数学2 多項式の割り算 問題 26 解説

方針・初手
割る式が3次式であるため、直接割り算を実行して商と余りを $a$ を用いて表す方針が確実である。 あるいは、割る式が $x^3+x^2+x+1 = (x^2+1)(x+1)$ と因数分解できることに着目し、複素数範囲での剰余の定理(代入法)を用いることも可能である。ここでは両方のアプローチを示す。
解法1
与えられた5次式を $P(x) = x^5+2x^4+ax^3+3x^2+3x+2$、割る3次式を $D(x) = x^3+x^2+x+1$ とする。 $P(x)$ を $D(x)$ で割ったときの商 $Q(x)$ と余り $R(x)$ を求めるため、直接割り算を行う。
$$\begin{aligned} P(x) &= x^2(x^3+x^2+x+1) + x^4+(a-1)x^3+2x^2+3x+2 \\ &= x^2 D(x) + x(x^3+x^2+x+1) + (a-2)x^3+x^2+2x+2 \\ &= (x^2+x) D(x) + (a-2)(x^3+x^2+x+1) + \{1-(a-2)\}x^2 + \{2-(a-2)\}x + \{2-(a-2)\} \\ &= (x^2+x+a-2) D(x) + (3-a)x^2 + (4-a)x + (4-a) \end{aligned}$$
したがって、商 $Q(x)$ と余り $R(x)$ はそれぞれ次のように表される。
$$Q(x) = x^2+x+a-2$$
$$R(x) = (3-a)x^2 + (4-a)x + (4-a)$$
問題の条件より、$R(x)$ の $x$ の1次の項の係数が $1$ であるから、
$$4-a = 1$$
これを解いて、
$$a = 3$$
このとき、商 $Q(x)$ と余り $R(x)$ は、それぞれ $a=3$ を代入して、
$$Q(x) = x^2+x+1$$
$$R(x) = (3-3)x^2 + 1\cdot x + (4-3) = x+1$$
解法2
割る式 $x^3+x^2+x+1$ は次のように因数分解できる。
$$x^3+x^2+x+1 = x^2(x+1) + (x+1) = (x^2+1)(x+1)$$
割られる式を $P(x) = x^5+2x^4+ax^3+3x^2+3x+2$ とする。 3次式で割ったときの余り $R(x)$ は2次以下の整式である。 問題の条件より $R(x)$ の1次の項の係数は $1$ であるから、$R(x) = cx^2+x+d$ ($c, d$ は実数)とおける。 割り算の等式は次のように表される。
$$P(x) = (x^2+1)(x+1)Q(x) + cx^2+x+d$$
この恒等式に $x = -1$ を代入する。
$$\begin{aligned} P(-1) &= (-1)^5 + 2(-1)^4 + a(-1)^3 + 3(-1)^2 + 3(-1) + 2 \\ &= -1 + 2 - a + 3 - 3 + 2 \\ &= 3 - a \end{aligned}$$
右辺は $c(-1)^2 + (-1) + d = c + d - 1$ となるため、
$$c + d - 1 = 3 - a$$
$$c + d = 4 - a \quad \cdots \text{(i)}$$
次に、$x^2+1 = 0$ の解の一つである $x = i$ ($i$ は虚数単位)を代入する。
$$\begin{aligned} P(i) &= i^5 + 2i^4 + ai^3 + 3i^2 + 3i + 2 \\ &= i + 2 - ai - 3 + 3i + 2 \\ &= 1 + (4-a)i \end{aligned}$$
右辺は $ci^2 + i + d = -c + i + d = (d-c) + i$ となるため、
$$1 + (4-a)i = (d-c) + i$$
$a, c, d$ は実数であるから、両辺の実部と虚部を比較して、
$$d - c = 1 \quad \cdots \text{(ii)}$$
$$4 - a = 1 \quad \cdots \text{(iii)}$$
(iii) より、$a = 3$ である。 これを (i) に代入すると $c + d = 1$ となり、(ii) の $d - c = 1$ と連立して解くと、
$$c = 0, \quad d = 1$$
したがって、余り $R(x)$ は、
$$R(x) = 0\cdot x^2 + x + 1 = x + 1$$
最後に商 $Q(x)$ を求める。$a=3$ より、
$$P(x) = x^5+2x^4+3x^3+3x^2+3x+2$$
$$\begin{aligned} (x^3+x^2+x+1)Q(x) &= P(x) - R(x) \\ &= x^5+2x^4+3x^3+3x^2+2x+1 \end{aligned}$$
右辺を $x^3+x^2+x+1$ の形を作り出しながら変形する(または直接割り算する)と、
$$\begin{aligned} &x^5+2x^4+3x^3+3x^2+2x+1 \\ &= (x^5+x^4+x^3+x^2) + (x^4+x^3+x^2+x) + (x^3+x^2+x+1) \\ &= x^2(x^3+x^2+x+1) + x(x^3+x^2+x+1) + 1\cdot(x^3+x^2+x+1) \\ &= (x^2+x+1)(x^3+x^2+x+1) \end{aligned}$$
したがって、商は $Q(x) = x^2+x+1$ である。
解説
多項式の割り算において、基本となる等式 $A = BQ + R$ を立てて処理する典型問題である。 解法1のように文字を含んだまま直接割り算を(筆算などで)実行する方法は、思考の飛躍がなく計算もそれほど煩雑ではないため、試験会場では最も手堅い選択である。 解法2のように剰余の定理を用いる方法は、割る式が $(x^2+1)(x+1)$ と因数分解できることに気付けば、複素数 $i$ を代入することで余りを素早く決定できる。実数係数多項式に虚数を代入したときの「実部と虚部の比較(複素数の相等)」は、上位大学で頻出の強力な手法である。
答え
$a = 3$
$Q(x) = x^2+x+1$
$R(x) = x+1$
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