数学3 最大最小・解の個数 問題 44 解説

方針・初手
(1) $f(t)$ の分母は常に正であるから、分子が常に正であることを二次関数の判別式を用いて示す。
(2) $f(t) = k$ とおき、$t$ についての方程式が実数解をもつような実数 $k$ の範囲を調べることで値域を求める方針(逆像法)が簡明である。関数を微分して増減表から最小値の存在を導くこともできる。
(3) 示すべき不等式は $x$ と $y$ についての同次式(すべての項の次数が同じ式)である。$y = 0$ と $y \neq 0$ の場合に分け、$y \neq 0$ のときは両辺を $y^2$ で割ることで $f(t)$ の形を作り出すのが定石である。
解法1
(1)
すべての実数 $t$ に対して、分母は $t^2 + 1 \geqq 1 > 0$ である。
分子を $g(t) = at^2 + 2bt + c$ とおく。 条件より $a > 0$ であり、二次方程式 $g(t) = 0$ の判別式を $D$ とすると、
$$\frac{D}{4} = b^2 - ac < 0$$
が成り立つ。 $a > 0$ かつ $D < 0$ であるから、すべての実数 $t$ に対して $at^2 + 2bt + c > 0$ となる。 したがって、分母と分子がともに正であるから、すべての実数 $t$ に対して $f(t) > 0$ である。(証明終)
(2)
$f(t) = k$ とおくと、
$$\frac{at^2 + 2bt + c}{t^2 + 1} = k$$
$$(k - a)t^2 - 2bt + k - c = 0 \quad \cdots \text{①}$$
実数 $t$ に対して $f(t)$ の値が存在するためには、方程式①が実数解 $t$ をもてばよい。
(i) $k = a$ のとき
①は $-2bt + a - c = 0$ となる。 $b > 0$ より $t = \frac{a - c}{2b}$ となり、これは実数解として存在する。
(ii) $k \neq a$ のとき
①は $t$ についての二次方程式となる。これが実数解をもつための条件は、判別式を $D_1$ とすると $D_1 \geqq 0$ である。
$$\frac{D_1}{4} = (-b)^2 - (k - a)(k - c) \geqq 0$$
$$k^2 - (a + c)k + ac - b^2 \leqq 0 \quad \cdots \text{②}$$
ここで、左辺の二次方程式 $k^2 - (a + c)k + ac - b^2 = 0$ の判別式を $D_2$ とすると、
$$D_2 = \{-(a + c)\}^2 - 4(ac - b^2) = (a - c)^2 + 4b^2$$
$b > 0$ より $D_2 > 0$ であるから、この二次方程式は異なる2つの実数解をもつ。それらを $\alpha, \beta$ $(\alpha < \beta)$ とおくと、不等式②の解は
$$\alpha \leqq k \leqq \beta$$
となる。 また、$k = a$ を②の左辺の式に代入すると、
$$a^2 - a(a + c) + ac - b^2 = -b^2 < 0$$
となるから、$k = a$ は $\alpha < k < \beta$ の範囲に含まれる。
(i)、(ii) より、$t$ がすべての実数を動くときの $k$ のとりうる値の範囲は $\alpha \leqq k \leqq \beta$ である。 したがって、$f(t)$ は最小値 $\alpha$ をもつ。(証明終)
(3)
関数 $f(t)$ の最小値を $m$ とする。すべての実数 $t$ に対して $f(t) \geqq m$ が成り立つから、
$$\frac{at^2 + 2bt + c}{t^2 + 1} \geqq m$$
$$at^2 + 2bt + c \geqq m(t^2 + 1) \quad \cdots \text{③}$$
が成り立つ。
(i) $y \neq 0$ のとき
示すべき不等式の両辺を $y^2 > 0$ で割ると、
$$a\left(\frac{x}{y}\right)^2 + 2b\left(\frac{x}{y}\right) + c \geqq m\left\{\left(\frac{x}{y}\right)^2 + 1\right\}$$
となる。$t = \frac{x}{y}$ とおくと、これは③そのものである。 すべての実数 $t$ について③が成り立つことから、この不等式も成り立つ。
(ii) $y = 0$ のとき
示すべき不等式は $ax^2 \geqq mx^2$ である。 すべての実数 $t$ について $f(t) \geqq m$ であり、
$$\lim_{t \to \infty} f(t) = \lim_{t \to \infty} \frac{a + \frac{2b}{t} + \frac{c}{t^2}}{1 + \frac{1}{t^2}} = a$$
であるから、極限の性質より $a \geqq m$ が成り立つ。 したがって、$(a - m)x^2 \geqq 0$ となり、$ax^2 \geqq mx^2$ が成り立つ。
(i)、(ii) より、すべての実数 $x, y$ に対して与式が成り立つ。(証明終)
解法2
(2)の別解(微分による解法)
関数 $f(t)$ を微分すると、
$$\begin{aligned} f'(t) &= \frac{(2at + 2b)(t^2 + 1) - (at^2 + 2bt + c) \cdot 2t}{(t^2 + 1)^2} \\ &= \frac{(2at^3 + 2at + 2bt^2 + 2b) - (2at^3 + 4bt^2 + 2ct)}{(t^2 + 1)^2} \\ &= \frac{-2bt^2 + 2(a - c)t + 2b}{(t^2 + 1)^2} \\ &= \frac{-2\{bt^2 - (a - c)t - b\}}{(t^2 + 1)^2} \end{aligned}$$
となる。 $f'(t) = 0$ となる $t$ は、分子が $0$ となる値であるから、
$$bt^2 - (a - c)t - b = 0$$
を満たす。この $t$ についての二次方程式の判別式は $(a - c)^2 + 4b^2$ であり、$b > 0$ であるから正となる。 したがって、この二次方程式は異なる2つの実数解をもつ。それらを $t_1, t_2$ $(t_1 < t_2)$ とおく。 $b > 0$ より、分子の二次関数 $-2\{bt^2 - (a - c)t - b\}$ は上に凸の放物線であるため、$f(t)$ の増減表は以下のようになる。
| $t$ | $\cdots$ | $t_1$ | $\cdots$ | $t_2$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $f'(t)$ | $-$ | $0$ | $+$ | $0$ | $-$ |
| $f(t)$ | $\searrow$ | 極小 | $\nearrow$ | 極大 | $\searrow$ |
また、$t \to \pm\infty$ の極限は
$$\lim_{t \to \pm\infty} f(t) = \lim_{t \to \pm\infty} \frac{a + \frac{2b}{t} + \frac{c}{t^2}}{1 + \frac{1}{t^2}} = a$$
となる。 増減表と極限の様子から、$f(t)$ は $t = t_1$ で最小値をとる。 したがって、関数 $f(t)$ は最小値をもつ。(証明終)
解説
(2)で分数関数の値域を求める手法として、解法1の「 $= k$ とおいて実数解条件を考える」方法は頻出のテクニックである。微分計算が煩雑になりがちな問題において、二次方程式の判別式に帰着できるため計算ミスを防ぎやすい。
(3)は同次式(すべての項の次数が2次)であることを活かし、1変数の不等式に帰着させるのがポイントである。$y=0$ と $y \neq 0$ の場合分けは必須であり、これを忘れると論理的な欠陥となるため注意が必要である。
答え
(1) 題意の通り証明された。
(2) 題意の通り証明された。
(3) 題意の通り証明された。
自分の記録
誤りを報告
問題文の写しミス、解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。





