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数学2 不等式の証明 問題 14 解説

数学2 不等式の証明 問題 14 解説

方針・初手

(1) は不等式の証明の基本に従い、辺々の差をとって正になることを示す。その際、前提条件である $\frac{c}{d} < \frac{a}{b}$ の分母を払った $ad - bc > 0$ という関係式を利用する。

(2) の前半は、与えられた不等式の分母を払うだけで示される。「整数」であるという条件から「正の整数である」ことは「$1$ 以上である」と言い換えることができる。この性質を後半の不等式証明に活用し、$x$ と $y$ についての連立方程式を解く要領で式変形を行う。

解法1

(1)

条件 $\frac{c}{d} < \frac{a}{b}$ において、$b, d$ は正の整数であるから、両辺に正の数 $bd$ を掛けて分母を払うと、 $bc < ad \iff ad - bc > 0$ となる。

各辺の差をとる。まず、

$$\begin{aligned} \frac{a+c}{b+d} - \frac{c}{d} &= \frac{d(a+c) - c(b+d)}{d(b+d)} \\ &= \frac{ad + cd - bc - cd}{d(b+d)} \\ &= \frac{ad - bc}{d(b+d)} \end{aligned}$$

である。$b, d$ は正の整数であるから $d(b+d) > 0$ であり、$ad - bc > 0$ であるから、

$$\frac{ad - bc}{d(b+d)} > 0$$

すなわち、$\frac{a+c}{b+d} - \frac{c}{d} > 0$ より $\frac{c}{d} < \frac{a+c}{b+d}$ が成り立つ。

同様に、

$$\begin{aligned} \frac{a}{b} - \frac{a+c}{b+d} &= \frac{a(b+d) - b(a+c)}{b(b+d)} \\ &= \frac{ab + ad - ab - bc}{b(b+d)} \\ &= \frac{ad - bc}{b(b+d)} \end{aligned}$$

である。$b, d$ は正の整数であるから $b(b+d) > 0$ であり、$ad - bc > 0$ であるから、

$$\frac{ad - bc}{b(b+d)} > 0$$

すなわち、$\frac{a}{b} - \frac{a+c}{b+d} > 0$ より $\frac{a+c}{b+d} < \frac{a}{b}$ が成り立つ。

以上より、$\frac{c}{d} < \frac{a+c}{b+d} < \frac{a}{b}$ が成り立つことが示された。

(2)

条件 $\frac{y}{x} < \frac{a}{b}$ において、$a, b, x, y$ はすべて正の整数であるから、両辺に正の数 $bx$ を掛けると、

$$by < ax \iff ax - by > 0$$

となる。$a, b, x, y$ は整数であるから $ax - by$ も整数であり、正の数であるから $ax - by$ は正の整数である。

また、条件 $\frac{c}{d} < \frac{y}{x}$ において、$c, d, x, y$ はすべて正の整数であるから、両辺に正の数 $dx$ を掛けると、

$$cx < dy \iff dy - cx > 0$$

となる。$c, d, x, y$ は整数であるから $dy - cx$ も整数であり、正の数であるから $dy - cx$ は正の整数である。

次に、$b+d \leqq x$ および $a+c \leqq y$ が成り立つことを示す。 $X = ax - by$、$Y = dy - cx$ とおく。 前半で示したように、$X, Y$ は正の整数であるから、$X \geqq 1$、$Y \geqq 1$ が成り立つ。 $x, y$ についての連立方程式

$$\begin{cases} ax - by = X \\ -cx + dy = Y \end{cases}$$

とみて、$x, y$ について解く。

第1式に $c$ を掛けたものと、第2式に $a$ を掛けたものを辺々加えると、

$$(acx - bcy) + (-acx + ady) = cX + aY$$

$$(ad - bc)y = cX + aY$$

条件より $ad - bc = 1$ であるから、

$$y = cX + aY$$

となる。$X \geqq 1, Y \geqq 1$ であり、$a, c$ は正の整数であるから、

$$y \geqq c \cdot 1 + a \cdot 1 = a + c$$

よって、$a+c \leqq y$ が成り立つ。

同様に、第1式に $d$ を掛けたものと、第2式に $b$ を掛けたものを辺々加えると、

$$(adx - bdy) + (-bcx + bdy) = dX + bY$$

$$(ad - bc)x = dX + bY$$

$ad - bc = 1$ であるから、

$$x = dX + bY$$

となる。$X \geqq 1, Y \geqq 1$ であり、$b, d$ は正の整数であるから、

$$x \geqq d \cdot 1 + b \cdot 1 = b + d$$

よって、$b+d \leqq x$ が成り立つ。

以上により、すべての題意が示された。

解説

(1) の $\frac{a+c}{b+d}$ は、2つの分数 $\frac{a}{b}$ と $\frac{c}{d}$ の「中間分数」と呼ばれるものであり、値が元の2つの分数の間に存在するという性質を持つ。

(2) は、整数問題における「不等式の条件」と「離散性(整数の性質)」を結びつける典型的な手法を問うている。「正の整数である」という結論を単なる符号の確認で終わらせず、「正の整数ならば $1$ 以上である」という不等式に翻訳し、$x$ や $y$ の評価に利用するのが最大のポイントである。連立方程式の形で未知数 $x, y$ を逆算する処理に慣れておきたい。

答え

(1) 題意の不等式が成り立つことが示された。

(2) $ax-by$ および $dy-cx$ が正の整数であることが示され、$b+d \leqq x$、$a+c \leqq y$ が成り立つことも示された。

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