数学2 恒等式 問題 8 解説

方針・初手
与えられた等式がすべての $x$ について成り立つ、すなわち恒等式であるという条件を利用する。 未知の関数 $f(x)$ が多項式であるとわかっている場合、まずはその次数を決定するのが定石である。$f(x)$ の次数を $n$ とおき、両辺の最高次の項に着目して次数を比較する。(1)で次数が2であると決定した後は、$f(x) = ax^2 + bx + c$ とおいて等式に代入し、係数比較によって各係数を求める。
解法1
(1)
$f(x)$ の次数を $n$ とし、最高次の項を $a x^n$ ($a \neq 0$) とする。
(i) $n=0$ のとき $f(x) = a$ より $f'(x) = 0$ となる。 与式の左辺は $0$ となるが、右辺は $2ax + x^2 + \frac{5}{2}$ となり、これは恒等的に $0$ にはならない。 よって、不適である。
(ii) $n=1$ のとき $f(x) = ax+b$ とおける。 $f'(x) = a$ を与式に代入する。 左辺は、
$$a \left( ax+b-\frac{1}{2} \right) = a^2 x + a \left( b - \frac{1}{2} \right)$$
右辺は、
$$2x(ax+b) + x^2 + \frac{5}{2} = (2a+1)x^2 + 2bx + \frac{5}{2}$$
両辺の係数を比較すると、
$$\begin{cases} 0 = 2a+1 \\ a^2 = 2b \\ a \left( b - \frac{1}{2} \right) = \frac{5}{2} \end{cases}$$
第1式より $a = -\frac{1}{2}$ である。 これを第2式に代入すると、$\frac{1}{4} = 2b$ より $b = \frac{1}{8}$ となる。 これらを第3式の左辺に代入すると、
$$-\frac{1}{2} \left( \frac{1}{8} - \frac{1}{2} \right) = -\frac{1}{2} \left( -\frac{3}{8} \right) = \frac{3}{16}$$
となり、右辺の $\frac{5}{2}$ と一致しないため矛盾する。 よって、$n=1$ ではない。
(iii) $n \geqq 2$ のとき 左辺 $f'(x) \left\{ f(x) - \frac{1}{2} \right\}$ の最高次の項は、
$$nax^{n-1} \cdot ax^n = na^2 x^{2n-1}$$
であり、その次数は $2n-1$ である。 一方、右辺 $2x f(x) + x^2 + \frac{5}{2}$ について、$2x f(x)$ の最高次の項は $2ax^{n+1}$ である。$n \geqq 2$ であるから $n+1 \geqq 3$ となり、右辺の次数は $n+1$ となる。 与式は恒等式であるから、両辺の次数は等しい。
$$2n-1 = n+1$$
これを解いて $n=2$ を得る。これは $n \geqq 2$ を満たす。
以上 (i), (ii), (iii) より、$f(x)$ の次数は $2$ である。
(2)
(1)より、$f(x)$ は2次式であるから、$f(x) = ax^2 + bx + c$ ($a \neq 0$) とおくことができる。 $f'(x) = 2ax + b$ であるから、これを与式に代入する。
左辺は、
$$\begin{aligned} & (2ax+b) \left( ax^2+bx+c - \frac{1}{2} \right) \\ &= 2ax \left( ax^2+bx+c - \frac{1}{2} \right) + b \left( ax^2+bx+c - \frac{1}{2} \right) \\ &= 2a^2 x^3 + 2ab x^2 + 2a\left( c - \frac{1}{2} \right)x + ab x^2 + b^2 x + b\left( c - \frac{1}{2} \right) \\ &= 2a^2 x^3 + 3ab x^2 + \left\{ 2a\left( c - \frac{1}{2} \right) + b^2 \right\}x + b\left( c - \frac{1}{2} \right) \end{aligned}$$
右辺は、
$$\begin{aligned} & 2x(ax^2+bx+c) + x^2 + \frac{5}{2} \\ &= 2ax^3 + (2b+1)x^2 + 2cx + \frac{5}{2} \end{aligned}$$
これが $x$ についての恒等式であるから、各次数の係数を比較して以下の連立方程式を得る。
$$\begin{cases} 2a^2 = 2a \\ 3ab = 2b+1 \\ 2a\left( c - \frac{1}{2} \right) + b^2 = 2c \\ b\left( c - \frac{1}{2} \right) = \frac{5}{2} \end{cases}$$
第1式は $2a(a-1) = 0$ となり、$a \neq 0$ であるから $a=1$ である。 これを第2式に代入すると、$3b = 2b+1$ より $b=1$ である。 さらに第4式に $b=1$ を代入すると、$c - \frac{1}{2} = \frac{5}{2}$ より $c=3$ である。 これらを第3式に代入して確認すると、
$$\text{左辺} = 2 \cdot 1 \left( 3 - \frac{1}{2} \right) + 1^2 = 2 \cdot \frac{5}{2} + 1 = 6$$
$$\text{右辺} = 2 \cdot 3 = 6$$
となり、第3式も満たされる。 以上より、$a=1, b=1, c=3$ であるから、求める多項式は $f(x) = x^2 + x + 3$ である。
解説
多項式の恒等式を扱う際の定石である「次数の決定」と「係数比較法」の基本的な流れを問う問題である。 未知の多項式を決定する問題では、いきなり $f(x) = ax^n + \dots$ とおいて計算を進める前に、まずは最高次の項のみを比較して次数を絞り込むのが非常に有効である。本問では誘導の形で次数を決定するよう求められているが、このような小問がなくても自力で次数を評価する力が必要である。 次数の評価においては、$n=0, 1$ といった低次数の場合に右辺の次数が単なる $n+1$ ではなくなる($x^2$ の項の影響を直接受ける)可能性があるため、丁寧に場合分けをして確認することが論理的な欠陥をなくすポイントである。
答え
(1) 両辺の最高次の項を比較することで示された。
(2) $f(x) = x^2 + x + 3$
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