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数学2 不等式の証明 問題 15 解説

数学2 不等式の証明 問題 15 解説

方針・初手

さいころの目 $k$($k = 1, 2, 3, 4, 5, 6$)が出る確率をそれぞれ $p_k$ とおく。確率の性質から、

$$\sum_{k=1}^{6} p_k = 1, \quad p_k \geqq 0 \quad (k=1, 2, \dots, 6)$$

が成り立つ。 このとき、同じ目が出る確率 $P$ は各目が2回続けて出る確率の和であるから、

$$P = \sum_{k=1}^{6} p_k^2$$

と表せる。 また、1回目に奇数、2回目に偶数の目が出る確率 $Q$ は、奇数が出る確率の和と偶数が出る確率の和の積であるから、

$$Q = (p_1 + p_3 + p_5)(p_2 + p_4 + p_6)$$

と表せる。 これらの文字式を用いて、与えられた不等式が成立することを示す。

解法1

(1)

実数の平方は $0$ 以上であるから、

$$\sum_{k=1}^{6} \left( p_k - \frac{1}{6} \right)^2 \geqq 0$$

が成り立つ。この左辺を展開すると、

$$\begin{aligned} \sum_{k=1}^{6} \left( p_k^2 - \frac{1}{3} p_k + \frac{1}{36} \right) &= \sum_{k=1}^{6} p_k^2 - \frac{1}{3} \sum_{k=1}^{6} p_k + \sum_{k=1}^{6} \frac{1}{36} \\ &= P - \frac{1}{3} \cdot 1 + 6 \cdot \frac{1}{36} \\ &= P - \frac{1}{6} \end{aligned}$$

となる。したがって、

$$P - \frac{1}{6} \geqq 0$$

となり、$P \geqq \frac{1}{6}$ であることが示された。

等号が成立するのは、$\sum_{k=1}^{6} \left( p_k - \frac{1}{6} \right)^2 = 0$ のときである。 これを満たす必要十分条件は、すべての $k = 1, 2, \dots, 6$ について $p_k - \frac{1}{6} = 0$、すなわち、

$$p_1 = p_2 = p_3 = p_4 = p_5 = p_6 = \frac{1}{6}$$

となることである。

(2)

奇数の目が出る確率を $X$、偶数の目が出る確率を $Y$ とおく。

$$X = p_1 + p_3 + p_5, \quad Y = p_2 + p_4 + p_6$$

確率の和の性質より、$X + Y = 1$ である。また、$X \geqq 0, Y \geqq 0$ である。 このとき、$Q = XY$ と表せる。

まず、$Q \leqq \frac{1}{4}$ を示す。 $X$、$Y$ に対して相加平均と相乗平均の大小関係を用いると(または $(X-Y)^2 \geqq 0$ の展開式より)、

$$Q = XY \leqq \left( \frac{X+Y}{2} \right)^2$$

が成り立つ。$X+Y=1$ であるから、

$$Q \leqq \left( \frac{1}{2} \right)^2 = \frac{1}{4}$$

となり、$\frac{1}{4} \geqq Q$ が示された。

次に、$Q \geqq \frac{1}{2} - \frac{3}{2}P$ を示す。 $P$ を奇数の目と偶数の目に分けて書くと、

$$P = (p_1^2 + p_3^2 + p_5^2) + (p_2^2 + p_4^2 + p_6^2)$$

となる。ここで、コーシー・シュワルツの不等式を用いると、

$$(p_1^2 + p_3^2 + p_5^2)(1^2 + 1^2 + 1^2) \geqq (p_1 \cdot 1 + p_3 \cdot 1 + p_5 \cdot 1)^2$$

$$3(p_1^2 + p_3^2 + p_5^2) \geqq X^2$$

すなわち、

$$p_1^2 + p_3^2 + p_5^2 \geqq \frac{1}{3} X^2$$

が成り立つ。偶数の目についても同様に、

$$(p_2^2 + p_4^2 + p_6^2)(1^2 + 1^2 + 1^2) \geqq (p_2 \cdot 1 + p_4 \cdot 1 + p_6 \cdot 1)^2$$

$$p_2^2 + p_4^2 + p_6^2 \geqq \frac{1}{3} Y^2$$

が成り立つ。この2つの不等式を辺々足し合わせると、

$$P \geqq \frac{1}{3} X^2 + \frac{1}{3} Y^2 = \frac{1}{3} (X^2 + Y^2)$$

が得られる。 ここで、$X^2 + Y^2$ は次のように変形できる。

$$X^2 + Y^2 = (X + Y)^2 - 2XY = 1^2 - 2Q = 1 - 2Q$$

これを先ほどの不等式に代入すると、

$$P \geqq \frac{1}{3} (1 - 2Q)$$

となる。両辺を3倍して整理する。

$$3P \geqq 1 - 2Q$$

$$2Q \geqq 1 - 3P$$

$$Q \geqq \frac{1}{2} - \frac{3}{2}P$$

以上より、$\frac{1}{4} \geqq Q \geqq \frac{1}{2} - \frac{3}{2}P$ が成り立つことが示された。

解説

確率を変数 $p_k$ とおき、与えられた条件を数式で表現することが第一歩である。「すべての確率の和が $1$ である」という基本的な制約条件を忘れずに利用する。

(1)の $P \geqq \frac{1}{6}$ は、コーシー・シュワルツの不等式 $\left( \sum p_k^2 \right) \left( \sum 1^2 \right) \geqq \left( \sum p_k \right)^2$ からも直ちに導ける。解答では高校数学で最も基本となる「実数の2乗は $0$ 以上」を用いた平方完成による証明を採用した。

(2)の前半部分 $\frac{1}{4} \geqq Q$ は、和が一定である2変数の積の最大化であり、相加平均と相乗平均の関係や2次関数の最大値の問題として定石通り処理できる。 後半部分 $Q \geqq \frac{1}{2} - \frac{3}{2}P$ は、奇数と偶数のグループに分けて $P$ と $Q$ を結びつける工夫が必要となる。ここでもコーシー・シュワルツの不等式を用いるか、あるいは(1)と同様に $(p_1 - \frac{1}{3}X)^2 + \dots \geqq 0$ のような平方展開を用いることで証明できる。

答え

(1)

$P \geqq \frac{1}{6}$ となることは解答の通り示された。

等号成立の必要十分条件は、$1$ から $6$ までのそれぞれの目が出る確率がすべて $\frac{1}{6}$ であること。

(2)

$\frac{1}{4} \geqq Q \geqq \frac{1}{2} - \frac{3}{2}P$ となることは解答の通り示された。

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