数学2 不等式の証明 問題 5 解説

方針・初手
与えられた不等式を $x$ の2次式と見なして考える。 (1) はすべての実数 $x$ に対して不等式が成り立つ条件を、判別式を用いて求める。 (2) は $x, y$ が正であるという条件を活用し、両辺を $xy$ で割ることで $t = \frac{x}{y}$ という1変数の問題に帰着させるのが見通しがよい。
解法1
(1)
与えられた不等式を $x$ について整理すると、次のように変形できる。
$$x^2 - ayx + y^2 \geqq 0$$
すべての実数 $x, y$ に対してこの不等式が成り立つためには、任意の $y$ に対して、これを $x$ についての2次不等式と見たときに常に成り立つ必要がある。 $x^2$ の係数は $1 > 0$ であるから、この $x$ についての2次方程式 $x^2 - ayx + y^2 = 0$ の判別式を $D$ とすると、$D \leqq 0$ であればよい。
$$D = (-ay)^2 - 4 \cdot 1 \cdot y^2 = y^2(a^2 - 4)$$
すべての実数 $y$ に対して $D \leqq 0$、すなわち $y^2(a^2 - 4) \leqq 0$ が成り立つ条件は以下のようになる。
$$a^2 - 4 \leqq 0$$
これを解いて、求める $a$ の範囲は次の通りである。
$$-2 \leqq a \leqq 2$$
(2)
条件より $x > 0, y > 0$ であるから $xy > 0$ である。 与えられた不等式 $x^2 + y^2 \geqq axy$ の両辺を $xy$ で割ると、次のようになる。
$$\frac{x}{y} + \frac{y}{x} \geqq a$$
ここで $t = \frac{x}{y}$ とおくと、$x > 0, y > 0$ より $t > 0$ である。 不等式は次のように書き換えられる。
$$t + \frac{1}{t} \geqq a$$
これがすべての $t > 0$ に対して成り立つような $a$ の範囲を求めればよい。 $t > 0, \frac{1}{t} > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より次が成り立つ。
$$t + \frac{1}{t} \geqq 2\sqrt{t \cdot \frac{1}{t}} = 2$$
等号は $t = \frac{1}{t}$、すなわち $t^2 = 1$ より $t = 1$ のとき成り立つ。 したがって、$t + \frac{1}{t}$ の最小値は $2$ である。 すべての $t > 0$ に対して $t + \frac{1}{t} \geqq a$ が成り立つための条件は、
$$2 \geqq a$$
すなわち、求める $a$ の範囲は次の通りである。
$$a \leqq 2$$
解法2
$x$ についての2次関数の最小値を考える解法である。 $f(x) = x^2 - ayx + y^2$ とおく。
$$f(x) = \left( x - \frac{a}{2}y \right)^2 + \left( 1 - \frac{a^2}{4} \right)y^2$$
と平方完成できる。$y$ を固定したとき、この関数は $x = \frac{a}{2}y$ を軸とする下に凸の放物線である。
(1)
すべての実数 $x, y$ に対して $f(x) \geqq 0$ となる条件を求める。 任意の $y$ に対して、すべての $x$ で $f(x) \geqq 0$ となるためには、関数の最小値が $0$ 以上であればよい。 $x$ はすべての実数をとるので、最小値は $x = \frac{a}{2}y$ のときである。
$$f\left(\frac{a}{2}y\right) = \left( 1 - \frac{a^2}{4} \right)y^2 \geqq 0$$
これがすべての実数 $y$ に対して成り立つから、
$$1 - \frac{a^2}{4} \geqq 0$$
よって、$a^2 \leqq 4$ より、求める範囲は $-2 \leqq a \leqq 2$ である。
(2)
すべての $x > 0, y > 0$ に対して $f(x) \geqq 0$ となる条件を求める。 $y > 0$ を固定し、$x > 0$ における $f(x)$ の最小値を考える。 軸の位置 $x = \frac{a}{2}y$ と変域 $x > 0$ の関係で場合分けをする。$y > 0$ であるから、軸の正負は $a$ の正負と一致する。
(i) $a \leqq 0$ のとき
軸は $x \leqq 0$ の範囲にある。 $x > 0$ において $f(x)$ は単調増加であるから、$f(x) > f(0)$ が成り立つ。 $f(0) = y^2 > 0$ であるから、$x > 0$ において常に $f(x) > 0$ となり、条件を満たす。
(ii) $a > 0$ のとき
軸は $x > 0$ の範囲にある。 $x > 0$ における $f(x)$ の最小値は $x = \frac{a}{2}y$ のときである。 条件を満たすためには、最小値が $0$ 以上であればよい。
$$f\left(\frac{a}{2}y\right) = \left( 1 - \frac{a^2}{4} \right)y^2 \geqq 0$$
$y > 0$ であるから、
$$1 - \frac{a^2}{4} \geqq 0$$
よって $a^2 \leqq 4$ となり、$-2 \leqq a \leqq 2$。 場合分けの条件 $a > 0$ と合わせて、$0 < a \leqq 2$ である。
(i), (ii) より、求める範囲はこれらを合わせた範囲となる。
$$a \leqq 2$$
解説
2変数の不等式が常に成り立つ条件を求める典型問題である。 同次式(各項の次数が等しい式)であることに着目すると、(2)のように比 $t = \frac{x}{y}$ を用いて1変数の関数に帰着させる手法が非常に有効である。 また、1つの変数を定数と見なして2次関数として処理する解法(解法2)も汎用性が高い。変域が制限されている(2)では、軸の位置による場合分けが必要となる点で差がつく。
答え
(1) $-2 \leqq a \leqq 2$
(2) $a \leqq 2$
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