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数学2 不等式の証明 問題 29 解説

数学2 不等式の証明 問題 29 解説

方針・初手

与えられた不等式 $ab \geqq 1+a+b$ を利用して $a+b$ の下限を評価する。和 $a+b$ と積 $ab$ が現れているため、相加平均と相乗平均の大小関係を用いるのが有効である。与式を $(a-1)(b-1) \geqq 2$ の形に変形してから相加平均・相乗平均の関係を用いる方法と、$a+b=t$ とおいて実数条件から $t$ の不等式を導く方法が考えられる。

解法1

(1)

与えられた条件式 $ab \geqq 1+a+b$ を変形する。

$$ab - a - b \geqq 1$$

両辺に $1$ を加えて因数分解すると、次のように表せる。

$$(a-1)(b-1) \geqq 2$$

ここで、$a, b$ は正の実数であるから $a > 0, b > 0$ であり、$a-1 > -1, b-1 > -1$ である。もし $a-1 \leqq 0$ と仮定すると、積が $2$ 以上になるためには $b-1 \leqq 0$ でなければならないが、このとき $(a-1)(b-1) < (-1) \cdot (-1) = 1$ となり条件に矛盾する。したがって、$a-1 > 0$ かつ $b-1 > 0$ である。

$a-1 > 0, b-1 > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係により、以下の不等式が成り立つ。

$$(a-1) + (b-1) \geqq 2\sqrt{(a-1)(b-1)}$$

これに $(a-1)(b-1) \geqq 2$ を用いると、次のようになる。

$$a+b-2 \geqq 2\sqrt{2}$$

$$a+b \geqq 2+2\sqrt{2} = 2(1+\sqrt{2})$$

よって、示された。

(2)

(1)の不等式において等号が成立するための必要十分条件は、相加平均と相乗平均の大小関係における等号成立条件と、不等式評価で用いた $(a-1)(b-1) = 2$ の等号が同時に成り立つことである。

すなわち、$a-1 = b-1$ かつ $(a-1)(b-1) = 2$ である。

$a-1 = b-1$ より $a=b$ であり、これを代入すると次のようになる。

$$(a-1)^2 = 2$$

$a-1 > 0$ であるから、$a-1 = \sqrt{2}$ より $a = 1+\sqrt{2}$ となる。

このとき $b = 1+\sqrt{2}$ であり、これらはともに正の実数であるから題意を満たす。

解法2

(1)

$a+b=t$ とおく。

$a, b$ は正の実数であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より、次の不等式が成り立つ。

$$a+b \geqq 2\sqrt{ab}$$

$$t \geqq 2\sqrt{ab}$$

両辺ともに正であるから、両辺を2乗して整理する。

$$t^2 \geqq 4ab$$

一方、与えられた条件式 $ab \geqq 1+a+b$ に $a+b=t$ を代入すると、$ab \geqq 1+t$ となる。これを上の不等式に用いると、次のようになる。

$$t^2 \geqq 4(1+t)$$

$$t^2 - 4t - 4 \geqq 0$$

この2次不等式を解くと、$t \leqq 2-2\sqrt{2}$ または $t \geqq 2+2\sqrt{2}$ となる。

$a>0, b>0$ より $t = a+b > 0$ であるから、$t \geqq 2+2\sqrt{2}$ を得る。

したがって、次が成り立つ。

$$a+b \geqq 2(1+\sqrt{2})$$

よって、示された。

(2)

(1)の不等式で等号が成立するのは、$t = 2+2\sqrt{2}$ であり、かつ不等式の導出過程におけるすべての等号が成立するときである。

すなわち、相加平均と相乗平均の大小関係の等号が成立する条件 $a=b$ と、$ab = 1+t$ の等号が成立することが必要十分である。

$a=b$ を $a+b = 2+2\sqrt{2}$ に代入すると、

$$2a = 2+2\sqrt{2}$$

$$a = 1+\sqrt{2}$$

このとき $b = 1+\sqrt{2}$ となる。これらは正の実数であり条件を満たす。

解説

2変数の不等式証明において、積 $ab$ と和 $a+b$ が混在する条件式が与えられた場合の典型問題である。解法1のように $(x-p)(y-q)$ の形に無理やり因数分解する手法は、式を簡略化する上で強力な武器となる。解法2のように和を1文字で置き換えて(実数条件に注意して)不等式を解く手法も汎用性が高い。どちらの解法でも相加平均と相乗平均の大小関係を用いるため、前提条件の確認や等号成立条件の確認を忘れないようにすることが重要である。

答え

(1) 題意の不等式は示された。

(2) $a = b = 1+\sqrt{2}$

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