数学3 微分の基本 問題 50 解説

方針・初手
(1)は微分係数の定義そのものを問う問題である。極限を用いて正確に記述する。(2)は(1)の定義に従い、$x=1$ における右側微分係数と左側微分係数が一致しないことを示す。(3)は絶対値を含む関数の極値を求める問題である。絶対値の中身の正負によって場合分けを行い、導関数を求めて増減表を作成する。関数は常に $f(x) \ge 0$ であり、$x=\pm 1$ では $f(x)=0$ となる点に着目すると、グラフの概形や極小値の見通しが立てやすい。
解法1
(1) 関数 $f(x)$ が $x=a$ で微分可能であるとは、極限値
$$\lim_{h \to 0} \frac{f(a+h) - f(a)}{h}$$
が存在することである。
(2) $x=1$ における微分係数の定義に従い、右側極限と左側極限を調べる。
$$\frac{f(1+h) - f(1)}{h} = \frac{|(1+h)^2 - 1|e^{-(1+h)} - 0}{h} = \frac{|h(h+2)|e^{-1-h}}{h}$$
$h \to +0$ のとき、$h > 0$ であるから $|h(h+2)| = h(h+2)$ となる。したがって右側極限は、
$$\lim_{h \to +0} \frac{h(h+2)e^{-1-h}}{h} = \lim_{h \to +0} (h+2)e^{-1-h} = 2e^{-1}$$
となる。 一方、$h \to -0$ のとき、十分 $0$ に近い範囲では $h < 0$ かつ $h+2 > 0$ であるから、 $|h(h+2)| = -h(h+2)$ となる。したがって左側極限は、
$$\lim_{h \to -0} \frac{-h(h+2)e^{-1-h}}{h} = \lim_{h \to -0} -(h+2)e^{-1-h} = -2e^{-1}$$
となる。 右側極限と左側極限が異なるため、$h \to 0$ としたときの極限値は存在しない。 よって、関数 $f(x)$ は $x=1$ で微分可能でない。
(3) 関数 $f(x) = |x^2 - 1|e^{-x}$ の導関数を求める。
(i) $x < -1$ または $1 < x$ のとき $x^2 - 1 > 0$ であるから、$f(x) = (x^2 - 1)e^{-x}$ となる。これを微分すると、
$$\begin{aligned} f'(x) &= 2xe^{-x} + (x^2 - 1)(-e^{-x}) \\ &= (-x^2 + 2x + 1)e^{-x} \end{aligned}$$
$f'(x) = 0$ とすると、$-x^2 + 2x + 1 = 0$ より $x = 1 \pm \sqrt{2}$ を得る。 このうち、条件 $x < -1$ または $1 < x$ を満たすのは $x = 1 + \sqrt{2}$ である。
(ii) $-1 < x < 1$ のとき $x^2 - 1 < 0$ であるから、$f(x) = -(x^2 - 1)e^{-x}$ となる。これを微分すると、
$$\begin{aligned} f'(x) &= -2xe^{-x} - (x^2 - 1)(-e^{-x}) \\ &= (x^2 - 2x - 1)e^{-x} \end{aligned}$$
$f'(x) = 0$ とすると、$x^2 - 2x - 1 = 0$ より $x = 1 \pm \sqrt{2}$ を得る。 このうち、条件 $-1 < x < 1$ を満たすのは $x = 1 - \sqrt{2}$ である。
(iii) $x = \pm 1$ のとき (2)で示したように $x=1$ では微分可能ではない。同様に $x=-1$ においても微分可能ではない。 しかし、$f(x) \ge 0$ かつ $f(\pm 1) = 0$ であるため、これらの点で極小値をとることがわかる。
以上の結果をまとめると、増減表は次のようになる。
| $x$ | $\cdots$ | $-1$ | $\cdots$ | $1-\sqrt{2}$ | $\cdots$ | $1$ | $\cdots$ | $1+\sqrt{2}$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $f'(x)$ | $-$ | $/$ | $+$ | $0$ | $-$ | $/$ | $+$ | $0$ | $-$ |
| $f(x)$ | $\searrow$ | $0$ | $\nearrow$ | 極大 | $\searrow$ | $0$ | $\nearrow$ | 極大 | $\searrow$ |
ここで極大値を計算する。 $x = 1-\sqrt{2}$ のとき、
$$\begin{aligned} f(1-\sqrt{2}) &= |(1-\sqrt{2})^2 - 1|e^{-(1-\sqrt{2})} \\ &= |3-2\sqrt{2}-1|e^{\sqrt{2}-1} \\ &= |2-2\sqrt{2}|e^{\sqrt{2}-1} \\ &= (2\sqrt{2}-2)e^{\sqrt{2}-1} \end{aligned}$$
$x = 1+\sqrt{2}$ のとき、
$$\begin{aligned} f(1+\sqrt{2}) &= |(1+\sqrt{2})^2 - 1|e^{-(1+\sqrt{2})} \\ &= |3+2\sqrt{2}-1|e^{-\sqrt{2}-1} \\ &= (2\sqrt{2}+2)e^{-\sqrt{2}-1} \end{aligned}$$
解説
(1)から(3)にかけて、微分の定義と絶対値を含む関数の扱いを問う標準的な問題である。 (1)での誘導があるため、(2)では微分の公式を形式的に用いるのではなく、微分係数の定義に戻って極限を計算する姿勢が求められる。右側極限と左側極限で絶対値の外れ方が変わる点に注意が必要である。 (3)では、絶対値記号を外すための場合分けと、その各区間における導関数の符号変化を丁寧に調べる必要がある。増減表を作成する際、求めた $f'(x)=0$ の解がそれぞれの場合分けの条件を満たすかどうかを確認することが重要である。また、微分不可能となる $x=\pm 1$ の点も関数の極小値を与えるため、漏らさずに記述する必要がある。
答え
(1) 極限値 $\lim_{h \to 0} \frac{f(a+h) - f(a)}{h}$ が存在すること。
(2) 右側極限が $2e^{-1}$、左側極限が $-2e^{-1}$ となり一致しないため、$x=1$ における微分係数の定義を満たさず微分可能でない。(詳細は解法に記載)
(3)
極大値 $(2\sqrt{2}-2)e^{\sqrt{2}-1}$ ($x = 1-\sqrt{2}$ のとき)
極大値 $(2\sqrt{2}+2)e^{-\sqrt{2}-1}$ ($x = 1+\sqrt{2}$ のとき)
極小値 $0$ ($x = -1, 1$ のとき)
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