数学3 最大最小・解の個数 問題 82 解説

方針・初手
与えられた積分方程式の両辺を $x$ で微分し、関数 $f(x)$ を求める。 後半は方程式 $f(x)=b$ の実数解の個数を、関数 $y=f(x)$ のグラフと直線 $y=b$ の共有点の個数として捉え直す。関数の増減、極値、および $x \to \pm \infty$ での極限を調べ、グラフの概形を把握する。その際、$f'(x)=0$ の実数解の個数が $a$ の符号によって変わるため、場合分けを行う必要がある。
解法1
(1)
与えられた等式
$$\int_0^x f(t) dt = xe^{-ax^2}$$
の両辺を $x$ で微分すると、積の微分公式より
$$f(x) = 1 \cdot e^{-ax^2} + x \cdot (-2ax) e^{-ax^2}$$
$$f(x) = (1 - 2ax^2) e^{-ax^2}$$
となる。これは実数全体を定義域とする連続関数であり、条件を満たす。
(2)
(1)で求めた $f(x)$ について、導関数 $f'(x)$ を計算する。
$$\begin{aligned} f'(x) &= -4ax e^{-ax^2} + (1 - 2ax^2) \cdot (-2ax) e^{-ax^2} \\ &= -2ax e^{-ax^2} \{ 2 + (1 - 2ax^2) \} \\ &= -2ax(3 - 2ax^2) e^{-ax^2} \end{aligned}$$
方程式 $f(x) = b$ が異なる4個の実数解をもつための条件は、関数 $y = f(x)$ のグラフと直線 $y = b$ が異なる4つの共有点をもつことである。 $f'(x) = 0$ となる実数 $x$ の存在は $a$ の符号によって変わるため、場合分けを行ってグラフの概形を調べる。
(i) $a < 0$ のとき
$a < 0$ より、すべての実数 $x$ に対して $-2ax^2 \geqq 0$ であるから、$3 - 2ax^2 > 0$ となる。 したがって、$f'(x) = 0$ となるのは $x = 0$ のみである。 また、$a < 0$ のとき $-2a > 0$ であり、$e^{-ax^2} > 0$ は常になりたつため、$f'(x)$ の符号は $x$ の符号と一致する。 すなわち、$x < 0$ で $f'(x) < 0$、$x > 0$ で $f'(x) > 0$ となるため、$f(x)$ は $x = 0$ で極小値をとるのみである。 グラフは単調に減少したのち単調に増加するため、直線 $y = b$ との共有点は最大でも2個であり、4個になることはない。ゆえに不適である。
(ii) $a > 0$ のとき
$f'(x) = 0$ とすると、$x = 0$ または $3 - 2ax^2 = 0$ より $x = 0, \pm \sqrt{\frac{3}{2a}}$ となる。 $\alpha = \sqrt{\frac{3}{2a}}$ とおくと、$f(x)$ の増減表は以下のようになる。
| $x$ | $\cdots$ | $-\alpha$ | $\cdots$ | $0$ | $\cdots$ | $\alpha$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $f'(x)$ | $-$ | $0$ | $+$ | $0$ | $-$ | $0$ | $+$ |
| $f(x)$ | $\searrow$ | 極小 | $\nearrow$ | 極大 | $\searrow$ | 極小 | $\nearrow$ |
ここで、極値は以下のようになる。
極大値:
$$f(0) = 1$$
極小値:
$$f(\pm \alpha) = \left( 1 - 2a \cdot \frac{3}{2a} \right) e^{-a \cdot \frac{3}{2a}} = -2e^{-3/2}$$
さらに、グラフの漸近線を調べるために極限を計算する。 $a > 0$ より $t = \sqrt{a}x$ とおくと、$x \to \infty$ のとき $t \to \infty$ である。 問題文で与えられた $\lim_{t\to\infty} t^2 e^{-t^2} = 0$ を用いると、
$$\lim_{x\to\infty} x^2 e^{-ax^2} = \lim_{t\to\infty} \frac{1}{a} t^2 e^{-t^2} = \frac{1}{a} \cdot 0 = 0$$
が成り立つ。また $\lim_{x\to\infty} e^{-ax^2} = 0$ であるから、
$$\lim_{x\to\infty} f(x) = \lim_{x\to\infty} (e^{-ax^2} - 2a x^2 e^{-ax^2}) = 0 - 2a \cdot 0 = 0$$
$f(x)$ は $f(-x) = f(x)$ をみたす偶関数であるから、$\lim_{x\to-\infty} f(x) = 0$ も成り立つ。
以上より、$y = f(x)$ のグラフは $y = 0$ を漸近線とし、$x=0$ で極大値をとった後、正負の領域でそれぞれ1回ずつ極小値をとって $x$ 軸に下から近づく概形となる。 したがって、グラフと直線 $y = b$ が異なる4個の共有点をもつための条件は、直線 $y = b$ の高さが極小値と漸近線の間にあることである。
$$-2e^{-3/2} < b < 0$$
(i), (ii) より、求める必要十分条件は $a > 0$ かつ $-2e^{-3/2} < b < 0$ である。
解説
(1)は微分積分学の基本定理を用いた標準的な計算問題である。右辺の微分に積の微分公式を正確に適用することで関数が求まる。 (2)は(1)で求めた関数について、方程式の実数解の個数を調べる問題であり、関数の増減と極限を調べてグラフの概形を捉えることが目的となる。 $a$ は0でない実数とされているため、$f'(x)=0$ の解の個数が $a$ の符号によって変わることに気づき、場合分けを行うことがポイントである。また、極限の計算では与えられた極限の式を使える形にするために $t = \sqrt{a}x$ という置換を行うと論理の飛躍なく示すことができる。$f(x)$ が偶関数であることを明記すると、$x<0$ 側の増減や極限の記述を簡略化できる。
答え
(1)
$$f(x) = (1 - 2ax^2) e^{-ax^2}$$
(2)
$$a > 0 \text{ かつ } -2e^{-3/2} < b < 0$$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。





