数学3 定積分・面積 問題 25 解説

方針・初手
領域全体の面積を計算し、次に曲線 $y=a\cos x$ または $y=b\cos x$ によって切り取られる部分の面積を計算する。分割する曲線と $y=\sin x$ の交点の $x$ 座標を文字でおき、その文字を用いて面積を定積分の和として表すのが第一歩である。
解法1
曲線 $y=\sin x$ $\left(0 \leqq x \leqq \frac{\pi}{2}\right)$ と直線 $x=\frac{\pi}{2}$ および $x$ 軸とで囲まれる部分の面積を $S$ とすると、
$$S = \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \sin x \, dx = \left[ -\cos x \right]_{0}^{\frac{\pi}{2}} = 1$$
である。
正の定数 $t$ について、曲線 $y=\sin x$ と $y=t\cos x$ の $0 < x < \frac{\pi}{2}$ における交点を考える。 $\sin x = t\cos x$ の両辺を $\cos x \neq 0$ で割ると $\tan x = t$ となる。 $0 < x < \frac{\pi}{2}$ において $\tan x$ は単調増加であり、値域は正の実数全体であるから、$\tan x = t$ を満たす $x$ がただ1つ存在する。これを $\theta$ とおくと、交点の $x$ 座標は $\theta$ であり、$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ を満たす。
このとき、$\tan \theta = t$ と三角関数の相互関係を用いることで、
$$\cos \theta = \frac{1}{\sqrt{1+t^2}}, \quad \sin \theta = \frac{t}{\sqrt{1+t^2}}$$
となることがわかる。
曲線 $y=t\cos x$、 $y=\sin x$、直線 $x=\frac{\pi}{2}$ および $x$ 軸によって囲まれる領域のうち、$y=t\cos x$ より下側にある部分の面積を $S(t)$ とおく。 区間 $0 \leqq x \leqq \theta$ では $\sin x \leqq t\cos x$、区間 $\theta \leqq x \leqq \frac{\pi}{2}$ では $t\cos x \leqq \sin x$ であるから、
$$\begin{aligned} S(t) &= \int_{0}^{\theta} \sin x \, dx + \int_{\theta}^{\frac{\pi}{2}} t\cos x \, dx \\ &= \left[ -\cos x \right]_{0}^{\theta} + \left[ t\sin x \right]_{\theta}^{\frac{\pi}{2}} \\ &= (-\cos \theta + 1) + t(1 - \sin \theta) \\ &= 1 + t - (\cos \theta + t\sin \theta) \end{aligned}$$
となる。ここで先ほど求めた $\cos \theta, \sin \theta$ の値を代入すると、
$$\begin{aligned} S(t) &= 1 + t - \left( \frac{1}{\sqrt{1+t^2}} + t \cdot \frac{t}{\sqrt{1+t^2}} \right) \\ &= 1 + t - \frac{1+t^2}{\sqrt{1+t^2}} \\ &= 1 + t - \sqrt{1+t^2} \end{aligned}$$
を得る。
題意より、$0 < a < b$ であるから、すべての $x \in \left(0, \frac{\pi}{2}\right)$ において $a\cos x < b\cos x$ が成り立つ。 したがって、全体の面積 $S$ が曲線 $y=a\cos x$ と $y=b\cos x$ によって3等分されるとき、下側の部分から順に面積が等しくなるため、
$$S(a) = \frac{1}{3} S = \frac{1}{3}, \quad S(b) = \frac{2}{3} S = \frac{2}{3}$$
が成り立つ。
(i) $S(a) = \frac{1}{3}$ のとき
$$1 + a - \sqrt{1+a^2} = \frac{1}{3} \iff a + \frac{2}{3} = \sqrt{1+a^2}$$
$a > 0$ より左辺は正であるから、両辺を2乗して同値変形を行うと、
$$a^2 + \frac{4}{3}a + \frac{4}{9} = 1 + a^2 \iff \frac{4}{3}a = \frac{5}{9}$$
よって、$a = \frac{5}{12}$ である。
(ii) $S(b) = \frac{2}{3}$ のとき
$$1 + b - \sqrt{1+b^2} = \frac{2}{3} \iff b + \frac{1}{3} = \sqrt{1+b^2}$$
$b > 0$ より左辺は正であるから、同様に両辺を2乗して、
$$b^2 + \frac{2}{3}b + \frac{1}{9} = 1 + b^2 \iff \frac{2}{3}b = \frac{8}{9}$$
よって、$b = \frac{4}{3}$ である。
得られた値は $0 < a < b$ の条件を満たしている。
解説
面積を分割する曲線の問題では、上下関係が入れ替わる交点を境界として積分区間を分けることが基本となる。 交点の $x$ 座標が具体的な角として求まらなくても、$\tan \theta = t$ のように文字でおくことで、定積分の結果に必要な $\sin \theta$ や $\cos \theta$ の値を $t$ の式として表すことができる。無理方程式を解く際には、両辺を2乗する前に両辺の符号を確認することで、同値性を崩さずに解を進めることができる。
答え
$$a = \frac{5}{12}, \quad b = \frac{4}{3}$$
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