数学2 多項式の割り算 問題 24 解説

方針・初手
剰余の定理と整式の割り算の基本公式である $A(x) = B(x)Q(x) + R(x)$ を用いて立式する。割る式の次数に着目し、余りの次数がそれよりも低くなるように文字でおくことが基本方針となる。割り算の等式は恒等式であるため、都合の良い数値を代入して係数を決定していく。
解法1
(1)
条件〔1〕より、商を $Q_1(x)$ とすると次のように表せる。
$$A(x) = (x+1)^2 Q_1(x) + 3x + 8$$
この両辺に $x = -1$ を代入して計算する。
$$A(-1) = 3(-1) + 8 = 5$$
これが ア である。
条件〔2〕より、商を $Q_2(x)$ とすると次のように表せる。
$$A(x) = (x^2+x-6) Q_2(x) - x + 16 = (x+3)(x-2) Q_2(x) - x + 16$$
この両辺に $x = 2$ を代入して計算する。
$$A(2) = -2 + 16 = 14$$
これが イ である。
次に、$A(x)$ を $x^2-x-2$ で割った余りを考える。$x^2-x-2 = (x-2)(x+1)$ であり、2次式で割った余りは1次以下の整式となるため、$ax+b$ とおくことができる。商を $Q_3(x)$ とすると次のように表せる。
$$A(x) = (x-2)(x+1)Q_3(x) + ax+b$$
ここで $x = -1$ と $x = 2$ をそれぞれ代入すると、上記の計算結果から以下の連立方程式が得られる。
$$\begin{cases} -a + b = 5 \\ 2a + b = 14 \end{cases}$$
これを解くと $a=3, b=8$ となる。よって、求める余りは $3x+8$ である。これが ウ である。
(2)
$B(x) = x^3+2x^2-5x-6$ について因数定理を用いる。$B(-1) = -1+2+5-6 = 0$ であるから、$B(x)$ は $x+1$ を因数にもつ。因数分解すると次のようになる。
$$B(x) = (x+1)(x^2+x-6) = (x+1)(x+3)(x-2)$$
$A(x)$ を3次式 $B(x)$ で割った余りは2次以下の整式である。さらに条件〔2〕から、$A(x)$ を $x^2+x-6$ で割った余りが $-x+16$ であることが分かっている。したがって、$A(x)$ を $B(x)$ で割った商を $Q_4(x)$ とすると、定数 $c$ を用いて次のように立式できる。
$$A(x) = (x+1)(x^2+x-6)Q_4(x) + c(x^2+x-6) - x + 16$$
この両辺に $x = -1$ を代入すると、(1) の結果より $A(-1) = 5$ であるから、次のように計算できる。
$$A(-1) = c(1-1-6) - (-1) + 16 = -6c + 17$$
よって $-6c + 17 = 5$ となり、$c = 2$ を得る。これを代入して余りを求める。
$$2(x^2+x-6) - x + 16 = 2x^2+x+4$$
これが エ である。
続いて、$Q_4(x)$ を $x+1$ で割った余りを求める。剰余の定理により、求める余りは $Q_4(-1)$ である。 上記で得られた $A(x)$ の式を、条件〔1〕を利用するために $(x+1)^2$ で割った形に変形していく。$x^2+x-6 = (x+1)^2 - (x+1) - 6$ と変形できることを利用する。
$$A(x) = (x+1) \{ (x+1)^2 - (x+1) - 6 \} Q_4(x) + 2(x+1)^2 - 3(x+1) + 5$$
展開して $(x+1)^2$ を因数にもつ項をまとめる。
$$A(x) = (x+1)^2 \{ (x+1)Q_4(x) - Q_4(x) + 2 \} - 6(x+1)Q_4(x) - 3(x+1) + 5$$
ここで、$Q_4(x)$ を $x+1$ で割った商を $q(x)$ とすると、$Q_4(x) = (x+1)q(x) + Q_4(-1)$ と表せる。これを残りの項に代入する。
$$- 6(x+1) \{ (x+1)q(x) + Q_4(-1) \} - 3x + 2 = - 6(x+1)^2 q(x) - 6Q_4(-1)(x+1) - 3x + 2$$
$(x+1)^2$ を含む項をさらに前にまとめると、$A(x)$ を $(x+1)^2$ で割った余りは次の一次式となる。
$$- 6Q_4(-1)(x+1) - 3x + 2 = - (6Q_4(-1) + 3)x - 6Q_4(-1) + 2$$
条件〔1〕より、この余りは $3x+8$ に一致する。係数を比較する。
$$\begin{cases} - (6Q_4(-1) + 3) = 3 \\ - 6Q_4(-1) + 2 = 8 \end{cases}$$
いずれの式からも $Q_4(-1) = -1$ が導かれる。これが オ である。
(3)
(2) の結果から、$Q_4(x) = (x+1)q(x) - 1$ と表すことができる。これを $A(x)$ の式に代入する。
$$A(x) = B(x) \{ (x+1)q(x) - 1 \} + 2x^2+x+4 = (x+1)B(x)q(x) - B(x) + 2x^2+x+4$$
条件を満たす $A(x)$ のうち、次数が最も低い整式となるのは $q(x) = 0$ のときである。そのときの $A(x)$ を計算する。
$$A(x) = - (x^3+2x^2-5x-6) + 2x^2+x+4 = -x^3 + 6x + 10$$
これが カ である。
解法2
(2) の オ を求める際、整式の微分を利用した別解を示す。 恒等式を微分しても恒等式となる性質を利用する。
(2) の前半の計算により、$B(x) = x^3+2x^2-5x-6$ として以下の式が得られている。
$$A(x) = B(x)Q_4(x) + 2x^2+x+4$$
この両辺を $x$ で微分する。積の微分公式より以下のようになる。
$$A'(x) = B'(x)Q_4(x) + B(x)Q_4'(x) + 4x+1$$
$B'(x) = 3x^2+4x-5$ であり、$B(-1) = 0$、$B'(-1) = 3-4-5 = -6$ であるから、この式に $x = -1$ を代入すると次を得る。
$$A'(-1) = -6Q_4(-1) + 0 - 3 = -6Q_4(-1) - 3$$
一方で、条件〔1〕より $A(x) = (x+1)^2 Q_1(x) + 3x+8$ であり、これの両辺も微分する。
$$A'(x) = 2(x+1)Q_1(x) + (x+1)^2 Q_1'(x) + 3$$
これに $x = -1$ を代入すると、前半の項が消えて次を得る。
$$A'(-1) = 3$$
2つの $A'(-1)$ の値を等値して方程式を解く。
$$-6Q_4(-1) - 3 = 3$$
これを解いて $Q_4(-1) = -1$ を得る。
解説
整式の除法に関する標準からやや難レベルの典型問題である。割る式が2次以上のとき、その式の因数で割った余りの情報を利用して、商や余りの形を工夫して設定する手法は非常によく問われる。(2) で3次式 $B(x)$ で割った余りを $c(x^2+x-6) - x + 16$ とおけるかどうかが最初の関門である。
また、(2) の後半で $(x+1)^2$ という累乗で割った余りの条件を処理する部分が本問の最大の難所である。解法1のように式を $(x+1)$ の多項式として展開し直す方針は計算力が要求されるが、汎用性の高い論理である。一方で、解法2のように両辺を微分する手法を知っていると、計算量を劇的に減らすことができる。$(x-\alpha)^2$ で割った余りの条件が与えられた際は、微分の利用が極めて有効であるため、学習の過程で身につけておきたい解法である。
答え
ア: $5$
イ: $14$
ウ: $3x+8$
エ: $2x^2+x+4$
オ: $-1$
カ: $-x^3+6x+10$
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