数学3 接線・極限との複合 問題 24 解説

方針・初手
与えられた関数の漸化式 $f_{n+1}(x) = \int_0^x f_n(t) dt$ の性質を調べる問題である。
(1)および(2)は、すべての自然数 $n$ について成り立つ命題を示す問題であるため、数学的帰納法を用いるのが最も自然なアプローチである。(1)では、仮定した等式の両辺を積分することで次のステップを示す。(2)では、積分区間 $0 \leqq t \leqq x$ において被積分関数を定数 $e^x$ で上から抑え込む評価が鍵となる。(3)は、(2)で得られた不等式を利用して、はさみうちの原理を適用する。
解法1
(1)
数学的帰納法を用いて証明する。
[1] $n=1$ のとき
$$f_1(x) = \int_0^x f_0(t) dt = \int_0^x e^t dt = \left[ e^t \right]_0^x = e^x - 1$$
したがって、$e^x = 1 + f_1(x)$ となり、$n=1$ のとき与式は成り立つ。
[2] $n=k$ ($k \geqq 1$) のとき、等式が成り立つと仮定する。すなわち、
$$e^x = 1 + x + \frac{x^2}{2!} + \dots + \frac{x^{k-1}}{(k-1)!} + f_k(x)$$
が成り立つとする。これは $x$ を $t$ に置き換えた恒等式としても成り立つため、
$$e^t = 1 + t + \frac{t^2}{2!} + \dots + \frac{t^{k-1}}{(k-1)!} + f_k(t)$$
両辺を $t$ について $0$ から $x$ まで積分すると、左辺は、
$$\int_0^x e^t dt = \left[ e^t \right]_0^x = e^x - 1$$
右辺は、
$$\begin{aligned} \int_0^x \left( 1 + t + \dots + \frac{t^{k-1}}{(k-1)!} + f_k(t) \right) dt &= \left[ t + \frac{t^2}{2} + \dots + \frac{t^k}{k!} \right]_0^x + \int_0^x f_k(t) dt \\ &= x + \frac{x^2}{2!} + \dots + \frac{x^k}{k!} + f_{k+1}(x) \end{aligned}$$
となる。したがって、両辺を等置して整理すると、
$$e^x = 1 + x + \frac{x^2}{2!} + \dots + \frac{x^k}{k!} + f_{k+1}(x)$$
となり、$n=k+1$ のときも等式は成り立つ。
[1], [2] より、すべての自然数 $n \geqq 1$ に対して等式が成り立つことが示された。
(2)
同じく数学的帰納法を用いて証明する。
[1] $n=1$ のとき
$x \geqq 0$ とし、$0 \leqq t \leqq x$ とする。このとき $e^t \geqq 1 > 0$ であるから、
$$f_1(x) = \int_0^x e^t dt \geqq 0$$
また、$0 \leqq t \leqq x$ において $e^t \leqq e^x$ であるから、
$$f_1(x) = \int_0^x e^t dt \leqq \int_0^x e^x dt = e^x \left[ t \right]_0^x = x e^x$$
よって、$0 \leqq f_1(x) \leqq x e^x$ となり、$n=1$ のとき不等式は成り立つ。
[2] $n=k$ ($k \geqq 1$) のとき、不等式が成り立つと仮定する。すなわち、$x \geqq 0$ に対して、
$$0 \leqq f_k(x) \leqq \frac{x^k}{k!} e^x$$
が成り立つとする。
$x \geqq 0$ とし、$0 \leqq t \leqq x$ の範囲を考える。仮定より、
$$0 \leqq f_k(t) \leqq \frac{t^k}{k!} e^t$$
各辺を $t$ について $0$ から $x$ まで積分すると、
$$\int_0^x 0 dt \leqq \int_0^x f_k(t) dt \leqq \int_0^x \frac{t^k}{k!} e^t dt$$
ここで、
$$\int_0^x 0 dt = 0$$
$$\int_0^x f_k(t) dt = f_{k+1}(x)$$
さらに、$0 \leqq t \leqq x$ において $e^t \leqq e^x$ であり、また $t \geqq 0$ より $\frac{t^k}{k!} \geqq 0$ であるから、
$$\int_0^x \frac{t^k}{k!} e^t dt \leqq \int_0^x \frac{t^k}{k!} e^x dt = e^x \left[ \frac{t^{k+1}}{(k+1)!} \right]_0^x = \frac{x^{k+1}}{(k+1)!} e^x$$
したがって、これらをまとめると、
$$0 \leqq f_{k+1}(x) \leqq \frac{x^{k+1}}{(k+1)!} e^x$$
となり、$n=k+1$ のときも不等式は成り立つ。
[1], [2] より、すべての自然数 $n \geqq 1$ に対して不等式が成り立つことが示された。
(3)
(2)で示した不等式において、$x=1$ とすると、
$$0 \leqq f_n(1) \leqq \frac{1^n}{n!} e^1 = \frac{e}{n!}$$
ここで、$n \to \infty$ のとき、
$$\lim_{n \to \infty} \frac{e}{n!} = 0$$
であるから、はさみうちの原理より、
$$\lim_{n \to \infty} f_n(1) = 0$$
解説
本問は、指数関数 $e^x$ のマクローリン展開( $x=0$ を中心とするテイラー展開)における剰余項の評価を背景とした有名な問題である。
(1)は、積分を繰り返すことで多項式の項が次々と生み出される過程を示している。(2)の不等式評価では、積分区間 $0 \leqq t \leqq x$ において被積分関数の中の $e^t$ を定数 $e^x$ に置き換えて上から抑え込むという手法が用いられている。これは、積分を用いた不等式評価において非常に頻出かつ重要なテクニックである。
(3)の極限は、剰余項 $f_n(1)$ が $0$ に収束することを示しており、これにより $e$ の値が無限級数 $1 + 1 + \frac{1}{2!} + \frac{1}{3!} + \dots$ で表されることが保証される。
答え
(1) 略(証明問題)
(2) 略(証明問題)
(3) $\lim_{n \to \infty} f_n(1) = 0$
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