数学3 接線・極限との複合 問題 8 解説

方針・初手
- (1) は導関数を求めて増減を調べ、極値や端点での値を明らかにする。また、$y=e^{-x}\sin x$ は $0 \leqq x \leqq \pi$ において $y \leqq e^{-x}$ を満たすため、与えられた $y=e^{-x}$ のグラフとの位置関係(特に接点)に注意する。
- (2) は被積分関数に絶対値が含まれているため、中身の正負が切り替わる区間ごとに積分を分割する。具体的には、周期性に着目して積分区間を幅 $\pi$ ごとに分割し、置換積分を用いて計算を簡略化する。得られた数列の和の極限を計算する。
解法1
(1)
$f(x) = e^{-x} \sin x \quad (0 \leqq x \leqq \pi)$ とおく。導関数 $f'(x)$ を計算する。
$$f'(x) = -e^{-x} \sin x + e^{-x} \cos x = e^{-x}(\cos x - \sin x) = \sqrt{2}e^{-x} \cos \left( x + \frac{\pi}{4} \right)$$
$0 \leqq x \leqq \pi$ において $f'(x) = 0$ となるのは、$x + \frac{\pi}{4} = \frac{\pi}{2}$ より $x = \frac{\pi}{4}$ のときである。 増減表は以下のようになる。
| $x$ | $0$ | $\cdots$ | $\frac{\pi}{4}$ | $\cdots$ | $\pi$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $f'(x)$ | $+$ | $0$ | $-$ | ||
| $f(x)$ | $0$ | $\nearrow$ | $\frac{e^{-\frac{\pi}{4}}}{\sqrt{2}}$ | $\searrow$ | $0$ |
したがって、$f(x)$ は $x = \frac{\pi}{4}$ で極大かつ最大値 $\frac{e^{-\frac{\pi}{4}}}{\sqrt{2}}$ をとる。
また、$0 \leqq x \leqq \pi$ において $\sin x \leqq 1$ であるから、常に $e^{-x} \sin x \leqq e^{-x}$ が成り立つ。等号が成立するのは $\sin x = 1$、すなわち $x = \frac{\pi}{2}$ のときである。 このとき、$f\left(\frac{\pi}{2}\right) = e^{-\frac{\pi}{2}}$ であり、与えられた曲線 $y = e^{-x}$ 上の点を通る。 さらに、$x = \frac{\pi}{2}$ における $f(x)$ の微分係数は、
$$f'\left(\frac{\pi}{2}\right) = e^{-\frac{\pi}{2}} \left( \cos \frac{\pi}{2} - \sin \frac{\pi}{2} \right) = -e^{-\frac{\pi}{2}}$$
であり、これは $y = e^{-x}$ の導関数 $y' = -e^{-x}$ の $x = \frac{\pi}{2}$ における値と等しい。ゆえに、$y = f(x)$ のグラフは $x = \frac{\pi}{2}$ において $y = e^{-x}$ のグラフと接する。
以上を踏まえると、求めるグラフは原点 $(0,0)$ と $(\pi,0)$ を結び、$x = \frac{\pi}{4}$ で極大値をとり、$x = \frac{\pi}{2}$ で曲線 $y = e^{-x}$ と接するような形となる。
(2)
積分区間を区間幅 $\pi$ ごとに分割する。
$$I_n = \int_0^{n\pi} e^{-x} |\sin x| dx = \sum_{k=1}^n \int_{(k-1)\pi}^{k\pi} e^{-x} |\sin x| dx$$
それぞれの区間積分について、$x = t + (k-1)\pi$ と置換する。 $dx = dt$ であり、積分区間は $x$ が $(k-1)\pi$ から $k\pi$ まで変化するとき、$t$ は $0$ から $\pi$ まで変化する。 また、$\sin x = \sin(t + (k-1)\pi) = (-1)^{k-1} \sin t$ であるが、$0 \leqq t \leqq \pi$ において $\sin t \geqq 0$ であるため、$|\sin x| = |(-1)^{k-1} \sin t| = \sin t$ となる。 これを代入して計算する。
$$\begin{aligned} \int_{(k-1)\pi}^{k\pi} e^{-x} |\sin x| dx &= \int_0^\pi e^{-\{t+(k-1)\pi\}} \sin t dt \\ &= e^{-(k-1)\pi} \int_0^\pi e^{-t} \sin t dt \end{aligned}$$
ここで、$J = \int_0^\pi e^{-t} \sin t dt$ とおき、部分積分を用いて求める。
$$\begin{aligned} J &= \left[ -e^{-t} \sin t \right]_0^\pi - \int_0^\pi (-e^{-t}) \cos t dt \\ &= 0 + \left[ -e^{-t} \cos t \right]_0^\pi - \int_0^\pi (-e^{-t}) (-\sin t) dt \\ &= (e^{-\pi} + 1) - J \end{aligned}$$
$$2J = e^{-\pi} + 1 \iff J = \frac{1 + e^{-\pi}}{2}$$
したがって、$I_n$ は次のような等比数列の和として表される。
$$I_n = \sum_{k=1}^n e^{-(k-1)\pi} \cdot \frac{1 + e^{-\pi}}{2} = \frac{1 + e^{-\pi}}{2} \sum_{k=1}^n \left(e^{-\pi}\right)^{k-1}$$
これは初項 $\frac{1 + e^{-\pi}}{2}$、公比 $e^{-\pi}$、項数 $n$ の等比数列の和であるから、
$$I_n = \frac{1 + e^{-\pi}}{2} \cdot \frac{1 - (e^{-\pi})^n}{1 - e^{-\pi}}$$
$n \to \infty$ のとき、$0 < e^{-\pi} < 1$ であるから $(e^{-\pi})^n \to 0$ となる。ゆえに求める極限値は、
$$\lim_{n \to \infty} I_n = \frac{1 + e^{-\pi}}{2(1 - e^{-\pi})} = \frac{e^\pi + 1}{2(e^\pi - 1)}$$
解説
(1) はグラフの概形を描く問題である。単純に微分して増減を調べるだけでなく、問題文でわざわざ $y=e^{-x}$ のグラフが与えられていることの意図を汲み取ることが重要である。関数値の大小関係 $e^{-x}\sin x \leqq e^{-x}$ を利用し、$x=\frac{\pi}{2}$ で接することに気づけると、より正確なグラフの書き入れが可能になる。
(2) は絶対値を含む関数の定積分の極限を求める典型問題である。被積分関数が指数関数と周期関数の積である場合、積分区間を周期ごとに分割して置換積分を行うと、等比数列の和に帰着できる。この手法は大学入試で頻出であるため、確実にマスターしておきたい。定積分 $J$ の計算は、部分積分を2回繰り返して同形を出現させる方法のほかに、$(e^{-t}\sin t)'$ と $(e^{-t}\cos t)'$ の組み合わせから原始関数を逆算する方法を用いてもよい。
答え
(1) $x = \frac{\pi}{4}$ で極大値 $\frac{e^{-\frac{\pi}{4}}}{\sqrt{2}}$ をとり、$x = \frac{\pi}{2}$ で曲線 $y = e^{-x}$ に接するような、原点と $(\pi, 0)$ を結ぶ曲線となる。(解答用紙の図に書き入れる)
(2) $\frac{e^\pi + 1}{2(e^\pi - 1)}$
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