数学2 不等式の証明 問題 9 解説

方針・初手
(1)は、不等式の証明の基本である(右辺)-(左辺)$\geqq 0$ を示す方針をとる。あるいは関数 $f(t) = \frac{t}{1+t}$ の単調性を利用してもよい。 (2)は、絶対値を含む不等式の基本である。両辺が0以上であることを確認したうえで、両辺の平方の差を計算する。 (3)は、(1)と(2)の結果を誘導として用いる。(2)で得られる不等式を(1)の $x, y$ に適用し、さらに各項の分母を小さくすることで値を大きくする評価を行う。
解法1
(1)
(右辺)-(左辺)を計算する。
$$ \frac{y}{1+y} - \frac{x}{1+x} = \frac{y(1+x) - x(1+y)}{(1+x)(1+y)} $$
$$ = \frac{y + xy - x - xy}{(1+x)(1+y)} = \frac{y-x}{(1+x)(1+y)} $$
条件より $0 \leqq x \leqq y$ であるから、$y-x \geqq 0$、$1+x > 0$、$1+y > 0$ である。
したがって、
$$ \frac{y-x}{(1+x)(1+y)} \geqq 0 $$
となるため、
$$ \frac{x}{1+x} \leqq \frac{y}{1+y} $$
が成り立つ。等号成立は $x=y$ のときである。
(2)
$|a+b| \geqq 0$、$|a|+|b| \geqq 0$ であるから、両辺の平方の差を調べる。
$$ (|a|+|b|)^2 - |a+b|^2 = (|a|^2 + 2|a||b| + |b|^2) - (a+b)^2 $$
$$ = (a^2 + 2|ab| + b^2) - (a^2 + 2ab + b^2) $$
$$ = 2(|ab| - ab) $$
任意の実数 $X$ について $X \leqq |X|$ が成り立つので、$ab \leqq |ab|$、すなわち $|ab| - ab \geqq 0$ である。
ゆえに、
$$ (|a|+|b|)^2 - |a+b|^2 \geqq 0 $$
$$ (|a+b|)^2 \leqq (|a|+|b|)^2 $$
両辺ともに0以上であるため、
$$ |a+b| \leqq |a|+|b| $$
が成り立つ。等号成立は $|ab| = ab$、すなわち $ab \geqq 0$ のときである。
(3)
(2)より、
$$ |a+b| \leqq |a|+|b| $$
が成り立つ。ここで、$|a+b| \geqq 0$、$|a|+|b| \geqq 0$ であるから、(1)の不等式において $x = |a+b|$、$y = |a|+|b|$ とすると、$0 \leqq x \leqq y$ を満たす。
したがって、(1)より、
$$ \frac{|a+b|}{1+|a+b|} \leqq \frac{|a|+|b|}{1+|a|+|b|} $$
が成り立つ。この右辺を分母を変えずに分けると、
$$ \frac{|a|+|b|}{1+|a|+|b|} = \frac{|a|}{1+|a|+|b|} + \frac{|b|}{1+|a|+|b|} $$
となる。
ここで、$|b| \geqq 0$ より $1+|a|+|b| \geqq 1+|a| > 0$ である。$|a| \geqq 0$ であるから、分母を小さくすると全体の値は小さくならないため、
$$ \frac{|a|}{1+|a|+|b|} \leqq \frac{|a|}{1+|a|} $$
が成り立つ。同様に、$|a| \geqq 0$ より $1+|a|+|b| \geqq 1+|b| > 0$ であるから、
$$ \frac{|b|}{1+|a|+|b|} \leqq \frac{|b|}{1+|b|} $$
が成り立つ。
以上の不等式を辺々足し合わせると、
$$ \frac{|a|}{1+|a|+|b|} + \frac{|b|}{1+|a|+|b|} \leqq \frac{|a|}{1+|a|} + \frac{|b|}{1+|b|} $$
となる。
よって、
$$ \frac{|a+b|}{1+|a+b|} \leqq \frac{|a|+|b|}{1+|a|+|b|} \leqq \frac{|a|}{1+|a|} + \frac{|b|}{1+|b|} $$
となり、
$$ \frac{|a+b|}{1+|a+b|} \leqq \frac{|a|}{1+|a|} + \frac{|b|}{1+|b|} $$
が示された。
解説
前問の結果を利用して次の問題を解く、典型的な誘導問題である。(3)において、(1)と(2)の結果を組み合わせた後、分数の足し算を分割し、それぞれの項について「分母を小さくすることで全体の値を大きくする(あるいは等しく保つ)」という評価を行うのがポイントである。この分母の評価は、極限や不等式証明で頻出の手法であるため、確実に押さえておきたい。
答え
(1) 証明された(等号成立は $x=y$ のとき)
(2) 証明された(等号成立は $ab \geqq 0$ のとき)
(3) 証明された(等号成立は $a=0$ または $b=0$ のとき)
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