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数学2 不等式の証明 問題 19 解説

数学2 不等式の証明 問題 19 解説

方針・初手

与えられた不等式は $x, y, z$ の3変数についての2次不等式である。複数の変数が独立に動く不等式が常に成り立つ条件を考える場合、1つの文字に着目して他の文字を定数とみなし、2次不等式が常に成り立つ条件(判別式や平方完成による最小値の評価)に帰着させるのが基本である。

本問では $x^2$ や $z^2$ の係数には定数 $a$ が含まれているが、$y^2$ の係数は $1$ である。そのため、$y$ についての2次不等式とみて整理することで、場合分けの手間を減らすことができる。

解法1

与えられた不等式を $y$ について整理すると、

$$y^2 - (x+z)y + ax^2 - zx + az^2 \geqq 0$$

となる。これが任意の実数 $y$ に対して常に成り立つための必要十分条件は、左辺を $y$ の2次関数とみたときの判別式を $D_1$ とすると、$y^2$ の係数が正であるから、

$$D_1 \leqq 0$$

となることである。

$$D_1 = \{-(x+z)\}^2 - 4(ax^2 - zx + az^2)$$

$$= x^2 + 2zx + z^2 - 4ax^2 + 4zx - 4az^2$$

$$= (1-4a)x^2 + 6zx + (1-4a)z^2$$

これが任意の $x, z$ に対して $D_1 \leqq 0$ を満たす、すなわち、両辺に $-1$ を掛けた

$$(4a-1)x^2 - 6zx + (4a-1)z^2 \geqq 0 \quad \cdots (1)$$

が任意の実数 $x, z$ に対して常に成り立つことが、求める条件となる。

次に、不等式 (1) を $x$ についての式とみて考える。

(i) $4a-1 = 0$ すなわち $a = \frac{1}{4}$ のとき

不等式 (1) は $-6zx \geqq 0$ となるが、これは例えば $x=1, z=1$ のときに成り立たず、任意の $x, z$ に対して成り立つわけではないため、不適である。

(ii) $4a-1 \neq 0$ のとき

不等式 (1) が任意の実数 $x$ に対して常に成り立つための必要十分条件は、$x^2$ の係数が正であり、かつ左辺を $x$ の2次式とみたときの判別式を $D_2$ としたときに $D_2 \leqq 0$ となることである。

まず、$x^2$ の係数の条件より、

$$4a-1 > 0 \iff a > \frac{1}{4} \quad \cdots (2)$$

次に、判別式の条件を考える。

$$\frac{D_2}{4} = (-3z)^2 - (4a-1) \cdot (4a-1)z^2$$

$$= \{9 - (4a-1)^2\}z^2$$

$$= \{3 - (4a-1)\}\{3 + (4a-1)\}z^2$$

$$= (4 - 4a)(4a + 2)z^2$$

$$= 8(1 - a)(2a + 1)z^2$$

これが任意の実数 $z$ に対して $\frac{D_2}{4} \leqq 0$ となるためには、$z^2$ の係数が $0$ 以下であればよい。

$$8(1 - a)(2a + 1) \leqq 0$$

条件 (2) より $a > \frac{1}{4}$ であるから、$2a + 1 > 0$ は常に成り立つ。したがって、両辺を $8(2a + 1)$ で割って、

$$1 - a \leqq 0 \iff a \geqq 1$$

これは条件 (2) を満たしている。

(i), (ii) より、求める $a$ の値の範囲は $a \geqq 1$ である。

解法2

与えられた不等式の左辺を $y$ について平方完成して考える。

$$ax^2 + y^2 + az^2 - xy - yz - zx \geqq 0$$

$$y^2 - (x+z)y + ax^2 - zx + az^2 \geqq 0$$

$$\left( y - \frac{x+z}{2} \right)^2 - \frac{(x+z)^2}{4} + ax^2 - zx + az^2 \geqq 0$$

$$\left( y - \frac{x+z}{2} \right)^2 + \left( a - \frac{1}{4} \right)x^2 - \frac{3}{2}zx + \left( a - \frac{1}{4} \right)z^2 \geqq 0 \quad \cdots (3)$$

不等式 (3) が任意の実数 $x, y, z$ に対して成り立つとする。$x, z$ を任意に固定したとき、左辺は $y = \frac{x+z}{2}$ のときに最小値をとるため、不等式 (3) が任意の実数 $y$ に対して成り立つための必要十分条件は、

$$\left( a - \frac{1}{4} \right)x^2 - \frac{3}{2}zx + \left( a - \frac{1}{4} \right)z^2 \geqq 0 \quad \cdots (4)$$

が任意の実数 $x, z$ に対して成り立つことである。

不等式 (4) において、$a - \frac{1}{4} = 0$ とすると、$-\frac{3}{2}zx \geqq 0$ となり、これが任意の $x, z$ に対して成り立つことはない。よって、$x^2$ の係数は正でなければならず、

$$a - \frac{1}{4} > 0$$

が必要である。

このとき、不等式 (4) の左辺をさらに $x$ について平方完成すると、

$$\left( a - \frac{1}{4} \right) \left\{ x - \frac{3z}{4\left( a - \frac{1}{4} \right)} \right\}^2 - \frac{9z^2}{16\left( a - \frac{1}{4} \right)} + \left( a - \frac{1}{4} \right)z^2 \geqq 0$$

先ほどと同様に、$z$ を任意に固定して $x$ を動かしたときの最小値が $0$ 以上になればよいから、

$$\left\{ \left( a - \frac{1}{4} \right) - \frac{9}{16\left( a - \frac{1}{4} \right)} \right\} z^2 \geqq 0$$

これが任意の $z$ に対して成り立つためには、$z^2$ の係数が $0$ 以上であればよい。

$$a - \frac{1}{4} - \frac{9}{16\left( a - \frac{1}{4} \right)} \geqq 0$$

$a - \frac{1}{4} > 0$ であるから、両辺に $16\left( a - \frac{1}{4} \right)$ を掛けても不等号の向きは変わらない。

$$16\left( a - \frac{1}{4} \right)^2 - 9 \geqq 0$$

$$\left\{ 4\left(a - \frac{1}{4}\right) - 3 \right\} \left\{ 4\left(a - \frac{1}{4}\right) + 3 \right\} \geqq 0$$

$$(4a - 4)(4a + 2) \geqq 0$$

$$8(a - 1)(2a + 1) \geqq 0$$

$a > \frac{1}{4}$ の条件下でこの不等式を解くと、

$$a \geqq 1$$

を得る。これは十分条件でもある。

解説

複数の変数が独立に動く不等式が常に成り立つ条件を求める、典型的な問題である。

このような問題では、すべての変数を同時に扱うのは困難であるため、1つの変数(今回は $y$)に着目して2次不等式とみなし、「判別式 $D \leqq 0$」を利用して変数を1つずつ減らしていく手法が極めて有効である。また、解法2のように平方完成を繰り返して「(平方の和) $\geqq 0$」の形を作り、残った定数項部分が $0$ 以上になる条件を求める手法も本質的に同じ論理であり、よく用いられる。

どの文字について整理するかによって計算量は変わる。本問の場合、$x$ や $z$ について整理すると最高次の係数に $a$ が含まれるため、$a=0$ の場合分けが発生するなど処理が煩雑になりやすい。係数に文字が含まれていない $y$ に着目することが、見通しよく解くための重要なポイントである。

答え

$a \geqq 1$

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