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数学2 恒等式 問題 5 解説

数学2 恒等式 問題 5 解説

方針・初手

恒等式の係数決定問題である。「どのような $x$ の値に対しても成り立つ」とは、与式が $x$ についての恒等式であるということである。 右辺を展開して両辺の係数を比較する(係数比較法)、または適当な $x$ の値を代入して連立方程式を解き、その後で十分性を確認する(数値代入法)のいずれかでアプローチする。

解法1

(係数比較法) 与式の右辺を展開して $x$ について整理する。

$$\begin{aligned} & (x-2)^3 + a(x-2)^2 + b(x-2) + c \\ &= (x^3 - 6x^2 + 12x - 8) + a(x^2 - 4x + 4) + b(x-2) + c \\ &= x^3 + (a-6)x^2 + (-4a+b+12)x + (4a-2b+c-8) \end{aligned}$$

これが左辺の $x^3 + x^2 - 8x + 5$ と恒等的に等しいので、両辺の同じ次数の項の係数は一致する。

$$\begin{cases} a-6 = 1 \\ -4a+b+12 = -8 \\ 4a-2b+c-8 = 5 \end{cases}$$

第1式より、

$$a = 7$$

これを第2式に代入して、

$$-28+b+12 = -8$$

$$b = 8$$

$a=7, b=8$ を第3式に代入して、

$$28-16+c-8 = 5$$

$$c = 1$$

したがって、求める定数の値は $a=7, b=8, c=1$ である。

解法2

(数値代入法) 与式が $x$ についての恒等式であるなら、どのような $x$ の値を代入しても等式が成り立つ。 計算が簡単になるように $x=2, 3, 1$ を代入する。

$x=2$ のとき

$$2^3 + 2^2 - 8 \cdot 2 + 5 = c$$

$$c = 1$$

$x=3$ のとき

$$3^3 + 3^2 - 8 \cdot 3 + 5 = 1^3 + a \cdot 1^2 + b \cdot 1 + c$$

$$a+b+c = 17$$

$x=1$ のとき

$$1^3 + 1^2 - 8 \cdot 1 + 5 = (-1)^3 + a(-1)^2 + b(-1) + c$$

$$-a+b-c = 1$$

(上の式は整理して $a-b+c = -1$ となる)

$c=1$ を残りの式に代入して整理すると、

$$\begin{cases} a+b = 15 \\ a-b = -1 \end{cases}$$

これを解いて、

$$a=7, b=8$$

逆に、このとき右辺は

$$(x-2)^3 + 7(x-2)^2 + 8(x-2) + 1$$

これを展開すると、

$$\begin{aligned} & x^3 - 6x^2 + 12x - 8 + 7(x^2 - 4x + 4) + 8x - 16 + 1 \\ &= x^3 - 6x^2 + 12x - 8 + 7x^2 - 28x + 28 + 8x - 15 \\ &= x^3 + x^2 - 8x + 5 \end{aligned}$$

となり、左辺と一致するため十分条件を満たす。 したがって、求める定数の値は $a=7, b=8, c=1$ である。

解法3

(連続割り算) $P(x) = x^3 + x^2 - 8x + 5$ とおく。 右辺を $x-2$ でくくると、

$$(x-2)\left\{ (x-2)^2 + a(x-2) + b \right\} + c$$

となるため、$c$ は $P(x)$ を $x-2$ で割ったときの余りである。組立除法などを用いて計算すると、

$$x^3 + x^2 - 8x + 5 = (x-2)(x^2 + 3x - 2) + 1$$

よって、$c=1$ であり、商は $x^2 + 3x - 2$ である。 次に、この商をさらに $x-2$ で割った余りが $b$ に対応する。

$$x^2 + 3x - 2 = (x-2)(x+5) + 8$$

よって、$b=8$ であり、商は $x+5$ である。 最後に、この商をさらに $x-2$ で割った余りが $a$ に対応する。

$$x+5 = (x-2) \cdot 1 + 7$$

よって、$a=7$ である。

解説

恒等式の係数を求める基本的な問題である。 解法1の「係数比較法」は展開の計算量はやや多くなるが、特別な思考を必要とせず論理的な記述がシンプルにまとまる。 解法2の「数値代入法」は、$(x-2)$ という因数が多く含まれていることに着目し、$x=2$ を代入することで即座に $c$ が求まるという利点がある。ただし、代入した値についてのみ成り立つ「必要条件」でしか求まっていないため、求めた値を元の式に代入して左辺と右辺が一致すること(十分性)の確認を忘れてはならない。 解法3の連続で割り算を行う方法は式の構造を深く理解していると使えるテクニックであり、計算量を大幅に減らすことができる。

答え

$a=7, b=8, c=1$

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