数学3 接線・極限との複合 問題 12 解説

方針・初手
(1) 曲線外の点から引いた接線の方程式を求める問題である。与えられた点 $(0, 1)$ は $y$ 軸上にあり、$x > 0$ を定義域とする曲線 $y = \log 2x$ 上の点ではない。まずは接点の $x$ 座標を $t$ とおき、接線の方程式を $t$ を用いて表す。その接線が点 $(0, 1)$ を通るという条件から $t$ を決定する。
(2) 曲線 $C$、接線 $l$、$x$ 軸、$y$ 軸の位置関係を整理し、囲まれた領域を特定する。領域は第1象限に形成されるため、$x$ について積分して求めるか、あるいは $y$ について積分して求めるかの方針を立てる。
解法1
(1)
曲線 $C : y = \log 2x$ の定義域は $x > 0$ である。 $y$ を $x$ について微分すると、$y' = \frac{2}{2x} = \frac{1}{x}$ となる。
曲線 $C$ 上の接点を $(t, \log 2t)$ $(t > 0)$ とおくと、この点における接線の傾きは $\frac{1}{t}$ となる。したがって、接線の方程式は以下のように表される。
$$y - \log 2t = \frac{1}{t}(x - t)$$
整理すると、
$$y = \frac{1}{t}x + \log 2t - 1$$
この接線が点 $(0, 1)$ を通るため、$(x, y) = (0, 1)$ を代入する。
$$1 = \log 2t - 1$$
$$\log 2t = 2$$
対数の定義より $2t = e^2$ となり、$t = \frac{e^2}{2}$ を得る。これは $t > 0$ を満たす。 求めた $t$ を接線の方程式に代入し、求める接線 $l$ の方程式は以下のようになる。
$$y = \frac{2}{e^2}x + 1$$
(2)
曲線 $C$ と $x$ 軸の交点の $x$ 座標は、$y = 0$ を代入して $\log 2x = 0$ より $x = \frac{1}{2}$ である。 接線 $l$ と $x$ 軸の交点は、$y = 0$ を代入して $\frac{2}{e^2}x + 1 = 0$ より $x = -\frac{e^2}{2}$ である。 求める領域は曲線 $C$、接線 $l$ に加え、$x$ 軸と $y$ 軸で囲まれた部分であるため、第1象限の閉じた領域となる。
グラフの位置関係を考えると、求める面積は、$0 \leqq x \leqq \frac{e^2}{2}$ において接線 $l$、$x$ 軸、$y$ 軸、直線 $x = \frac{e^2}{2}$ で囲まれた台形の面積から、$\frac{1}{2} \leqq x \leqq \frac{e^2}{2}$ における曲線 $C$ と $x$ 軸、直線 $x = \frac{e^2}{2}$ で囲まれた面積を引いたものに等しい。 求める面積を $S$ とすると、次のように立式できる。
$$S = \int_0^{\frac{e^2}{2}} \left( \frac{2}{e^2}x + 1 \right) dx - \int_{\frac{1}{2}}^{\frac{e^2}{2}} \log 2x dx$$
それぞれの定積分を計算する。
$$\begin{aligned} \int_0^{\frac{e^2}{2}} \left( \frac{2}{e^2}x + 1 \right) dx &= \left[ \frac{1}{e^2}x^2 + x \right]_0^{\frac{e^2}{2}} \\ &= \frac{1}{e^2} \left( \frac{e^4}{4} \right) + \frac{e^2}{2} \\ &= \frac{e^2}{4} + \frac{e^2}{2} \\ &= \frac{3}{4}e^2 \end{aligned}$$
また、部分積分法を用いて対数関数の積分を行う。
$$\begin{aligned} \int_{\frac{1}{2}}^{\frac{e^2}{2}} \log 2x dx &= \int_{\frac{1}{2}}^{\frac{e^2}{2}} (x)' \log 2x dx \\ &= \left[ x \log 2x \right]_{\frac{1}{2}}^{\frac{e^2}{2}} - \int_{\frac{1}{2}}^{\frac{e^2}{2}} x \cdot \frac{1}{x} dx \\ &= \left( \frac{e^2}{2} \log e^2 - \frac{1}{2} \log 1 \right) - \left[ x \right]_{\frac{1}{2}}^{\frac{e^2}{2}} \\ &= \left( \frac{e^2}{2} \cdot 2 - 0 \right) - \left( \frac{e^2}{2} - \frac{1}{2} \right) \\ &= e^2 - \frac{e^2}{2} + \frac{1}{2} \\ &= \frac{e^2}{2} + \frac{1}{2} \end{aligned}$$
したがって、求める面積 $S$ は、
$$S = \frac{3}{4}e^2 - \left( \frac{e^2}{2} + \frac{1}{2} \right) = \frac{e^2}{4} - \frac{1}{2}$$
解法2
(2) の別解
積分を $y$ 軸方向に沿って行う。 曲線 $C$ と接線 $l$ の式をそれぞれ $x$ について解くと、以下のようになる。
曲線 $C : y = \log 2x \iff x = \frac{1}{2}e^y$
接線 $l : y = \frac{2}{e^2}x + 1 \iff x = \frac{e^2}{2}(y - 1)$
領域の $y$ 座標の範囲は $0 \leqq y \leqq 2$ である。 求める面積 $S$ は、$y$ 軸と曲線 $C$、および直線 $y=2$、$y=0$ で囲まれた面積から、$y$ 軸と接線 $l$、および直線 $y=2$、$y=1$ で囲まれた三角形の面積を引いたものとして計算できる。
$$S = \int_0^2 \frac{1}{2}e^y dy - \int_1^2 \frac{e^2}{2}(y - 1) dy$$
それぞれの定積分を計算する。
$$\int_0^2 \frac{1}{2}e^y dy = \left[ \frac{1}{2}e^y \right]_0^2 = \frac{1}{2}(e^2 - 1)$$
$$\begin{aligned} \int_1^2 \frac{e^2}{2}(y - 1) dy &= \frac{e^2}{2} \left[ \frac{1}{2}(y - 1)^2 \right]_1^2 \\ &= \frac{e^2}{4} (1^2 - 0^2) \\ &= \frac{e^2}{4} \end{aligned}$$
したがって、求める面積 $S$ は、
$$S = \frac{1}{2}(e^2 - 1) - \frac{e^2}{4} = \frac{e^2}{4} - \frac{1}{2}$$
解説
接線の方程式を求める基本問題と、定積分を用いた面積計算の標準的な問題である。
接線の問題において「点 $(0, 1)$ から引いた接線」と指定されている場合、$(0, 1)$ は接点ではないことに注意が必要である。接点の座標を文字でおいて方程式を立てる手順が定石となる。
面積の計算では、グラフの概形をかき、どの曲線が境界になるかを図形的に正しく把握することが重要である。「$x$ 軸および $y$ 軸」という条件から、第1象限に作られる閉じた領域を対象とすることが分かる。 $x$ について積分する場合は、途中で下の境界が $x$ 軸から曲線 $C$ に切り替わるため、台形の面積と曲線下の面積の差として立式するとミスが少ない。また、解法2のように $y$ 軸方向の積分を行うと、部分積分が必要な自然対数の積分を避けて、指数関数と多項式の積分に持ち込めるため、計算が平易になる。試験本番では、どちらの方針が見通しが良いかを判断して選択するとよい。
答え
(1) $y = \frac{2}{e^2}x + 1$
(2) $\frac{e^2}{4} - \frac{1}{2}$
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