数学2 多項式の割り算 問題 32 解説

方針・初手
多項式が特定の2次式で割り切れる条件を考える。$x^2-4$ で割り切れる条件は、因数分解して $x-2$ と $x+2$ でそれぞれ割り切れること、すなわち因数定理から $P(2)=0$ かつ $P(-2)=0$ を用いる。 $(x+1)^2$ のような完全平方式で割り切れる条件については、多項式の微分の知識を利用し、$P(-1)=0$ かつ $P'(-1)=0$ を用いると簡潔に処理できる。$n$ が奇数であることに注意して計算を進める。
解法1
$P(x) = x^n - ax^2 - bx + 2$ とする。
(あ)、(い)について
$P(x)$ が $x^2 - 4 = (x-2)(x+2)$ で割り切れるための条件は、因数定理より $P(2) = 0$ かつ $P(-2) = 0$ が成り立つことである。
$$P(2) = 2^n - 4a - 2b + 2 = 0$$
$$P(-2) = (-2)^n - 4a + 2b + 2 = 0$$
ここで、$n$ は奇数であるから $(-2)^n = -2^n$ となる。上の2式を整理すると、以下の連立方程式を得る。
$$\begin{cases} 4a + 2b = 2^n + 2 & \cdots (1) \\ 4a - 2b = -2^n + 2 & \cdots (2) \end{cases}$$
(1) と (2) の辺々を足すと、
$$8a = 4 \iff a = \frac{1}{2}$$
(1) から (2) の辺々を引くと、
$$4b = 2 \cdot 2^n = 2^{n+1} \iff b = 2^{n-1}$$
よって、(あ)は $\frac{1}{2}$、(い)は $2^{n-1}$ である。
(う)、(え)について
$P(x)$ が $(x+1)^2$ で割り切れるための条件は、$P(-1) = 0$ かつ $P'(-1) = 0$ が成り立つことである。
まず、$n$ は奇数であるから $(-1)^n = -1$ となり、$P(-1)=0$ より、
$$P(-1) = -1 - a + b + 2 = 0$$
$$a - b = 1 \cdots (3)$$
次に、$P(x)$ を $x$ で微分すると、
$$P'(x) = nx^{n-1} - 2ax - b$$
$n$ が奇数であるから $n-1$ は偶数であり、$(-1)^{n-1} = 1$ となる。$P'(-1)=0$ より、
$$P'(-1) = n - 2a(-1) - b = 0$$
$$2a - b = -n \cdots (4)$$
(4) から (3) の辺々を引くと、
$$a = -n - 1$$
これを (3) に代入して整理すると、
$$b = a - 1 = -n - 2$$
よって、(う)は $-n-1$、(え)は $-n-2$ である。
解法2
(う)、(え)についての別解
微分の知識を用いない場合、実際に割り算を行うか、因数分解を利用する。 $P(-1) = 0$ は解法1と同様に $a-b=1$ を得る。すなわち $b = a-1$ である。 これを $P(x)$ に代入して式変形を行い、$x+1$ でくくる。
$$\begin{aligned} P(x) &= x^n - ax^2 - (a-1)x + 2 \\ &= (x^n + 1) - ax(x+1) + x + 1 \\ &= (x+1)(x^{n-1} - x^{n-2} + \cdots - x + 1) - ax(x+1) + (x+1) \\ &= (x+1)(x^{n-1} - x^{n-2} + \cdots - x + 1 - ax + 1) \\ &= (x+1)(x^{n-1} - x^{n-2} + \cdots - x + 2 - ax) \end{aligned}$$
$P(x)$ は $(x+1)^2$ で割り切れるので、因数分解したあとのもう一方の因数 $Q(x) = x^{n-1} - x^{n-2} + \cdots - x + 2 - ax$ も $x+1$ で割り切れる。 したがって、剰余の定理より $Q(-1) = 0$ となる。
$n$ は奇数なので、$n-1$ は偶数である。$Q(-1)$ を計算する際、$x^{n-1}$ から $-x$ までの各項に $x=-1$ を代入すると、偶数乗は正、奇数乗は負になるため、項の符号が打ち消されてすべて $1$ になる。 項の数は、次数が $n-1$ から $1$ までなので $n-1$ 個である。よって、
$$\begin{aligned} Q(-1) &= \underbrace{1 + 1 + \cdots + 1}_{n-1 \text{個}} + 2 - a(-1) \\ &= (n-1) + 2 + a \\ &= n + 1 + a = 0 \end{aligned}$$
これより $a = -n - 1$ を得る。 先ほど得た $b = a - 1$ に代入して、$b = -n - 2$ となる。
解説
多項式が $(x-\alpha)^2$ で割り切れる条件を問う典型問題である。 解法1のように $P(\alpha)=0$ かつ $P'(\alpha)=0$ を用いるのが最も計算ミスが少なく、簡潔に結論へ至る。理系・文系問わず、この事実を知識として使いこなせるようにしておきたい。 解法2のような式変形によるアプローチは、$x^n + y^n$ ($n$は奇数)の因数分解公式を正確に覚えている必要がある。特に $n$ が奇数であるという条件が、符号の決定において重要な役割を果たしていることに注意して処理する。
答え
(あ) $\frac{1}{2}$
(い) $2^{n-1}$
(う) $-n-1$
(え) $-n-2$
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