トップ 基礎問題 数学3 微分法 グラフ・増減・極値 問題 33

数学3 グラフ・増減・極値 問題 33 解説

数学3 グラフ・増減・極値 問題 33 解説

方針・初手

抽象的な関数方程式から関数の性質やグラフの形状を調べる問題である。 (1) は、関数方程式の性質を用いて背理法により $f(x) \neq \pm 1$ を示し、連続関数の性質(中間値の定理)から値域を絞り込む。 (2) は、導関数の定義に従って $f'(x)$ を計算し、そこから $f''(x)$ の符号を調べることで上に凸であることを示す方針をとる。

解法1

(1)

関数 $f(x)$ は何回でも微分可能であるから、すべての実数 $x$ で連続である。

ある実数 $a$ に対して $f(a) = 1$ となると仮定する。 このとき、任意の実数 $b$ に対して、問題の条件 $1+f(a)f(b) \neq 0$ より $1+f(b) \neq 0$ であり、与えられた関数方程式に代入すると、

$$f(a+b) = \frac{f(a)+f(b)}{1+f(a)f(b)} = \frac{1+f(b)}{1+f(b)} = 1$$

となる。$b$ は任意の実数であるから、$x=a+b$ とおくと、すべての実数 $x$ について $f(x) = 1$ となるが、これは $f(0) = 0$ に矛盾する。

次に、ある実数 $a$ に対して $f(a) = -1$ となると仮定する。 同様に、$1+f(a)f(b) = 1-f(b) \neq 0$ であり、

$$f(a+b) = \frac{-1+f(b)}{1-f(b)} = \frac{-(1-f(b))}{1-f(b)} = -1$$

となる。すべての実数 $x$ について $f(x) = -1$ となり、これも $f(0) = 0$ に矛盾する。

以上より、すべての実数 $x$ に対して $f(x) \neq 1$ かつ $f(x) \neq -1$ である。

ここで $f(0) = 0$ であり、$-1 < f(0) < 1$ を満たす。関数 $f(x)$ は連続であるため、もし $f(c) \geqq 1$ または $f(c) \leqq -1$ となる実数 $c$ が存在すれば、中間値の定理により $0$ と $c$ の間のどこかの実数 $x$ で $f(x) = 1$ または $f(x) = -1$ となる。これは先ほどの結論に矛盾する。

したがって、任意の実数 $a$ に対して、$-1 < f(a) < 1$ である。(証明終わり)

(2)

導関数の定義より、$f'(x)$ は次のように計算できる。

$$f'(x) = \lim_{h \to 0} \frac{f(x+h) - f(x)}{h}$$

与えられた関数方程式より、分子は以下のように変形できる。

$$f(x+h) - f(x) = \frac{f(x)+f(h)}{1+f(x)f(h)} - f(x) = \frac{f(x)+f(h)-f(x)\{1+f(x)f(h)\}}{1+f(x)f(h)} = \frac{f(h)\{1-\{f(x)\}^2\}}{1+f(x)f(h)}$$

よって、$f'(x)$ は、

$$f'(x) = \lim_{h \to 0} \left\{ \frac{f(h)}{h} \cdot \frac{1-\{f(x)\}^2}{1+f(x)f(h)} \right\}$$

ここで、$f(0)=0, f'(0)=1$ であり、$f'(0)$ は定義より

$$f'(0) = \lim_{h \to 0} \frac{f(h) - f(0)}{h} = \lim_{h \to 0} \frac{f(h)}{h} = 1$$

である。また、$f(x)$ は連続関数であるから $\lim_{h \to 0} f(h) = f(0) = 0$ である。 これらを用いると、

$$f'(x) = 1 \cdot \frac{1-\{f(x)\}^2}{1+f(x) \cdot 0} = 1 - \{f(x)\}^2$$

となる。

(1) より、任意の実数 $x$ に対して $-1 < f(x) < 1$ であるから、$1 - \{f(x)\}^2 > 0$ である。 したがって、すべての実数 $x$ において $f'(x) > 0$ となり、関数 $f(x)$ は単調に増加する。 ゆえに、$x > 0$ のとき、$f(x) > f(0) = 0$ である。

さらに、$f(x)$ は何回でも微分可能であるから、$f'(x) = 1 - \{f(x)\}^2$ の両辺を $x$ で微分すると、

$$f''(x) = -2f(x)f'(x)$$

となる。$x > 0$ においては、$f(x) > 0$ かつ $f'(x) > 0$ であるから、

$$f''(x) = -2f(x)f'(x) < 0$$

が成り立つ。 したがって、$y=f(x)$ のグラフは $x > 0$ で上に凸である。(証明終わり)

解説

抽象的な関数方程式から、関数の値域やグラフの凹凸を調べる典型的な微分積分の問題である。 (1) では「任意の実数 $a, b$ に対して」という条件を活かし、$f(a) = \pm 1$ と仮定して定数関数となる矛盾を引き出す背理法が有効である。 (2) では、「導関数の定義に従って微分する」という基本手技が問われている。$f'(x)$ を $f(x)$ の式で表し、そこから得られる符号と単調性を用いて、第2次導関数の符号を決定する流れは非常に美しい。 なお、この関数 $f(x)$ は双曲線正接関数 $f(x) = \tanh x = \frac{e^x - e^{-x}}{e^x + e^{-x}}$ の性質そのものを表している。本問の関数方程式は $\tanh(a+b) = \frac{\tanh a + \tanh b}{1 + \tanh a \tanh b}$ という加法定理に対応している。

答え

(1) 背理法と中間値の定理を用いて、任意の実数 $a$ について $-1 < f(a) < 1$ であることを証明した。

(2) 導関数の定義から $f'(x) = 1 - \{f(x)\}^2$ を導き、$f''(x) < 0$ を示すことで、$y=f(x)$ のグラフが $x > 0$ において上に凸であることを証明した。

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