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数学2 不等式の証明 問題 27 解説

数学2 不等式の証明 問題 27 解説

方針・初手

絶対値の性質である三角不等式 $|a+b| \leqq |a| + |b|$ を利用する。

この不等式をそのまま代入することはできないため、関数 $f(x) = \frac{x}{1+x}$ の単調性を利用して不等式を評価するか、右辺と左辺の差をとって $0$ 以上であることを示す方針が考えられる。また、等号成立条件は、不等式を評価したすべての段階で同時に等号が成り立つ条件を調べる必要がある。

解法1

関数 $f(x)$ を次のように定める。

$$f(x) = \frac{x}{1+x} = 1 - \frac{1}{1+x}$$

$x \geqq 0$ において $1+x > 0$ であり、$x$ が増加すると $1+x$ は増加し、$\frac{1}{1+x}$ は減少する。 したがって、$x \geqq 0$ において $f(x)$ は単調に増加する関数である。

任意の実数 $a, b$ について、三角不等式より次の関係が成り立つ。

$$|a+b| \leqq |a| + |b|$$

$|a+b| \geqq 0$ および $|a|+|b| \geqq 0$ であるから、$f(x)$ の単調増加性より以下の不等式が成り立つ。

$$f(|a+b|) \leqq f(|a|+|b|)$$

すなわち、次が成り立つ。

$$\frac{|a+b|}{1+|a+b|} \leqq \frac{|a|+|b|}{1+|a|+|b|} \cdots \text{(1)}$$

ここで、(1)の右辺を変形すると以下のようになる。

$$\frac{|a|+|b|}{1+|a|+|b|} = \frac{|a|}{1+|a|+|b|} + \frac{|b|}{1+|a|+|b|}$$

$|a| \geqq 0, |b| \geqq 0$ より、$1+|a|+|b| \geqq 1+|a|$ が成り立つので、逆数をとると次がいえる。

$$\frac{1}{1+|a|+|b|} \leqq \frac{1}{1+|a|}$$

両辺に $|a| \geqq 0$ を掛けると、以下の不等式を得る。

$$\frac{|a|}{1+|a|+|b|} \leqq \frac{|a|}{1+|a|} \cdots \text{(2)}$$

全く同様にして、次の不等式も成り立つ。

$$\frac{|b|}{1+|a|+|b|} \leqq \frac{|b|}{1+|b|} \cdots \text{(3)}$$

(2)および(3)を辺々足し合わせることで、次が得られる。

$$\frac{|a|+|b|}{1+|a|+|b|} \leqq \frac{|a|}{1+|a|} + \frac{|b|}{1+|b|} \cdots \text{(4)}$$

(1)および(4)より、求める不等式が成り立つ。

$$\frac{|a+b|}{1+|a+b|} \leqq \frac{|a|}{1+|a|} + \frac{|b|}{1+|b|}$$

次に、等号が成り立つ条件を考える。 等号が成立するのは、(1)、(2)、(3)のすべてで等号が成立するときである。

(1)の等号成立条件は、$|a+b| = |a| + |b|$ より $ab \geqq 0$ である。

(2)の等号成立条件は、$|a|=0$ または $\frac{1}{1+|a|+|b|} = \frac{1}{1+|a|}$ である。 後者は $1+|a|+|b| = 1+|a|$ より $|b|=0$ となる。 すなわち、(2)で等号が成り立つのは $a=0$ または $b=0$ のときである。

(3)の等号成立条件も同様に、$b=0$ または $a=0$ のときである。

これらをすべて同時に満たす条件は、$a=0$ または $b=0$ である。

解法2

右辺と左辺の間に $\frac{|a|+|b|}{1+|a|+|b|}$ を挟んで、それぞれの大小関係を差をとることで示す。

まず、$\left( \frac{|a|}{1+|a|} + \frac{|b|}{1+|b|} \right) - \frac{|a|+|b|}{1+|a|+|b|}$ を計算する。

$$\begin{aligned} \left( \frac{|a|}{1+|a|} + \frac{|b|}{1+|b|} \right) - \frac{|a|+|b|}{1+|a|+|b|} &= \frac{|a|}{1+|a|} - \frac{|a|}{1+|a|+|b|} + \frac{|b|}{1+|b|} - \frac{|b|}{1+|a|+|b|} \\ &= \frac{|a|(1+|a|+|b|) - |a|(1+|a|)}{(1+|a|)(1+|a|+|b|)} + \frac{|b|(1+|a|+|b|) - |b|(1+|b|)}{(1+|b|)(1+|a|+|b|)} \\ &= \frac{|a||b|}{(1+|a|)(1+|a|+|b|)} + \frac{|a||b|}{(1+|b|)(1+|a|+|b|)} \end{aligned}$$

$|a| \geqq 0, |b| \geqq 0$ であるから、この式の値は $0$ 以上となる。したがって次が成り立つ。

$$\frac{|a|+|b|}{1+|a|+|b|} \leqq \frac{|a|}{1+|a|} + \frac{|b|}{1+|b|}$$

等号が成立するのは、上の差が $0$ になるときであり、それは $|a||b| = 0$ すなわち $a=0$ または $b=0$ のときである。

次に、$\frac{|a|+|b|}{1+|a|+|b|} - \frac{|a+b|}{1+|a+b|}$ を計算する。

$$\begin{aligned} \frac{|a|+|b|}{1+|a|+|b|} - \frac{|a+b|}{1+|a+b|} &= \frac{(|a|+|b|)(1+|a+b|) - |a+b|(1+|a|+|b|)}{(1+|a|+|b|)(1+|a+b|)} \\ &= \frac{|a|+|b| + (|a|+|b|)|a+b| - |a+b| - |a+b|(|a|+|b|)}{(1+|a|+|b|)(1+|a+b|)} \\ &= \frac{|a|+|b| - |a+b|}{(1+|a|+|b|)(1+|a+b|)} \end{aligned}$$

三角不等式 $|a+b| \leqq |a| + |b|$ より、分子は $0$ 以上である。また、分母は明らかに正である。 したがって、この式の値も $0$ 以上となり、次が成り立つ。

$$\frac{|a+b|}{1+|a+b|} \leqq \frac{|a|+|b|}{1+|a|+|b|}$$

等号が成立するのは $|a|+|b| = |a+b|$ のときであり、これは $ab \geqq 0$ のときである。

以上より、目的の不等式が示された。

$$\frac{|a+b|}{1+|a+b|} \leqq \frac{|a|}{1+|a|} + \frac{|b|}{1+|b|}$$

全体として等号が成立するのは、これら2つの不等式の等号が同時に成立するときである。 すなわち、「$a=0$ または $b=0$」かつ「$ab \geqq 0$」が成り立つときである。 これを満たす条件は、$a=0$ または $b=0$ である。

解説

絶対値を含む不等式の証明における典型問題である。 三角不等式 $|a+b| \leqq |a| + |b|$ が成立することは既知として利用してよい。

解法1のように関数 $f(x) = \frac{x}{1+x}$ を導入すると、不必要に複雑な式変形を避けることができる。関数の単調性を利用して不等式を評価する手法は、不等式証明において強力な武器となる。

また、本問では「等号成立条件」も求められていることに注意したい。不等式を複数の段階で評価している場合、最終的な等号成立条件は「評価したすべての箇所で同時に等号が成立する条件」となる。片方だけ等号が成立しても、もう一方が真に不等式を満たしていれば全体としては等号が成立しないため、論理の漏れがないように確認する。

答え

不等式の証明は本文中の通り。

等号成立条件は以下の通り。

$a=0$ または $b=0$

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