数学2 多項式の割り算 問題 31 解説

方針・初手
(1)は重解の定義に従い、整式の割り算について立式し、微分法を用いて証明する。必要十分条件の証明であるため、「$f(x)$ が $(x-k)^2$ で割り切れるならば、$f(k)=0$ かつ $f'(k)=0$」と、「$f(k)=0$ かつ $f'(k)=0$ ならば、$f(x)$ が $(x-k)^2$ で割り切れる」の双方向を示す。 (2)は(1)で示した必要十分条件を適用し、$f(k)=0$ かつ $f'(k)=0$ から得られる連立方程式を解いて $k$ と $a$ を求める。
解法1
(1)
条件「$k$ が方程式 $f(x)=0$ の重解である(すなわち $f(x)$ が $(x-k)^2$ で割り切れる)」を $P$、条件「$f(k)=0$ かつ $f'(k)=0$」を $Q$ とする。
$P \Longrightarrow Q$ の証明
$f(x)$ は $(x-k)^2$ で割り切れるので、ある整式 $Q_1(x)$ を用いて次のように表せる。
$$f(x) = (x-k)^2 Q_1(x)$$
このとき、$x=k$ を代入すると次のようになる。
$$f(k) = (k-k)^2 Q_1(k) = 0$$
また、両辺を $x$ で微分すると、積の微分法より以下のようになる。
$$f'(x) = 2(x-k)Q_1(x) + (x-k)^2 Q_1'(x)$$
$$f'(x) = (x-k) \{ 2Q_1(x) + (x-k)Q_1'(x) \}$$
これに $x=k$ を代入すると、次のようになる。
$$f'(k) = 0$$
したがって、$f(k)=0$ かつ $f'(k)=0$ が成り立つ。
$Q \Longrightarrow P$ の証明
整式 $f(x)$ を2次式 $(x-k)^2$ で割ったときの商を $Q_2(x)$、余りを $px+q$ ($p, q$ は実数)とおくと、次のように表せる。
$$f(x) = (x-k)^2 Q_2(x) + px + q$$
両辺を $x$ で微分すると、次のようになる。
$$f'(x) = 2(x-k)Q_2(x) + (x-k)^2 Q_2'(x) + p$$
仮定より $f(k)=0$ かつ $f'(k)=0$ であるから、上の2式に $x=k$ を代入して以下の連立方程式を得る。
$$f(k) = pk+q = 0$$
$$f'(k) = p = 0$$
これらを解くと、$p=0, q=0$ となる。 ゆえに余りは $0$ となり、$f(x)$ は $(x-k)^2$ で割り切れる。
以上より、題意は示された。
(2)
$f(x) = x^n - ax + a$ とおく。 $k$ は方程式 $f(x)=0$ の重解であるから、(1)より $f(k)=0$ かつ $f'(k)=0$ が成り立つ。
$$f(k) = k^n - ak + a = 0 \quad \cdots \text{①}$$
$$f'(x) = nx^{n-1} - a$$
より
$$f'(k) = nk^{n-1} - a = 0 \quad \cdots \text{②}$$
②より、以下の式を得る。
$$a = nk^{n-1} \quad \cdots \text{③}$$
これを①に代入して整理する。
$$k^n - n k^{n-1} \cdot k + n k^{n-1} = 0$$
$$k^n - nk^n + nk^{n-1} = 0$$
$$k^{n-1}(k - nk + n) = 0$$
$$k^{n-1} \{ (1-n)k + n \} = 0$$
$n$ は2以上の自然数であるから、$1-n \neq 0$ である。 したがって、$k=0$ または $k = \frac{n}{n-1}$ となる。
(i) $k=0$ のとき
$n \ge 2$ より $0^{n-1} = 0$ であるから、③より以下のようになる。
$$a = n \cdot 0^{n-1} = 0$$
(ii) $k = \frac{n}{n-1}$ のとき
③より、以下のようになる。
$$a = n \left( \frac{n}{n-1} \right)^{n-1}$$
(i), (ii) より、求める $k$ および $a$ の組はすべて求まった。
解説
整式の重解条件に関する定石問題である。(1)の証明は微分の基本操作と剰余の定理の考え方を組み合わせることで平易に示せる。必要十分条件であるため、両方向の論理展開を漏れなく記述することが求められる。 (2)は(1)の結論をそのまま利用して連立方程式を解く。因数分解した式 $k^{n-1} \{ (1-n)k + n \} = 0$ から得られる解のうち、$k=0$ を見落とさないように注意が必要である。$k=0, a=0$ のとき方程式は $x^n=0$ となり、これは $x=0$ を $n$ 重解($n \ge 2$ より重解の定義を満たす)としてもつため、適当な解である。
答え
(1) 略(解説中の証明を参照)
(2) $k=0, a=0$ または $k = \frac{n}{n-1}, a = n \left( \frac{n}{n-1} \right)^{n-1}$
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