トップ 基礎問題 数学2 式と証明 恒等式 問題 9

数学2 恒等式 問題 9 解説

数学2 恒等式 問題 9 解説

方針・初手

与えられた恒等式を多項式の問題として扱い、式変形から因数を比較する方針と、1次式の係数を文字でおいて比較する方針の2つが考えられる。因数分解を利用して1次式の持つ根(零点)に着目すると、簡潔に結論を導くことができる。係数比較を行う場合は、展開して得られる連立方程式から関係式を導く。

解法1

$A(x)$ は1次式であるから、0でない実数 $a$ と実数 $\alpha$ を用いて次のように表せる。

$$A(x) = a(x - \alpha)$$

与えられた等式 $\{A(x)\}^2 + \{B(x)\}^2 = \{C(x)\}^2$ を移項して因数分解する。

$$\{A(x)\}^2 = \{C(x)\}^2 - \{B(x)\}^2$$

$$a^2(x - \alpha)^2 = \{C(x) + B(x)\}\{C(x) - B(x)\}$$

$B(x), C(x)$ はともに1次式であるから、$C(x) + B(x)$ と $C(x) - B(x)$ はそれぞれ高々1次式(1次式または定数)である。

もし一方が定数(非零)であると仮定すると、右辺のもう一方の因数は2次式でなければならず、$C(x) \pm B(x)$ が高々1次式であることに矛盾する。また、一方が0であると仮定すると左辺が0となり、$a \neq 0$ に矛盾する。

したがって、$C(x) + B(x)$ と $C(x) - B(x)$ はともに1次式であり、どちらも $(x - \alpha)$ を因数にもたなければならない。0でない実数 $p, q$ を用いて次のように表せる。

$$C(x) + B(x) = p(x - \alpha)$$

$$C(x) - B(x) = q(x - \alpha)$$

これら2式の辺々を加え合わせ、2で割る。

$$C(x) = \frac{p+q}{2} (x - \alpha)$$

また、辺々を引いて2で割る。

$$B(x) = \frac{p-q}{2} (x - \alpha)$$

ここで、$C(x)$ は1次式であるから、その係数について $\frac{p+q}{2} \neq 0$ である。このとき、$x - \alpha$ を $C(x)$ を用いて表すことができる。

$$x - \alpha = \frac{2}{p+q} C(x)$$

これを $A(x)$ と $B(x)$ の式に代入する。

$$A(x) = a \cdot \frac{2}{p+q} C(x) = \frac{2a}{p+q} C(x)$$

$$B(x) = \frac{p-q}{2} \cdot \frac{2}{p+q} C(x) = \frac{p-q}{p+q} C(x)$$

$a, p, q$ は定数であるから、$\frac{2a}{p+q}$ および $\frac{p-q}{p+q}$ も定数である。よって、$A(x)$ と $B(x)$ はともに $C(x)$ の定数倍であることが示された。

解法2

$A(x), B(x), C(x)$ はすべて1次式であるから、0でない実数 $a_1, b_1, c_1$ および実数 $a_0, b_0, c_0$ を用いて次のように表せる。

$$A(x) = a_1 x + a_0$$

$$B(x) = b_1 x + b_0$$

$$C(x) = c_1 x + c_0$$

これらを与式に代入する。

$$(a_1 x + a_0)^2 + (b_1 x + b_0)^2 = (c_1 x + c_0)^2$$

左辺と右辺をそれぞれ展開して整理する。

$$(a_1^2 + b_1^2)x^2 + 2(a_1 a_0 + b_1 b_0)x + (a_0^2 + b_0^2) = c_1^2 x^2 + 2c_1 c_0 x + c_0^2$$

これが $x$ についての恒等式であるから、各次数の係数は等しい。

$$\begin{cases} a_1^2 + b_1^2 = c_1^2 & \cdots (1) \\ a_1 a_0 + b_1 b_0 = c_1 c_0 & \cdots (2) \\ a_0^2 + b_0^2 = c_0^2 & \cdots (3) \end{cases}$$

(2)の両辺を2乗し、そこに(1)と(3)を代入する。

$$(a_1 a_0 + b_1 b_0)^2 = c_1^2 c_0^2 = (a_1^2 + b_1^2)(a_0^2 + b_0^2)$$

この式の両辺を展開する。

$$a_1^2 a_0^2 + 2a_1 a_0 b_1 b_0 + b_1^2 b_0^2 = a_1^2 a_0^2 + a_1^2 b_0^2 + b_1^2 a_0^2 + b_1^2 b_0^2$$

両辺から共通する項を消去して整理する。

$$a_1^2 b_0^2 - 2a_1 b_0 a_0 b_1 + a_0^2 b_1^2 = 0$$

$$(a_1 b_0 - a_0 b_1)^2 = 0$$

$$a_1 b_0 - a_0 b_1 = 0$$

$a_1 \neq 0$ であるから、実数 $k = \frac{a_0}{a_1}$ とおくと、$a_0 = k a_1$ と表せる。これを上の式に代入する。

$$a_1 b_0 - (k a_1) b_1 = 0$$

$$a_1 (b_0 - k b_1) = 0$$

$a_1 \neq 0$ より $b_0 = k b_1$ となる。さらに $a_0 = k a_1$ と $b_0 = k b_1$ を(2)に代入する。

$$a_1 (k a_1) + b_1 (k b_1) = c_1 c_0$$

$$k (a_1^2 + b_1^2) = c_1 c_0$$

(1)より $a_1^2 + b_1^2 = c_1^2$ であるから、次のように書き換えられる。

$$k c_1^2 = c_1 c_0$$

$C(x)$ は1次式であり $c_1 \neq 0$ であるため、両辺を $c_1$ で割ることができる。

$$c_0 = k c_1$$

以上より、$a_0, b_0, c_0$ はいずれも $a_1, b_1, c_1$ を共通の定数 $k$ 倍したものになっている。したがって、各多項式は次のように変形できる。

$$\begin{aligned} A(x) &= a_1 x + k a_1 = a_1 (x + k) \\ B(x) &= b_1 x + k b_1 = b_1 (x + k) \\ C(x) &= c_1 x + k c_1 = c_1 (x + k) \end{aligned}$$

$c_1 \neq 0$ であるから、$x + k = \frac{1}{c_1} C(x)$ と表すことができる。これを $A(x)$ と $B(x)$ に代入する。

$$A(x) = \frac{a_1}{c_1} C(x)$$

$$B(x) = \frac{b_1}{c_1} C(x)$$

$\frac{a_1}{c_1}$ と $\frac{b_1}{c_1}$ は定数であるから、$A(x)$ と $B(x)$ はともに $C(x)$ の定数倍であることが示された。

解説

多項式の恒等式に関する典型問題である。解法1のように因数分解をして多項式の「根」の観点から迫る方法は、文字の数が減り見通しが良くなる。解法2のように係数をすべて文字でおく方法は、一見すると計算が重くなるが、コーシー・シュワルツの不等式の等号成立条件でおなじみの式変形が現れるため、代数的な処理に慣れていれば確実である。

答え

$A(x) = \frac{2a}{p+q} C(x), \ B(x) = \frac{p-q}{p+q} C(x)$ などを導き、$A(x)$ と $B(x)$ が $C(x)$ の定数倍であることを示した。

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