数学2 不等式の証明 問題 22 解説

方針・初手
与えられた不等式を整理し、$a$ についての関数 $f(a)$ として捉える。任意の実数(または整数)$a$ で $f(a) \geqq 0$ が成り立つ条件を考える。
すべての場合において成り立つ絶対不等式の問題では、扱いやすい具体的な値を代入して必要条件を求め、あらかじめ未知数 $b$ の候補を絞り込む手法が有効である。本問では $a=0$ や $a=b$ などの値を代入することで $b$ の範囲を絞り込み、その後、微分を用いて最小値を評価して十分性を確認する。
解法1
(1) について
不等式を整理し、$f(a) = a^4 - a^3 - ab^2 + b^3$ とおく。 任意の実数 $a$ について $f(a) \geqq 0$ が成り立つことが条件である。
必要条件として、特定の値を代入する。 $a=0$ を代入すると、
$$f(0) = b^3 \geqq 0$$
より $b \geqq 0$ を得る。
また、$a=b$ を代入すると、
$$f(b) = b^4 - b^3 - b^3 + b^3 = b^3(b-1) \geqq 0$$
となる。$b \geqq 0$ と合わせると、$b=0$ または $b \geqq 1$ であることが必要である。
(i) $b=0$ のとき
不等式は $a^4 - a^3 \geqq 0$ すなわち $a^3(a-1) \geqq 0$ となる。 しかし、$a = \frac{1}{2}$ のとき、左辺は $\frac{1}{8} \cdot \left(-\frac{1}{2}\right) = -\frac{1}{16} < 0$ となり、任意の実数 $a$ については成り立たない。
(ii) $b \geqq 1$ のとき
$f(a)$ を微分すると、
$$f'(a) = 4a^3 - 3a^2 - b^2$$
$$f''(a) = 12a^2 - 6a = 6a(2a - 1)$$
となる。$f'(a)$ は $a=0$ で極大値 $-b^2$、$a=\frac{1}{2}$ で極小値 $-\frac{1}{4} - b^2$ をとる。 $b \geqq 1$ のとき、極大値も極小値も負であり、また $a \to \infty$ のとき $f'(a) \to \infty$ であるから、方程式 $f'(a) = 0$ は $\alpha > \frac{1}{2}$ の範囲にただ1つの実数解 $a = \alpha$ をもつ。 このとき、関数 $f(a)$ は $a = \alpha$ で最小値 $f(\alpha)$ をとる。
$f'(\alpha) = 0$ より $b^2 = 4\alpha^3 - 3\alpha^2$ である。 ここで $h(\alpha) = 4\alpha^3 - 3\alpha^2$ とおくと、$\alpha > \frac{1}{2}$ において $h'(\alpha) = 6\alpha(2\alpha - 1) > 0$ より $h(\alpha)$ は単調増加する。 $b \geqq 1$ より $b^2 \geqq 1$ であり、$h(1) = 1$ であるから、$\alpha \geqq 1$ が成り立つ。
最小値 $f(\alpha)$ は次のように計算できる。
$$f(\alpha) = \alpha^4 - \alpha^3 - \alpha b^2 + b^3$$
$$f(\alpha) = \alpha^4 - \alpha^3 - \alpha(4\alpha^3 - 3\alpha^2) + b^3 = -3\alpha^4 + 2\alpha^3 + b^3$$
これが $0$ 以上であることを示せばよい。 $b = \sqrt{4\alpha^3 - 3\alpha^2} = \alpha\sqrt{4\alpha - 3}$ であるから、$f(\alpha) \geqq 0$ は次と同値である。
$$\alpha^3(4\alpha - 3)\sqrt{4\alpha - 3} \geqq \alpha^3(3\alpha - 2)$$
$\alpha \geqq 1$ より $\alpha^3 > 0$ であるから、両辺を割って整理する。
$$(4\alpha - 3)\sqrt{4\alpha - 3} \geqq 3\alpha - 2$$
$\alpha \geqq 1$ において左辺および右辺はともに正であるため、両辺を2乗して大小を比較する。
$$(4\alpha - 3)^3 - (3\alpha - 2)^2 = (64\alpha^3 - 144\alpha^2 + 108\alpha - 27) - (9\alpha^2 - 12\alpha + 4)$$
$$= 64\alpha^3 - 153\alpha^2 + 120\alpha - 31$$
因数定理を用いて変形すると、
$$= (\alpha - 1)(64\alpha^2 - 89\alpha + 31)$$
ここで、2次方程式 $64\alpha^2 - 89\alpha + 31 = 0$ の判別式を $D$ とすると、$D = (-89)^2 - 4 \cdot 64 \cdot 31 = 7921 - 7936 = -15 < 0$ より、すべての実数 $\alpha$ について $64\alpha^2 - 89\alpha + 31 > 0$ である。 $\alpha \geqq 1$ より $\alpha - 1 \geqq 0$ であるから、以上の結果より $(\alpha - 1)(64\alpha^2 - 89\alpha + 31) \geqq 0$ が常に成り立つ。 したがって $f(\alpha) \geqq 0$ が示され、$b \geqq 1$ のとき任意の実数 $a$ に対して $f(a) \geqq 0$ が成り立つことが確認できた。
以上より、求める実数 $b$ の値の範囲は $b \geqq 1$ である。
(2) について
任意の整数 $a$ について $f(a) \geqq 0$ が成り立つような整数 $b$ の値を求める。
(1) と同様に、$a=0$ および $a=b$ を代入することで、必要条件として $b=0$ または $b \geqq 1$ が得られる。 (1) の結果から、$b \geqq 1$ を満たす任意の整数 $b$ については、すべての実数 $a$ で $f(a) \geqq 0$ が成り立つため、当然すべての整数 $a$ でも成り立つ。
残る $b=0$ のときを検証する。 不等式は $a^3(a-1) \geqq 0$ となる。 $a$ が整数のとき、 $a \leqq 0$ ならば $a^3 \leqq 0$ かつ $a-1 < 0$ より、$a^3(a-1) \geqq 0$ である。 $a \geqq 1$ ならば $a^3 > 0$ かつ $a-1 \geqq 0$ より、$a^3(a-1) \geqq 0$ である。 よって、$b=0$ のときは任意の整数 $a$ に対して不等式が成立する。
したがって、求める整数 $b$ の値は $0$ 以上の整数である。
解説
すべての変数について成り立つ不等式(絶対不等式)の問題では、適当な値を代入して必要条件を求め、候補を絞り込む手法が定石である。本問のように「値を定めよ」という問われ方であっても、結果として不等式を満たす値が範囲として求まることがある点に注意したい。
(2) では、(1) において任意の実数では成り立たず不適となった $b=0$ が、定義域が整数に制限されることで解として復活する。実数と整数の性質の違いが浮き彫りになる興味深い構造である。
答え
(1) $b \geqq 1$
(2) $b$ は $0$ 以上の整数
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