 & -1 & -16 & 37 \\ & & 3 & 6 & -30 \\ \hline & 1 & 2 & -10 & 7 \end{array}$$
これにより、商は $x^2 + 2x - 10$、余りは $7$ である。したがって $c = 7$。
2回目(余りが $b$ に対応) 得られた商の係数 $1, 2, -10$ に対して再び組立除法を行う。
$$\begin{array}{r|rrr} 3 & 1 & 2 & -10 \\ & & 3 & 15 \\ \hline & 1 & 5 & 5 \end{array}$$
これにより、商は $x + 5$、余りは $5$ である。したがって $b = 5$。
3回目(余りが $a$ に対応) 得られた商の係数 $1, 5$ に対して再び組立除法を行う。
$$\begin{array}{r|rr} 3 & 1 & 5 \\ & & 3 \\ \hline & 1 & 8 \end{array}$$
これにより、商は $1$、余りは $8$ である。したがって $a = 8$。
以上より、$a = 8, b = 5, c = 7$ となる。
解説
多項式を特定の形(今回は $(x-a)$ の累乗の和の形)で表す問題である。テイラー展開(マクローリン展開)の多項式版とも言える操作である。
解法1の変数変換 $t=x-3$ は、グラフの平行移動と捉えることもでき、計算が非常に簡潔になるため、実戦において最も推奨される手法である。
解法2の右辺を展開して係数比較する方法は、恒等式の最も基本的なアプローチであるが、展開の計算量が多くなりやすく、計算ミスのリスクが高まる点に注意が必要である。
解法3の連除法(組立除法を繰り返す方法)は、機械的な計算で係数を次々と求めることができる強力な手法である。原理を理解しておくと、より高次の多項式を扱う際に有用である。
答え
ア:8
イ:5
ウ:7
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