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数学2 不等式の証明 問題 17 解説

数学2 不等式の証明 問題 17 解説

方針・初手

(1)は与えられた等式条件を用いて左辺を変形し、右辺を導出する。 (2)は不等式の証明であるから、「(左辺) $-$ (右辺) $\geqq 0$」を示すのが基本方針である。(1)の等式変形や、有名な因数分解の公式が手掛かりとなる。

解法1

(1)

$a^3+b^3 = (a+b)^3 - 3ab(a+b)$ であることを利用して、左辺を変形する。

$$a^3+b^3+3abc = (a+b)^3 - 3ab(a+b) + 3abc$$

条件より $a+b=c$ であるから、これを代入して整理する。

$$(a+b)^3 - 3ab(a+b) + 3abc = c^3 - 3abc + 3abc$$

$$= c^3$$

ゆえに、$a^3+b^3+3abc = c^3$ が成り立つ。

(2)

示すべき不等式は $a^3+b^3+3abc \geqq c^3$ であるから、$a^3+b^3+3abc - c^3 \geqq 0$ を示せばよい。

ここで、因数分解の公式 $X^3+Y^3+Z^3-3XYZ = (X+Y+Z)(X^2+Y^2+Z^2-XY-YZ-ZX)$ を用いる。

$X=a, Y=b, Z=-c$ とすると、次のように変形できる。

$$a^3+b^3+3abc - c^3 = a^3+b^3+(-c)^3 - 3ab(-c)$$

$$= (a+b+(-c))(a^2+b^2+(-c)^2-ab-b(-c)-(-c)a)$$

$$= (a+b-c)(a^2+b^2+c^2-ab+bc+ca)$$

ここで、第1因数について、条件より $a+b \geqq c$ であるから $a+b-c \geqq 0$ である。

次に、第2因数について平方完成を行う。

$$a^2+b^2+c^2-ab+bc+ca = \frac{1}{2}(2a^2+2b^2+2c^2-2ab+2bc+2ca)$$

$$= \frac{1}{2}\{(a^2-2ab+b^2)+(b^2+2bc+c^2)+(c^2+2ca+a^2)\}$$

$$= \frac{1}{2}\{(a-b)^2+(b+c)^2+(c+a)^2\}$$

$a, b, c$ は実数であるから、$(a-b)^2 \geqq 0$, $(b+c)^2 \geqq 0$, $(c+a)^2 \geqq 0$ が成り立つ。

したがって、これらの和も $0$ 以上となる。

$$\frac{1}{2}\{(a-b)^2+(b+c)^2+(c+a)^2\} \geqq 0$$

以上より、$a+b-c \geqq 0$ かつ $a^2+b^2+c^2-ab+bc+ca \geqq 0$ であるから、それらの積も $0$ 以上となる。

$$(a+b-c)(a^2+b^2+c^2-ab+bc+ca) \geqq 0$$

すなわち、$a^3+b^3+3abc - c^3 \geqq 0$ が示された。

ゆえに、$a+b \geqq c$ であるとき、$a^3+b^3+3abc \geqq c^3$ が成り立つ。

解法2

(2)の別解

$X^3+Y^3+Z^3-3XYZ$ の因数分解公式を用いずに、(1)の変形過程を利用して因数分解を導くこともできる。

$$a^3+b^3+3abc - c^3 = (a+b)^3 - 3ab(a+b) + 3abc - c^3$$

$$= (a+b)^3 - c^3 - 3ab(a+b-c)$$

ここで、$A^3-B^3 = (A-B)(A^2+AB+B^2)$ を用いて、第1項と第2項を因数分解する。

$$(a+b)^3 - c^3 = (a+b-c)\{(a+b)^2+(a+b)c+c^2\}$$

これを元の式に代入して、共通因数 $(a+b-c)$ でくくる。

$$(a+b-c)\{(a+b)^2+(a+b)c+c^2\} - 3ab(a+b-c)$$

$$= (a+b-c)\{(a^2+2ab+b^2)+(ca+bc)+c^2-3ab\}$$

$$= (a+b-c)(a^2+b^2+c^2-ab+bc+ca)$$

このようにして同じ因数分解の形が得られる。

以降は、条件 $a+b-c \geqq 0$ の確認と、第2因数を平方完成して $0$ 以上であることを示す(解法1と同じ)手順により証明できる。第2因数の平方完成の別法としては、特定の1文字(例えば $a$)についての2次式とみて平方完成する方法もある。

$$a^2+b^2+c^2-ab+bc+ca = a^2-(b-c)a+b^2+bc+c^2$$

$$= \left(a-\frac{b-c}{2}\right)^2 - \frac{(b-c)^2}{4} + b^2+bc+c^2$$

$$= \left(a-\frac{b-c}{2}\right)^2 + \frac{3b^2+6bc+3c^2}{4}$$

$$= \left(a-\frac{b-c}{2}\right)^2 + \frac{3}{4}(b+c)^2$$

実数の平方は $0$ 以上であるから、この式全体は $0$ 以上となる。

これにより、第2因数が $0$ 以上であることが示される。

したがって、$(a+b-c)(a^2+b^2+c^2-ab+bc+ca) \geqq 0$ となり、$a^3+b^3+3abc \geqq c^3$ が成り立つ。

解説

対称式に関連する有名公式 $a^3+b^3+c^3-3abc = (a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)$ の応用問題である。この公式の $c$ を $-c$ に置き換えた形に気づけるかがポイントとなる。

公式を忘れてしまった場合でも、(1)の誘導から解法2のように $(a+b)^3$ を作って因数分解を自力で導出できる。

また、$a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca$ (あるいは一部の符号が変わったもの)が常に $0$ 以上であることは、$\frac{1}{2}$ でくくって3つの平方の和を作る式変形によって証明でき、これも非常によく頻出する式変形である。

答え

(1) 示された。

(2) 示された。

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