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数学2 恒等式 問題 13 解説

数学2 恒等式 問題 13 解説

方針・初手

与えられた2変数 $x, y$ の2次式が1次式の積に因数分解できるための条件を考える。 方法としては大きく分けて2つある。 1つは、与式を $x$(または $y$)についての2次方程式とみなして解の公式を用い、根号の中身である判別式が完全平方式になる条件を求める方法である。 もう1つは、あらかじめ2次の項だけを因数分解し、全体が1次式の積になると仮定して恒等式をつくり、係数比較によって未知の定数を定める方法である。 ここでは、計算が比較的容易な恒等式による係数比較を解法1とし、判別式を用いる方法を解法2として解説する。

解法1

(1)

整式 $A$ の2次の項に着目すると、$x^2 + xy - 6y^2 = (x + 3y)(x - 2y)$ と因数分解できる。 したがって、$A$ が $x, y$ の1次式の積になるとき、定数 $p, q$ を用いて次のように表すことができる。

$$A = (x + 3y + p)(x - 2y + q)$$

この式の右辺を展開して整理する。

$$A = x^2 + xy - 6y^2 + (p+q)x + (-2p+3q)y + pq$$

これが元の整式 $A = x^2 + xy - 6y^2 + 5x + ay + 4$ と恒等的に等しくなるため、各項の係数を比較して以下の連立方程式を得る。

$$\begin{cases} p + q = 5 & \cdots \text{①} \\ -2p + 3q = a & \cdots \text{②} \\ pq = 4 & \cdots \text{③} \end{cases}$$

①より $q = 5 - p$ であるから、これを③に代入する。

$$p(5 - p) = 4$$

$$p^2 - 5p + 4 = 0$$

$$(p - 1)(p - 4) = 0$$

これより、$p = 1, 4$ となる。

(i) $p = 1$ のとき

①より $q = 4$ である。 これらを②に代入して $a$ の値を求める。

$$a = -2 \cdot 1 + 3 \cdot 4 = 10$$

(ii) $p = 4$ のとき

①より $q = 1$ である。 これらを②に代入して $a$ の値を求める。

$$a = -2 \cdot 4 + 3 \cdot 1 = -5$$

以上より、求める定数 $a$ の値は $a = -5, 10$ である。

(2)

(1) の途中で求めた $p, q$ の値を用いて因数分解する。

(i) $a = -5$ のとき

(1) より $p = 4, q = 1$ であるから、次のように因数分解される。

$$A = (x + 3y + 4)(x - 2y + 1)$$

(ii) $a = 10$ のとき

(1) より $p = 1, q = 4$ であるから、次のように因数分解される。

$$A = (x + 3y + 1)(x - 2y + 4)$$

解法2

(1)

与式を $x$ について整理する。

$$A = x^2 + (y+5)x - 6y^2 + ay + 4$$

$A = 0$ を $x$ についての2次方程式とみなしたときの判別式を $D_1$ とすると、$A$ が $x, y$ の1次式の積となるための条件は、$D_1$ が $y$ の完全平方式($(cy+d)^2$ の形)となることである。

$$D_1 = (y+5)^2 - 4 \cdot 1 \cdot (-6y^2 + ay + 4)$$

$$D_1 = y^2 + 10y + 25 + 24y^2 - 4ay - 16$$

$$D_1 = 25y^2 + (10 - 4a)y + 9$$

$D_1$ が $y$ の完全平方式となるためには、$D_1 = 0$ を $y$ についての2次方程式とみなしたときの判別式を $D_2$ とするとき、$D_2 = 0$ が成り立てばよい。

$$\frac{D_2}{4} = \left( \frac{10 - 4a}{2} \right)^2 - 25 \cdot 9 = 0$$

$$(5 - 2a)^2 = 225$$

$$5 - 2a = \pm 15$$

$5 - 2a = 15$ のとき、$-2a = 10$ より $a = -5$ である。 $5 - 2a = -15$ のとき、$-2a = -20$ より $a = 10$ である。 以上より、求める定数 $a$ の値は $a = -5, 10$ である。

(2)

(1) で求めた $a$ の値に対する $D_1$ を計算し、$x$ の解を求めて因数分解する。

(i) $a = -5$ のとき

$$D_1 = 25y^2 + 30y + 9 = (5y + 3)^2$$

方程式 $A = 0$ の解は解の公式より以下のようになる。

$$x = \frac{-(y+5) \pm \sqrt{(5y+3)^2}}{2} = \frac{-y - 5 \pm (5y + 3)}{2}$$

よって、$x = 2y - 1, -3y - 4$ となるので、因数定理より $A$ は次のように因数分解される。

$$A = \{x - (2y - 1)\}\{x - (-3y - 4)\} = (x - 2y + 1)(x + 3y + 4)$$

(ii) $a = 10$ のとき

$$D_1 = 25y^2 - 30y + 9 = (5y - 3)^2$$

方程式 $A = 0$ の解は解の公式より以下のようになる。

$$x = \frac{-(y+5) \pm \sqrt{(5y-3)^2}}{2} = \frac{-y - 5 \pm (5y - 3)}{2}$$

よって、$x = 2y - 4, -3y - 1$ となるので、因数定理より $A$ は次のように因数分解される。

$$A = \{x - (2y - 4)\}\{x - (-3y - 1)\} = (x - 2y + 4)(x + 3y + 1)$$

解説

2次曲線が2直線を表す条件としても知られる有名なテーマである。 2変数2次式が2つの1次式の積に因数分解できる条件を問われた場合、「判別式の判別式が $0$ になる」という解法2のアプローチが汎用的で機械的に解けるため、多くの参考書で基本として扱われている。 一方で、今回のように2次の同次式部分($x^2 + xy - 6y^2$)が実数範囲で容易に因数分解できる場合は、解法1のように恒等式の係数比較に持ち込む方が、計算量が少なく見通しが良くなることが多い。 試験本番では問題の形を見て、より計算ミスのリスクが少ない方法を選択したい。

答え

(1)

$a = -5, 10$

(2)

$a = -5$ のとき $(x + 3y + 4)(x - 2y + 1)$

$a = 10$ のとき $(x + 3y + 1)(x - 2y + 4)$

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