数学3 接線・極限との複合 問題 35 解説

方針・初手
無限等比級数の収束条件と、その和の公式を用いる基本的な問題である。まずは与えられた級数の初項と公比を求め、収束条件である「(初項) $= 0$ または $-1 <$ (公比) $< 1$」に当てはめて定義域 $D$ を決定する。その後、和の公式から関数 $f(x)$ を導出し、微積分を用いてグラフの概形や面積、極限を順に求めていく。
解法1
(1)
与えられた無限等比級数は、初項が $\frac{1}{x^2+x+1}$、公比が $\frac{1}{x^2+x+1}$ である。
実数 $x$ に対して、
$$x^2+x+1 = \left(x+\frac{1}{2}\right)^2 + \frac{3}{4} > 0$$
となるため、初項は $0$ にならない。したがって、無限等比級数が収束する条件は、公比について
$$-1 < \frac{1}{x^2+x+1} < 1$$
が成り立つことである。
分母が常に正であることから、各辺に $x^2+x+1$ を掛けると
$$-(x^2+x+1) < 1 < x^2+x+1$$
となる。左側の不等式 $-(x^2+x+1) < 1$ について整理すると
$$x^2+x+2 > 0$$
これは $\left(x+\frac{1}{2}\right)^2 + \frac{7}{4} > 0$ より、すべての実数 $x$ で成り立つ。
右側の不等式 $1 < x^2+x+1$ について整理すると
$$x^2+x > 0$$
$$x(x+1) > 0$$
これを解いて
$$x < -1, \quad 0 < x$$
よって、求める $x$ の値の範囲 $D$ は $x < -1, \ 0 < x$ である。
(2)
(1)で求めた範囲 $D$ において、この無限等比級数の和 $f(x)$ は
$$f(x) = \frac{\frac{1}{x^2+x+1}}{1 - \frac{1}{x^2+x+1}}$$
分母と分子に $x^2+x+1$ を掛けて整理すると
$$f(x) = \frac{1}{(x^2+x+1) - 1} = \frac{1}{x^2+x}$$
となる。ここで、$f(x)$ の導関数を求める。
$$f'(x) = -\frac{2x+1}{(x^2+x)^2}$$
定義域 $x < -1, \ 0 < x$ における $f'(x)$ の符号を調べる。
$x < -1$ のとき、$2x+1 < 0$ であるから $f'(x) > 0$ となり、$f(x)$ は単調に増加する。
$x > 0$ のとき、$2x+1 > 0$ であるから $f'(x) < 0$ となり、$f(x)$ は単調に減少する。
次に、漸近線を調べるために各極限を計算する。
$$\lim_{x \to \pm\infty} f(x) = \lim_{x \to \pm\infty} \frac{1}{x^2+x} = 0$$
$$\lim_{x \to -1-0} f(x) = \lim_{x \to -1-0} \frac{1}{x(x+1)} = \infty$$
$$\lim_{x \to +0} f(x) = \lim_{x \to +0} \frac{1}{x(x+1)} = \infty$$
これらより、漸近線は $x=-1$, $x=0$, $y=0$($x$軸)である。また、分母 $x^2+x$ は定義域 $D$ において常に正であるから、$f(x) > 0$ である。
以上から、グラフは $x < -1$ の区間では $x$軸および直線 $x=-1$ を漸近線としつつ単調に増加し、$x > 0$ の区間では $y$軸および $x$軸を漸近線としつつ単調に減少する、常に $x$軸の上側にある2つの曲線となる。
(3)
自然数 $n \geqq 2$ に対して、区間 $1 \leqq x \leqq n$ は (1) で求めた定義域 $D$ の $x > 0$ の部分に含まれる。この区間において $f(x) > 0$ であるから、求める面積 $S_n$ は
$$S_n = \int_{1}^{n} f(x) dx = \int_{1}^{n} \frac{1}{x(x+1)} dx$$
部分分数分解を用いて積分を計算する。
$$S_n = \int_{1}^{n} \left( \frac{1}{x} - \frac{1}{x+1} \right) dx$$
$$S_n = \left[ \log|x| - \log|x+1| \right]_{1}^{n}$$
$$S_n = \left[ \log\frac{x}{x+1} \right]_{1}^{n}$$
$$S_n = \log\frac{n}{n+1} - \log\frac{1}{2}$$
$$S_n = \log\frac{2n}{n+1}$$
(4)
(3) で求めた $S_n$ の極限をとる。
$$\lim_{n \to \infty} S_n = \lim_{n \to \infty} \log\frac{2n}{n+1}$$
真数部分の分母・分子を $n$ で割ると
$$\lim_{n \to \infty} \log\frac{2}{1+\frac{1}{n}} = \log 2$$
解説
無限等比級数の収束条件と微積分を組み合わせた標準的な総合問題である。
(1) では公比の条件だけでなく、初項が $0$ になる可能性がないことを一言触れておくと論理的に丁寧である。また、不等式を解く際には分母が正であることを利用して分母を払うと計算がスムーズに進む。
(2) では第2次導関数まで計算して凹凸を調べてもよいが、漸近線と単調性が分かればグラフの概形を描くには十分である。$f(x) > 0$ であることにも注意してグラフの存在領域を明確にする。
(3) の積分は有理関数の積分において最も基本となる部分分数分解を用いる。(4) の極限計算では対数の性質を用いて1つの項にまとめておくことで、容易に極限値を求めることができる。
答え
(1) $x < -1, \ 0 < x$
(2) 漸近線は $y=0$, $x=-1$, $x=0$ であり、$x<-1$ で単調増加、$x>0$ で単調減少する、常に $x$軸の上側にある2つの曲線。(概形図略)
(3) $S_n = \log\frac{2n}{n+1}$
(4) $\lim_{n \to \infty} S_n = \log 2$
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