数学2 不等式の証明 問題 12 解説

方針・初手
(1) は絶対不等式の証明である。$(左辺)-(右辺) \geqq 0$ を示すのが基本であり、実数の性質 $A^2 \geqq 0$ を利用するために、式を平方の和の形に変形する。
(2) は (1) の結果を利用する。条件式 $x+y+z=1$ を活かすために、$(x+y+z)^2$ の展開公式と (1) の不等式を組み合わせる。
解法1
(1)
与式の左辺から右辺を引いた式を変形する。
$$x^2 + y^2 + z^2 - (xy + yz + zx) = \frac{1}{2} (2x^2 + 2y^2 + 2z^2 - 2xy - 2yz - 2zx)$$
$$= \frac{1}{2} \{(x^2 - 2xy + y^2) + (y^2 - 2yz + z^2) + (z^2 - 2zx + x^2)\}$$
$$= \frac{1}{2} \{(x-y)^2 + (y-z)^2 + (z-x)^2\}$$
$x, y, z$ は実数であるから、$(x-y)^2 \geqq 0$、$(y-z)^2 \geqq 0$、$(z-x)^2 \geqq 0$ である。したがって、
$$\frac{1}{2} \{(x-y)^2 + (y-z)^2 + (z-x)^2\} \geqq 0$$
が成り立つ。ゆえに、
$$x^2 + y^2 + z^2 \geqq xy + yz + zx$$
が示された。
等号が成り立つのは、$(x-y)^2 = 0$ かつ $(y-z)^2 = 0$ かつ $(z-x)^2 = 0$ のときである。すなわち、$x-y = 0$ かつ $y-z = 0$ かつ $z-x = 0$ より、$x = y = z$ のときである。
(2)
公式 $(x+y+z)^2 = x^2 + y^2 + z^2 + 2(xy + yz + zx)$ を用いる。これを変形すると、
$$x^2 + y^2 + z^2 = (x+y+z)^2 - 2(xy + yz + zx)$$
となる。(1) で示した不等式 $x^2 + y^2 + z^2 \geqq xy + yz + zx$ にこれを代入すると、
$$(x+y+z)^2 - 2(xy + yz + zx) \geqq xy + yz + zx$$
$$(x+y+z)^2 \geqq 3(xy + yz + zx)$$
問題の条件より $x+y+z=1$ であるから、これを代入して、
$$1^2 \geqq 3(xy + yz + zx)$$
$$xy + yz + zx \leqq \frac{1}{3}$$
となり、示された。
等号が成り立つのは、(1) の等号成立条件と同じく $x = y = z$ のときである。このとき、条件 $x+y+z=1$ より、
$$3x = 1$$
$$x = \frac{1}{3}$$
となる。よって、等号が成り立つときの値は $x = y = z = \frac{1}{3}$ である。
解法2
(1)の別解
与式の左辺から右辺を引いた式を $x$ についての2次式とみて、平方完成を行う。
$$x^2 + y^2 + z^2 - xy - yz - zx = x^2 - (y+z)x + y^2 + z^2 - yz$$
$$= \left( x - \frac{y+z}{2} \right)^2 - \left( \frac{y+z}{2} \right)^2 + y^2 + z^2 - yz$$
$$= \left( x - \frac{y+z}{2} \right)^2 - \frac{y^2 + 2yz + z^2}{4} + \frac{4y^2 + 4z^2 - 4yz}{4}$$
$$= \left( x - \frac{y+z}{2} \right)^2 + \frac{3y^2 - 6yz + 3z^2}{4}$$
$$= \left( x - \frac{y+z}{2} \right)^2 + \frac{3}{4}(y-z)^2$$
$x, y, z$ は実数であるから、実数の平方は $0$ 以上となるため、
$$\left( x - \frac{y+z}{2} \right)^2 \geqq 0, \quad \frac{3}{4}(y-z)^2 \geqq 0$$
である。したがって、これらの和は $0$ 以上となる。ゆえに、
$$x^2 + y^2 + z^2 - xy - yz - zx \geqq 0$$
すなわち
$$x^2 + y^2 + z^2 \geqq xy + yz + zx$$
が示された。
等号が成り立つのは、$x - \frac{y+z}{2} = 0$ かつ $y-z = 0$ のときである。 $y-z = 0$ より $y = z$ であり、これを $x - \frac{y+z}{2} = 0$ に代入すると $x - \frac{2y}{2} = 0$ すなわち $x = y$ となる。 よって、等号成立条件は $x = y = z$ である。
解説
(1) の式変形 $x^2 + y^2 + z^2 - xy - yz - zx = \frac{1}{2} \{(x-y)^2 + (y-z)^2 + (z-x)^2\}$ は、3文字の対称式を扱う際によく現れる非常に重要な恒等式である。因数分解の公式 $x^3 + y^3 + z^3 - 3xyz = (x+y+z)(x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx)$ の一部としても登場するため、結果と導出過程の双方を記憶しておくことが望ましい。もしこの変形を忘れた場合でも、解法2のように1つの文字に注目して平方完成すれば、自然に証明できる。
(2) は典型的な誘導問題である。直接証明しようとすると手が止まりやすいが、(1) で証明した不等式と、$(x+y+z)^2$ の展開公式を結びつけることで簡潔に処理できる。前の設問の結果をどのように次の設問に活用するかを考える姿勢が重要である。
答え
(1) (証明は解法を参照)、等号成立条件は $x = y = z$
(2) (証明は解法を参照)、等号が成り立つときの値は $x = y = z = \frac{1}{3}$
自分の記録
誤りを報告
問題文の写しミス、解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。





